正倉院 (岩波新書 新赤版 42)

著者 :
  • 岩波書店
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (198ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004300427

作品紹介・あらすじ

「海のシルクロード」を旅した宝物、輸入品が長らく国産品といわれていた謎、そして屏風の下貼に使われていた輸入品購入申請書が語るものは何か-。著者は、正倉院にまつわる興味深いエピソードを紹介しながら、古代の日本が外国文化を採り入れ享受していった様子をたどり直し、秘められた日本文化の深層を探る。

感想・レビュー・書評

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  • 六本木のミッドタウンにあるサントリー美術館で「正倉院宝物」展を開催している。模造品を展示しているが見ごたえがあった。奈良国立博物館では毎年「正倉院展」を開催するくらい人気がある。





    正倉院に人々がひかれるのか。珍しい宝物が今の時代にまで残っていて見るチャンスがある、このことに尽きる。





    正倉院宝物の中でも、ガラス器などが人気がある。特に有名なのは、紺瑠璃の杯(つき)と喚ばれる酒杯と述べている。




    瑠璃は元来、古代インドの言葉で、紺色の貴石、ラピス・ラズリを意味する。




    中国では、西方伝来のガラスを瑠璃と早い時期から呼んできた。




    このガラス杯は、正倉院の宝物に見られる典型的な輸入品だ。





    正倉院の宝物は、地味なものが多い。浮かんでくるのは、お香に使う香木がある。「蘭奢待」(らんじゃくたい)の別名を持つ黄熟香(おうじゅくこう)は、中世以来、名香として知られていた。




    足利義政、織田信長、明治天皇などがこの蘭奢待の一部を切り取らせて、香りを楽しんだ。






    この香木は、昔から熱帯アジアが産地だ。インドネシア、インドでも採れる。香木という種類の木があるわけではなく、ある種のジンチョウゲ科の木の幹に樹脂や精油の付着したものが、沈香になる。これは初めて知った。





    あの小説家・軍医として有名な森鷗外に意外な肩書があった。それは、1917年に帝室博物館総長に任命されたことだ。1920年に、鷗外は、以前、高官にしか認められていなかった正倉院内拝観の枠を、研究者にまで拡大するように改正した。




    正倉院の魅力は尽きることはないなあ。

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  • 昨年の秋、天皇在位20周年ということで、久しぶりに東京に正倉院の御物がやってきた。そのデザイン性は素朴でありながら、とても優雅である。香しかり、鳥毛立屏風しかり、楽毅論から木簡、どれをとっても興味がつきない。中国朝鮮半島を経由してやってきたものばかりでなく、国内産あり。ということはその頃の模倣の技術もまたかいま見えておもしろい。知的好奇心をくすぐられる。

  • 昨年の秋、天皇在位20周年ということで、久しぶりに東京に正倉院の御物がやってきた。そのデザイン性は素朴でありながら、とても優雅である。香しかり、鳥毛立屏風しかり、楽毅論から木簡、どれをとっても興味がつきない。中国朝鮮半島を経由してやってきたものばかりでなく、国内産あり。ということはその頃の模倣の技術もまたかいま見えておもしろい。知的好奇心をくすぐられる。

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