- Amazon.co.jp ・本 (393ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003500033
作品紹介・あらすじ
たんなる文学史に留まらず、ドイツ文学のなかのゲルマン的精神に迫ろうとした本書は、刊行以来多くの読者に深い感銘を与えてきた。そしてドイツ統一という新しい時代を迎えたいま、戦後文学を詳述する一章を加えて同時代の文学史として読者の要望に応えうる内容とした。
感想・レビュー・書評
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論文用
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とにかく当方のドイツ文学に対する知識が絶対的に不足しているもので、おそらくは簡潔にまとめようとしているであろう案内が十分なものなのかも判断できず、、、
ただ、一点。東ドイツにおけるナチスの克服は社会主義の貫徹によりなされたと信じ込まれていて、壁崩壊後はそれが疑われているみたいな論調は、最近の極右の台頭に関する新聞解説でも読んだ記憶があります。
どうもこれって紋切り型の思い込みのような感じがする、さしたる根拠はないですが。ただ、ドイツの闇を見るような気がするし、更に言えばそこから目を逸らしているような日本の知識人の論調も気になったりして。ちょっと考えさせられる今年の夏に加わる本でした。 -
本書の内容に不満はないというか、むしろとても興奮しながら読んだのだが(やはり社会情勢との関わりが分かると面白い)、「これ読んでみたいな」と思った本がアマゾンで検索してみるとだいたい無いのには少し気落ちした。この紙面の限られた文庫本一冊の中ですら、これだけ時代のふるいにかけられた作品があるというのは驚きだったし、その点に文学史を綴った本文の記述からよりもむしろ歴史の儚さを感じてしまった笑。
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新書文庫
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基礎的なものを学ぶには最適。ここから興味あるものを掘り下げていかなければ、意味がない一冊ともいえる。
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著者自ら「文学史ほど頭に入らないものはない」と断言する事で、作品のイメージを損なわない範囲で、著者の意見が述べられていて分かりやすく仕上がってます。その上で時代背景や人物紹介はきっちりされているので、テンポ良く読めてしまいます。ドイツ文学史の本ならこれで決まり!!
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名訳者手塚富雄氏によるドイツ文学史。時代背景や人物紹介、簡単な作品紹介があり社会と文学の関連がよくわかる。近現代が少ないのが残念なところ。
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かつてこのドイツ文学案内を、高校・大学時代に繰り返し読みましたが、今回、トーマス・マンを再読した機会に、その増補版を読み直しました。通時的なドイツ文学史のスタイルではなく、ポイントを絞って紹介するというスタイルが、読みやすいです。また、「ドイツ」と「ゲルマン」という言葉の成立とその意味の違いから説き始める構成も、あらためて納得しました。
内容的には、本書はドイツ文学を、詩と小説に焦点を当ててその作家を中心に取り上げている一方、良くも悪くもドイツ国内はもとより海外にも強い影響を与えた哲学・思想については、へーゲルやニーチェなどについて簡単に触れる程度であることに改めて気付かされ、加藤周一『日本文学史序説』を通過した目でみると、物足りなさを少し感じました。もっとも、これは、主に手塚富雄さんが執筆した原著部分と、神品芳夫さbんが増補された戦後~東西統一までの部分で、ややスタンスが異なるようですが。
とはいえ、「どの国の文学でもそうであろうが、ドイツ文学の最良の部分は、社会的あるいは精神的に弱い立場にある人々のために書かれたものである。読者のみなさんも、その方向でドイツ文学の奥の深さを探索して、心の慰めと行動への勇気を見つけ出していただきたい」(神品)というメッセージは十分伝わってきます。 -
今更ながらちゃんと学びたい意欲がむくむく。
読んでみたい作品たくさんあるなー。 -
とてもよい本です。
文学の案内書、入門書というものは、たいてい作品を羅列するか、文学史を俯瞰して終わってしまうけれど、
この本は(断りの上で)筆者の感想や想いを織り交ぜつつ書いてあり、作品への興味が深まります。
立派な学者は人間の立派なんだなぁ。
ドイツ文学入門に最適の一冊。