- Amazon.co.jp ・本 (214ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004000051
感想・レビュー・書評
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白樺派の代表的な作家である武者小路実篤による人生の意味や恋愛、仕事について著者の視点から述べられた一冊。1938年に出版された本ではあるが、比較的読みやすい内容となっている。
「人間はただ生きる為に生まれたものではない。だからただ無意味に生きているだけではもの足りない。空虚だ。生き甲斐を感じられない。何かする為に此世に生まれてきたのだ。人生にとって長生きが唯一の目的ではない。又健康であること、そのことが人生の目的ではない。健康も、長生きも、つまりはこの世に自分のなすべきことをしてゆく為に必要なのだ。」(p.111)
健康であることを目標に生活をしてしまうことが時々ある。だが、健康それ自体はあくまで目的ではなく、生きていく過程で得るものである。それは自分が何かに向かって生きていくうえで必要な要素であるだけなのだということを知ることができた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
人生の目的や恋愛、仕事、あるは本能や道徳といったテーマについて著者の感想がつづられたエッセイです。
本書の刊行は1838年ですが、当時の時代状況のなかで、本書のような白樺派的な理想主義にもとづく人生論が執筆されていたということには、「お目出たき人」だなあ、と皮肉な気持ちが生じてしまいます。
なお、藤井淑禎は『純愛の精神誌―昭和三十年代の青春を読む』(1994年、新潮選書)のなかで、戦後において人生論の隆盛があり、亀井勝一郎らとともに老大家であった武者小路の著作もその潮流のなかで広く受け入れられていたことを指摘しています。人生論というジャンルも、それぞれの文章が書かれた時代状況を刻印されたものであることにはちがいがなく、本書についてもそのような観点から突っ込んで考えてみる必要があるのではないかという気がします。 -
80人生論 武者小路実篤
・健康は人生の目的ではなく、最初の条件
・人生は理屈で見ればくだらないもの。客観してみれば虫の生活とそう違わない。自然にとって、われらの生死は問題でない
・われらの救いは肉体になく精神にある。肉体は死に勝てないが、精神は勝てる
@cpa_1992
・人間の価値は他人によって決まるのではなく、精神の深さで決まる「小人は同じて和せず、君子は和して同ぜず」自分の意見は持っているが、尊重しあい仲はいい
・真理というのは、万人全体を活かす言葉 -
著者:武者小路実篤(1885-1976、千代田区、小説家)
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悟りだ。
あと5年早くこの本に出会ってれば、人生は変わってたかも知れない。 -
自然主義者にして理想主義者、お人好しのオポチュニストである武者小路実篤が、切々と「人生如何に生く可きか」を説いている。パロディじゃないのか?と思えるぐらい、実篤的、あまりに実篤的な内容。それだけに大変楽しく読めた。「しかし」の多い文章で、そこに人柄が出ている。内容は同じことの言い換え、繰り返しが多く、晩年あのようにボケたのも頷ける。