- Amazon.co.jp ・本 (174ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003312599
作品紹介・あらすじ
大逆事件で非業の死を遂げた幸徳秋水(1871-1911)は、明治の自由民権思想の指導者・中江兆民(1847-1901)に、18歳の青年時代から、兆民の最期まで師事した。秋水による兆民の回想録は、思想家・秋水自身の形成を明らかにする。日本近代思想のドキュメントであり,明治文学の名作。「兆民先生行状記」など、兆民に関する随想八篇を併載。
感想・レビュー・書評
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「描く所何物ぞ、伝記乎、伝記に非ず、評論乎、評論に非ず、弔辞乎、弔辞に非ず、惟だ余が曽て見たる所の先生のみ、余が今見つゝある所の先生のみ、余が無限の悲みのみ、余が無窮の恨みのみ、之を描きて豈に能く描き尽すと曰はんや、即ち児女の泣に代へて聊か追慕の情を遣るのみ」
齢18で兆民に師事し、その死を看取った秋水が、兆民を悼んで書いた「兆民先生」その他の文章が収録されている。引用した冒頭近くの文章を読んだだけでも、秋水の兆民先生に対する敬愛の念がひしひしと感じられる。そしてまた、世間的には成功者とは言えない兆民ではあったが、その生き方、考え方の真髄が、秋水の筆を通して読む者に畏敬の念を覚えさせる。
秋水の文章は非常に引き締まった漢文体で書かれたものであるが、120年ほど前のこの文章を読むことはできるけど、自分では絶対に書けない。文化の断絶だが仕方ないのだろうな。 -
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https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/787253