- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003415122
感想・レビュー・書評
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マルクスの『資本論』を修正して、独自の解釈、思想を展開した宇野弘蔵のエッセンスがこの本に凝縮されている。全体的に抽象的な内容が延々と続くので、本書を1回読んだだけでは到底理解できないが、この本の巻末にある『資本論』の問題点を参照しながら読むと、ソ連時代に台頭した正統派(マルクス・レーニン主義)と異なった読み方で、資本主義の構造を知ることができる。これを読むと、資本主義が恐慌で容易に崩壊せず、むしろ次第に資本主義が強化されていくことがわかる。
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いわゆる宇野理論による『資本論』の古典的解説書。著者の宇野弘蔵博士は、東北帝大、東京大学、そして法政大学社会学部において教鞭を取り、多くの有意な学徒を育てた。法政大学教授であった期間には、法政大学経済学部通信教育課程の講義を担当したこともあった。
現在一般に指すところの経済原論とは、ミクロとマクロの両経済学ということになるが、本書のいう経済原論はそうではない。宇野理論によるマルクス経済学の平易な指南書として古典の資格を有する本書は、流通論、生産論、分配論という三つのセクションを通じて、資本を主人公とした商品経済≒資本主義経済の原理的仕組みを一から描き出しており、そういう意味での経済原論である。
近年の大学の講義において採用されている経済原論との大きな違いは、①資本が利潤追求行為を連続的に繰り返して成長(膨張)する過程の陰に、「資本主義社会の階級制」が潜んでいることを明らかにする意図が存在すること、②労働価値説に依拠して供給側の事情に重きを置いており、需要側の事情には殆ど言及していないこと、③分析手法が記述に偏っており、数理的分析としては簡素な数式や図式が部分的に用いられているに留まること(しかしそれらは『資本論』を範としているものの、”言い得て妙”ではある)、以上に要約できるだろう。
なお、叙述において全体的に句点を多用する傾向があり、文章がやや冗長ではあるが、それで読むことを断念してしまうのはもったいない。現実の経済現象の分析において市場経済が機能不全に陥っている部分を是正するための解を見つけ、あるいは近年の経済理論における価値論的間隙を埋めるヒントを得る意味でも、本書を読み込むことをお勧めしたい。 -
2022I224 2023I029 331/U
配架書架:A4(立志課題図書 世界を知る、社会を変える) -
大学生のうちに『資本論』くらい読んでおきたいけれど、長すぎてしんどい……という人へ。『資本論』の解説書はたくさんありますが、そうやって大雑把に内容を把握して「読んだ」というアリバイを作るだけで、本当にいいですか? 自分の頭で理解し、真の意味で「読んだ」と言えるためには、どういう「読み」が必要なのか、本書を読んで考えてみてください。
(選定年度:2023~) -
第1篇 流通論(商品;貨幣;資本)
第2篇 生産論(資本の生産過程;資本の流通過程;資本の再生産過程)
第3篇 分配論(利潤;地代;利子)
著者:宇野弘蔵(1897-1977、倉敷市、経済学)
解説:伊藤誠(1936-、東京都、経済学) -
佐藤優が指摘しているように、言葉足らずの正当論なので、時間をかけてじっくり読み解いていかないと理解できない。ひとまず読み終わったが物足りない。
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331||Un
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1964年の文庫化らしい。
■白151-2
■体裁=文庫判・並製・288頁
■定価(本体 800円 + 税)(未刊)
■2016年1月15日
■ISBN978-4-00-341512-2
宇野弘蔵(1897-1977)は,『資本論』を精確にかつ批判的に読むことで,社会科学としてのマルクス経済学を構築した.本書は,宇野経済理論の基礎をその中心部分において集約的に述べた代表的著作.マルクス『資本論』への望みうる最良の手引書であると同時に,いまだマルクス経済学への根本的な問題提起を喚起し続けている内在的批判の書でもある.(解説=伊藤誠)