支配について──Ⅰ 官僚制・家産制・封建制 (岩波文庫 白210-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (560ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003421017

作品紹介・あらすじ

支配はいかにして成り立ち、何によって支えられるのか。支配の諸構造を経済との関連で論じたテクスト群。ウェーバー没後に編集された『経済と社会』のうち、『支配の社会学』として知られてきた部分を全集版に基づき訳出。詳細な訳注や用語解説を付す。Ⅰは官僚制・家産制・封建制をめぐる章を収録する。(全二冊)

感想・レビュー・書評

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  •  学生だった云十年前、政治学や社会学の講義では、ウェーバーの『プロ倫』は必読文献、『支配の社会学』は大体参考文献に挙げられていた。当時『プロ倫』はなるほどと思う程度には読んだものの、『支配の社会学』は、いかにものドイツ的な固い文章が読みにくかったし、叙述されている事項について基礎知識にそもそも乏しかったため、官僚制とカリスマの箇所をつまみ食い的に読みはしたものの、途中で挫折してしまった。
     今回、文庫版の新訳が出たということで、再チャレンジ。

     はじめに、「支配」の定義その他の概論的事項について叙述。続いて、「官僚制」「家産制」「封建制」の議論に。
     「官僚制」は現代にまで続いている仕組みであり、また自分も社会人として長く組織で勤務したこともあって、なるほどと思う箇所が多かった。
     「家産制」「封建制」については、ウェーバーが古代のエジプトやローマ、中国、ヨーロッパ、イスラームそして日本まで、多くの歴史的実例に基づいて議論を進めていることに今回気付いた。(その例が今日の学問水準から見て正しいと評価されているかどうかは分からないが、)だからこそ、歴史が単純に一方向に進むものではないことをいろいろな箇所で論じているのだろう。
     そしてまた、本書が『経済と社会』という全体の中に置かれていることからも分かるように、家産制や封建制といった仕組みを支えている、あるいはこれらの仕組みが影響している”経済”というものの位置づけの重要性というものもある程度理解できた。

     訳者は訳語や訳文について、一般読者に分かりやすいようかなり留意してくれているように思う。この調子で行けば、Ⅱも完読できそうだ。
     

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著者プロフィール

1864-1920年。西洋近代について考察したドイツの法学者・経済学者・社会学者。代表作は、本書に収められた講演(1919年公刊)のほか、『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』(1920年)など。

「2018年 『仕事としての学問 仕事としての政治』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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