- Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004203575
作品紹介・あらすじ
日ごろ何気なく目にしている花や木も、実は多様な民族の、長い文化的営為によって生みだされたものであった。著名な植物学者が、世界史の中での花文化の発展や、民族による花の美意識のちがいを探りつつ、現在見られるあでやかな栽培花卉がどんな道筋をたどって変貌してきたのかを語り、また日本の園芸文化の独自性に説き及ぶ。
感想・レビュー・書評
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2023/8/19(土)まで本館で、草木に関する企画展示が開催中であり、それに触発され、毎日出版文化賞受賞の本作を読むことにした。同氏の著書に接するのは、学生時代のゼミ課題図書であり、アニメの宮崎駿監督も影響を受けた「栽培植物と農耕の起源」(岩波新書 青版)以来。
日ごろ何気なく目にしている花や木が、多様な民族の長い文化的営為によって生みだされたものであり、東洋と西洋の花卉園芸文化、虫・鳥・人間の立場から捉える花の美しさ庶民と花の文化などについて、愛情をもって丹念に解説されている。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
花をそだて鑑賞する花卉園芸文化が、世界の各地でどのようにして生まれ、どのような歴史をたどったのかということを解説している本です。
著者は、世界の花卉園芸文化の系統分類をおこない、「西洋花卉園芸文化」と「東洋花卉園芸文化」の二つの系統が、花の美しさを愛でる文化として大きな潮流をかたちづくっているという見かたを提示しています。そのうえで、「西洋花卉園芸文化」は、メソポタミア、エジプト、ローマなどの地中海地域にひろまり、その後西ヨーロッパを中心に新たな展開を見ることになったとされます。他方「東洋花卉園芸文化」は、中国を中心に展開され、やがて日本において発展することになったとされます。
こうした大きな見取り図のもとで、世界各地および日本において花の栽培がおこなわれてきた歴史が説明されています。 -
照葉樹林文化圏の提唱者の一人、中尾佐助の名著。
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あたりまえに考えていた花や木の中に
日本独特の感性、美意識はあったのだと
思いなおしました。 -
農業発生時の植物の栽培化でも感じたけど、野生にあった植物を、人の手で栽培し始める、という変化は、こうも社会で暮らしながら多様な植物に囲まれて生きていると、意識から抜け落ちてしまう。
実際、プラントハンターと呼ばれる西洋の探検家たちは、東アジアからたくさんのし花木を持ち帰り、改良・栽培化したのだ。
あまりにも植物知らなくて、さらっと読んでしまったが、
独自の美意識から、日本人は優れた、美しい、高尚な、マニアックな、たくさんの花や木を作り出して楽しんできたことがわかった。
その美意識は、どこから生まれたのだろう。
当たり前と思ってることが、世界的には稀であることに興味がそそられる。 -
? 216p 1986・11・20 1刷
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2009/11/15図書館で借りる
中央 XS 4 357 書庫にあります