神の国 1(聖アウグスティヌス) (岩波文庫 青 805-3)

  • 岩波書店
3.54
  • (4)
  • (1)
  • (7)
  • (0)
  • (1)
本棚登録 : 97
感想 : 5
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (473ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003380536

作品紹介・あらすじ

二つの国「神の国」と「この世の国」とは人間の歴史をとおしてどのように進展していったか。第15巻〜18巻を収録する。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ¥105

  • キリスト教の公認(コン、ミラノ勅令)313、キリスト教の国教化(テオドシウス)392、ローマ帝国東西分裂 395、西ゴート族によりローマの町が破壊される410、神の国426★、西ローマ滅亡476

    人は言う。「ゲルマン民族の移動で西ローマは没落。この災厄は、ローマ古来の神々をないがしろにして、キリスト教を擁護したからだ」と。しかし、キリスト教を受け入れる前から西ローマは自然災害や戦争の惨禍に見舞われていた。キリスト教のせいじゃない。▼国家は人民のもので、法の同意、利害を共有することで結びついた集団だとする見方(キケロの定義)があるが、けしからん。国家は神を愛し、神に服従する人間を成員とする(神の国)。最後の審判で、神の国の成員には永遠の平和と幸福がもたらされる。▼神の正義がなければ国は大きな盗賊団にすぎない。小さなつまらぬ舟で略奪すると海賊と呼ばれ、大艦隊で略奪すると帝王と呼ばれる。アレクサンドロス王は海賊王である。アウグスティヌス『神の国』426

    人間は本来、無であって、神は無から人間を創造したのだから、放っておけば無にしかならない。告白。▼知恵・勇気・節制・正義(プラトン)よりも愛・希望・信仰の方が大切。▼神とイエスと聖霊は一体。

    ※アウグスティヌス。住んでいた町ヒッポ(現アルジェリア)がゲルマンのヴァンダル族に包囲される中、息をひきとる。
    ※世界は一冊の本だ。旅をしない者はその本の1ページ目だけを読んで閉じてしまうようなものだ。

    *********************
    人間という普遍がまずあってはじめて個々の人が成立する。アダムの罪は人間の罪であって、私たち人間は罪を負っている。普遍実在論。トマス・アクィナス『神学大全』1266
    *人間という普遍を否定されると、人間の罪が否定されてしまい、キリスト教の教えが成立しないので、教会は普遍実在を必死に主張した。

    物質は肉体のため、肉体は霊魂のため、霊魂は神のために存在する。トマス・アクィナスAquinas『説話』

    個別の人は自然界に存在するが、「人間」は存在しない。「人間」は人が後から作り出した言葉・名称にすぎない。アダムの罪はアダム個人の罪であって、私たち人間一般は罪を負っていない。唯名論。▼自然界に存在しない「人間」について思考をめぐらす必要はない。個別の人と人間をカミソリで切り離していく。個別と普遍をカミソリで切り離していく。▼哲学は神学の一分野として考えられているが、神学と哲学は切り離して考えるべき。認識できるものだけを探求すべき。オッカム村のウィリアムWilliam of Ockham (1285-1347)

    ***********************************

    誰が言ったかではなく、何を言っているか、に心を用いよ。トマス・ア・ケンピス『キリストに倣いて』1418

    ****************************

    カトリックの秘蹟(サクラメント)。洗礼・聖餐などの神の恩恵を信徒に与える儀式。この儀式により、信徒が救済されることはない。信仰によってのみ救済されるのであり、儀式では救済されない。cf. 日本の密教と顕教。マルティン・ルターLuther『95か条の論題』1517

    人が救われるか・救われないか。神はすでに決めている。人が生まれる前から決まっているので、現世の行いは関係ない。禁欲すれば救われるのではない。救われる者はそもそも禁欲をするはずだ。予定説。▼神はとてつもなく偉大。比して王や領主なんぞ取るに足らない。神のためなら、伝統や社会の仕組みなんぞ取るに足らない。▼酒は理性を失わせる。飲んではいけない。酔っぱらってはいけない。▼娯楽だめ。質素。音楽もだめ、彫刻もだめ、聖書の詩を朗唱する際も心を旋律に向けてはいけない。ジャン・カルヴァンCalvin『キリスト教綱要』1536

  • 内容が分かりにくくて、未だに、読みこなせてないんだよなー。
    時代が違いすぎるからかな。
    どういう本なんだ?これは?

全5件中 1 - 5件を表示

著者プロフィール

4~5世紀、北アフリカで活躍した初期キリスト教のラテン教父の一人。ヒッポの司教。アウグスティヌスによってそれまでの思想は完成され、のちのキリスト教思想の根源になったとされる、ヨーロッパ・キリスト教思想史最大の神学者。

「2023年 『アウグスティヌス著作集20/Ⅱ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

アウグスティヌスの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×