山県有朋――明治日本の象徴 (岩波新書)

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  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (202ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004131205

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  • 安倍晋三、最期の読書。
    途中まで読まれたいたその本の
    盟友の伊藤博文に先立たれた有朋が詠んだ歌に線が引いてあったと菅義偉が国葬の友人の言葉で明かしている。

    かたりあひて 尽くしヽ人は 先立ちぬ
    今より後の 世をいかにせむ
    かたりあひて 尽くしヽ人は 先立ちぬ
    今より後の 世をいかにせむ

  • メモあり。

  • 統帥権干犯問題の原因を作ったのは山県有朋だと思っている。山県有朋とはいかなる人物なのだろうか。軍国主義を主導した人物だと思っていたのだけど、必ずしもそうではなかった。

    対抗馬である伊藤博文の死により(1909年)により、明治末期から大正期にかけて、権力の頂点に立った。伊藤博文が孤高の政治家であったのに対し、山県有朋は面倒見がよく権謀術・人心掌握に長け、軍部のみならず、政治や宮中も自分の配下の者を送り込み、周到に自分の地位を高めていった。現代風に言えば、最大派閥の領袖のような存在であり、企業で言えば、本社の会長あるいは顧問のような存在である(伊藤博文は優秀でありながら子会社出向を命じられたような存在)。

    山県が最も買っていた政治家は、原敬でさった。山県自身は政党を極度に嫌っていたが、第一次世界大戦により、ヨーロッパで革命が起きると、日本でも大正デモクラシーの機運になり、民意を無視せざるを得なくなった。原もまた老獪な政治家だった。山県は原の能力を大変買っており、普通選挙反対という点で、原と山県は意見を一致し、選挙法を改正し、納税額を10円から3円に切り下げた際、社会主義勢力が台頭しないよう、大選挙区から小選挙区へ切り替えた。

    また、シベリア出兵に際し、アメリカの了解を得ることを先決と考える等、日米関係についても心配していた様子が伺える。その脳裏にあったのは、やはり1853年の黒船の衝撃だったようだ。しかし、山県の死後、軍部に対する押さえが利かなくなり、日本は反米へと転落していく。

    本書は初版が1958年となり、また、引用も多く、やや読みづらい点があるのは否めない。

    <目次>

    一 生い立ち
    二 奇兵隊とともに
    三 「一介の武弁」
    四 組閣
    五 日清戦争と第二次内閣
    六 「元老政治」の中で
    七 築かれた権力の座から
    八 老い行く権力者の喜憂
    九 晩年とその死


    2014.04.25 読書開始
    2014.04.29 読了

  • 1958年刊行。著者は東京大学名誉教授。

  • とてもわかりやすく、興味深く読めた。

  • 元・東京大学法学部教授(日本政治史)の岡義武の手による山県有朋の古典的な評伝。

     近代日本政治史において、山県有朋が最重要人物であることは疑いが無い。「山県閥」と呼ばれる陸軍、枢密院、貴族院、官庁に張り巡らされた強固な組織基盤に立脚し、藩閥政府の中枢を約半世紀にわたって掌握し続けた彼に比肩できるような人物と言えば、伊藤博文ぐらいしかいないのではないか?

     山県こそは「陸軍」「藩閥」「非立憲」といったまさに明治の象徴的存在であり、帝国議会開院以来、民党から打破すべき対象とされた独裁的存在である。山県と民党との対立関係は、その前半期においては山県(+桂)vs伊藤政友会となり、伊藤の死後に政友会会長となった原敬が山県と部分的に協調しながら、大隈重信・加藤高明の憲政会を牽制するという鼎立関係が築かれていった。

     政党政治家と山県有朋という「水と油」を描くことで、山県が求めた国家像が浮かびあがってくる。

  • [ 内容 ]
    幕末の尊攘派志士、日本陸軍の建設者・大御所として、また総理大臣・元老として政界に君臨した山県の姿こそ、戦前における天皇制的な「政治的人間」の一典型である。
    「閥族・官僚・軍国主義の権化」として憎まれ、怖れられたこの軍人政治家の生涯の照し出す日本近代史の過程と構造は、現代政治の課題に今なお深くつながるものである。

    [ 目次 ]


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    [ 参考となる書評 ]

  • 日本史をやった人には懐かしい内容かも。

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