- Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004130147
感想・レビュー・書評
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現在のヨーロッパが何であるのかを知るために、まず成立の過程を理解することから始まる。
明治時代に日本人がものすごい勢いで輸入したヨーロッパだが、見落とされた部分は多い。何世紀もかけてできあがったヨーロッパ意識もその一つ。その背景はどうであったのか。
著者は「ちょっと風変わりなヨーロッパ論である」とことわっているが、ヨーロッパがどのようにしてできたのか、またそれはどうしてか、をこれ以上なくわかりやすく解説している。
ローマ帝国が崩壊したから、ゲルマン民族が大移動したから、キリスト教が公認されたから、カール大帝が帝国を支配したから、封建制度ができたから、今日明日でヨーロッパができたわけではない。
著者の持論に、あぁなるほどとうなずける。
そうじゃないんだ、という驚きもいっぱい、
何度か読み返してもきっとためになるであろう。
ヨーロッパを歩くのがまた一段と楽しくなるすばらしい一冊。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
私がヨーロッパ史を学ぶうえでベースにしている本
わかりやすいし、古本屋に結構出回ってるからおすすめ -
ロシアのウクライナ侵攻を見て、ヨーロッパの歴史を少し勉強しようと思い、読んだ本。
「地政学」とは、もともとは「地理的諸条件を基軸におき、一国の政治的発展や膨張を合理化する国家戦略論」という意味であった。「地理的諸条件」というのは分かったような分からないような気がしていたが、この観点からこの本を読むと「なるほど」と思うことがいくつもあった。
例えば、
東からフン族(4-6世紀)のような騎馬民族が攻めてきた場合、地形が平坦な東ヨーロッパでは食い止めるのは困難で、西ヨーロッパの東の境のカルパチア山脈まで侵攻されてしまう。実はこの辺りがヨーロッパ文化の防衛線になり、結果として西ヨーロッパだけがヨーロッパ本体と考える考え方が潜在的に形成された。これは人種上や宗教上の問題とは異なるが、非常に大きな意味を持つ。 -
【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/702162 -
ヨーロッパの母体、原型を中世のフランク王国(特にカロリング朝)と捉える.
ヨーロッパというものを捉え直す経緯から丁寧に論じる.予備知識も朧げな高校世界史のもので足り、50年以上も前の本だが読みやすく分かり易い. -
金大生のための読書案内で展示していた図書です。
▼先生の推薦文はこちら
https://library.kanazawa-u.ac.jp/?page_id=18333
▼金沢大学附属図書館の所蔵情報
http://www1.lib.kanazawa-u.ac.jp/recordID/catalog.bib/BN01856986 -
MS6a
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Ⅰ ヨーロッパを知ることの意義
Ⅱ 現代の歴史意識と「ヨーロッパ」の問題
Ⅲ 地理的にみたヨーロッパの構造
Ⅳ 古代世界の没落について
Ⅴ 文化の断絶か連続か
Ⅵ 転換期の人間像
Ⅶ ヨーロッパの形成
Ⅷ ヨーロッパ社会の特色 -
先輩にあたる祖父のゼミの教官であった増田四郎の著作。一橋西洋史学四傑の一人だそうな。(ちなみに残りは三浦新七、上原専禄、阿部謹也)。
この本の問題意識は、WW1後に起きたいわゆるヨーロッパの地盤沈下に際し、時代の過渡期における人々の生活がいかなるものであったかというものである。そこで、増田が注目したのは古代ローマ帝国末期から中世にかけての人々の生活である。時代の過渡期の先例を吟味することで、現代に対して示唆を与える。まさしく社会科学としての歴史学の代表的著作。