柳宗悦民藝紀行 (岩波文庫 青 169-5)

著者 : 柳宗悦

制作 : 水尾 比呂志 

• 岩波書店 (1986年10月16日発売)

感想・レビュー・書評

[ayauさんの感想 · 2024年2月9日]

実用向きで変に美しさを志向していない品を美とする確固たる哲学とそこから決してブレない美醜の判断が印象的だった。ここに収録された紀行文は、柳さんの思想も蒐集の手続きも熟練してると思った。だからこそ民藝に傾倒するきっかけや哲学が確立するまでの過程(できれば試行錯誤の様子)も柳さんの文章で読んでみたいと、新しい欲求がわいた。雑誌「民藝」も読んでみたい。私も民芸品が好きであるが、そういった暮らしの品々に目を向ける・愛着を持つということこそが柳さんに発明された感覚であることを実感。

[あるふぁさんの感想 · 2022年4月19日]

民藝紀行集。文章は慣れるまでとっつきにくかったけれど、語られる内容はとっつきやすかった。民藝は日常用いる工芸品。だからこそ、実際に使われることが美しさであるということを口を酸っぱくして語る。素朴なものが美して強いというのが柳宗悦さんが譲らない考え方。そのために日本全国を駆け回った。和紙が好きで、ずいぶんと投資をし、貧乏にさせたが、心は豊有にさせてもらったというエピソードが好き。時は違えども、何かを好きになる気持ちや、金銭的には貧しくなっても、心が潤う感性は変わらぬものなんだ。と。

[うーさんの感想 · 2020年5月7日]

実用向きで変に美しさを志向していない品を美とする確固たる哲学とそこから決してブレない美醜の判断が印象的だった。ここに収録された紀行文は、柳さんの思想も蒐集の手続きも熟練してると思った。だからこそ民藝に傾倒するきっかけや哲学が確立するまでの過程(できれば試行錯誤の様子)も柳さんの文章で読んでみたいと、新しい欲求がわいた。雑誌「民藝」も読んでみたい。私も民芸品が好きであるが、そういった暮らしの品々に目を向ける・愛着を持つということこそが柳さんに発明された感覚であることを実感。

[yoshidamasakazuさんの感想 · 2018年5月24日]

柳宗悦 の 精選 民藝紀行集。柳宗悦が 簡素、自然、伝統に美を見出したことがわかる

「凡夫成仏」天才でなくても独創でなくても 美しさを示す道が凡夫に用意されている
「模様は絵画と同一でない」絵画に従属している限り 正当な模様にならない
「赤には人間の意向が働き、黒には自然の意思が働く」

並々ならぬ美しさ
＊反復→仕事の熟達→技の完成→美の保障
＊個性を欠く→それ故に かえって 普遍的
＊多く描く＝図柄を略化→結晶されてくる

「反復であって反復でない」「いつも今描かれている絵」
昨日にも明日にも縛られず、存在するのは 即今の連続のみ〜いつも絵に新鮮さがある

[Technicoさんの感想 · 2012年10月22日]

内容（「BOOK」データベースより）
美しい品物。良い工藝を求めて、日本各地・朝鮮・中国の民藝を訪ね歩いた柳宗悦(1889‐1961)の紀行文を中心に19篇を精選した民藝紀行集

[outoさんの感想 · 2009年4月20日]

知識があるにも関わらず、感情的に書かれた日記。
あまりに感銘をうける。

著者プロフィール

柳宗悦（やなぎ・むねよし）：1889-1961年。学習院高等科在学中に雑誌「白樺」創刊に参加。主に美術の分野を担当した。東京帝国大学哲学科を卒業後は宗教哲学者として活躍。濱田庄司、河井寛次郎、バーナード・リーチ、富本憲吉らと出会い、「民藝」という新しい美の概念を打ちたてた。眼の人として知られるが、柳のまなざしは、物の美しさだけではなく、物を生み出した人や社会にたえず注がれていた。

「2023年 『新編　民藝四十年』 で使われていた紹介文から引用しています。」