- Amazon.co.jp ・本 (204ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004304715
作品紹介・あらすじ
「悪を正す」「豊かな者から奪い、貧しい者に与える」等々、民衆のヒーロー=義賊はさまざまな伝説に彩られている。義賊は実在したのか、「盗賊」とどこが違うのか、どのように伝説化したのか、またそれは何故なのか。ロビン・フッド論争から説きおこし、ハンガリーの国民的義賊シャーンドルの検討を通じて、民衆の記憶と夢を考える。
感想・レビュー・書評
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ハンガリーの国民的な義賊とされるロージャ・シャーンドルを通じ、どのような行動が義賊のものとして見なされてきたかやその存在の意味について探る。同著者の『ハンガリーに蹄鉄よ響け』と被る内容も多いが、こちらは世界各地で義賊と見なされている存在についても触れられている。歴史上の人物というと真の姿ばかり追い求めてしまいがちだが、実像とかけ離れた伝説の中にもその伝説を信じた当時の人々の希求が込められているということは忘れずにいたい。
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義賊と言うと想起するのは、鼠小僧だろうか。
本書は、そんな触りから、ロビンフッドを引き合いに出し、ハンガリーの実在した義賊ロージャ・ジャーンドルについての一冊。
義賊。富める者から奪い、貧しき者へ与える。このようなイメージが強いが、この考え方は18世紀以降の近代的な価値観ようだ。それ以前の義賊は「権力者の悪を正す」ということがイデオロギーであったとのこと。
日本の初期の任侠世界に近いのだろうな。戦後直後の自警団的な意味合いも兼ねていたしね。
農業から工業へ、社会主義から資本主義へ、旧体制から新体制への変革期には義賊が大衆の夢を代替し体現するようだ。エチオピア辺りの体制批判バビロンも、イタリアマフィアなんかも義賊の範疇に入る。
ただ、近現代的な法治国家に則った場合はどういう者が庶民、大衆の義賊に成りうるのだろうか。
ジャーンドルが対象にした奪う目標は、国や政府ではなく、あくまで貧しき農民を管理する富農や農場管理者など、地方権力者であった。
近年では、Facebookでのジャスミン革命なんかがあったけども。こういったSNSやネットを含んだ攻撃だと、ウィキリークスのジュリアン・アサンジ辺りがそうなるのかな。
しかし、長範が本書中に取り扱われなかったのは個人的に残念だ。ま、伝説上の人物とされてるから仕方ないか。 -
歴史の転換期。
それまでの秩序と価値観が崩れ、
民衆は自身の正義心による判断をせざるを得なくなる。
その正義心を体現しているのが、「義賊」なんだそうです。
ゆえに歴史の転換期には、
義賊への関心が高まり、再評価が広がるんだとか。
一時の小泉元首相も、そんなところだったのでしょうか?
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19世紀ハンガリーの義賊ロージャ・シャーンドルの伝説と実像を主に取り上げ、そこから社会史的な視点から、世界史における「義賊」をどう位置づけるかについての議論への視座を提供。わかりやすい。
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大して面白くない。