子どもの社会力 (岩波新書 新赤版 648)

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  • Amazon.co.jp ・本 (213ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004306481

感想・レビュー・書評

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  • かなり前の本だが、現在の状況に当て嵌めても通じる論旨...。この20年、人は進化していないのか?と考えさせられる一冊...。「子ども」と「大人」の違いって?大人の傲慢や錯誤が現代社会を生み出していることは間違いない。

  • 子どもの社会力が失われている。どうすればよいか。

    ●他者を嫌い、回避する傾向が増えた。相互交流の減少が背景にあると考えられる。
    ●子どもの社会力は、生まれたときからのさまざまな相互交流で成長する。子ども自身がそのような力を備えている。

    社会学的な視点かと思いきや、子どもの成長発達のところでは発達心理の知見も述べられていて、幅広く知ることができておもしろかった。
    ただ、「昔はよかった」という雰囲気が漂ってきているのは否めないかも。

  • 社会力:社会的動物ないし社会的存在たるに相応しい人間の資質能力
    「社会性」が既にある社会に個人として適応する側面に重きを置いているのに対し、社会力には、一つの社会を作りその社会を維持し運営していく力という意味を込めている。

  • 読了。乳児の社会的微笑の解説は育児の参考になった。

  • <blockquote>「いじめ」「学級崩壊」など,子どもたちをめぐる深刻な状況の根本的原因は何か.他人への愛着・関心・信頼が失われていく背景を追うことで,著者は「人と人がつながる力」「社会をつくっていく力」としての「社会力」の意味と重要性を示し,成長過程で必要な大人の働きかけや,「冒険遊び場」といった地域での実践を訴える. </blockquote>

  • 毎日のように書店に通っていたころとは違い、大切な本を見落とすことが多くなっている。この本もそうだった。発行から1年以上すぎ、同じ著者の対談「大人の条件」(岩波書店)を読んで、その存在を知った。これは絶対読んでおかなければいけないと思った。だから、最初読み始めたときはちょっと物足りなさを感じた。なぜなら、はじめの3章くらいは今まで他の本で読んできたようなことばかりだったから。その上、オオカミに育てられた子どもの話がまともに取り上げられている。この話、高校くらいの教科書に載っていて、たぶん信用している人が多い話だと思う。私自身も大学に入るまで信じていた。教育心理学の授業で、そんなことはあり得ない、あれはずっと隠し通していた自閉症児のことだろう、と教わった。なるほど。それでもその後、テレビや本で何度となく同じ話をまともに扱っている。僕自身、この話にきっちり結論をつけられたのは、「人間性はどこから来たか」西田利貞著(京大出版会)を読んでからだ。最近、新書にしか手を出さない僕がこの大著を購入したのは、「はじめに」でこの話はウソだと断言されていたからだ。それ以降、だれがこの話を紹介しようとも、自信を持ってウソだ、と言える。さて、そうは言っても、後半の2章は大変興味深かった。具体的にどういうことをすることで、子どもたちの社会力を養っていけるのかという話がおもしろかった。ところで社会力という言葉は著者の造語だ。著者によると、それは「社会を作り、作った社会を運営しつつ、その社会を絶えず作り変えていくために必要な資質や能力」ということらしい。社会性とは違う。たとえば、シルバーシートに座って寝たふりしている若者がいたとしよう。「全く社会性のない若者だ」、とふつう思われるかも知れない。でも考えようによると、「自分は疲れて席を譲りたくない、ここはシルバーシート、お年寄りなどが来れば席をかわらなければならない、だから寝たふりをする。」それだけのことをこの若者が考えているのだから、この若者には十分社会で生きていく力がある。援助交際をしてお金をもらったり、社会から引きこもって生きていくのも、現代社会に適応する新しいかたちなのかも知れない。こういうことを社会性と考えてみよう。そうすると「社会力」がはっきりしてくる。今の若者や子どもに欠けている「社会力」、それは社会に適応する力ではなく、社会を作り変革していく力なのだ。その力を養っていくには、まず乳幼児のころ周りが反応してあげることが大切だ。テレビやビデオに子守をさせておくのはやはり良くない。そして、学校に行く年齢になると、学校という社会で社会力が形成されそうに思うが、それだけでは不十分である。なぜなら、学校は同年代の子どもの集まりだから。社会力の形成にはいろんな世代の人との交流が大切だ。そのために、大人と子どもが一緒になって都市計画(公園づくりなど)にかかわっている街がある。「冒険遊び場」という呼び名で、危険も恐れず、プレイリーダーをはじめとする大人と交わってどろんこになって遊ぶ子どもたちがいる。「総合的な学習の時間」も学校内に閉じこもっているのでは意味がない。学校から飛び出して、街の大人たちと交流することに意味がある。その中で、社会の仕組みを知り、社会を作り変えていくすべを身につけるのだろう。では僕に社会力があるのかと問われると、ちょっと自信がない。社会のことで分からないことが多すぎる。もっといろんな人とかかわらなければ・・・

  • ○著者がいう「社会力」とは、いわゆる”コミュニケーション能力”と似て非なるものです。「社会力」は、他人と交流(相互行為)するだけでなく、社会(以下、地域や国、集団という程度の意味で用いる)とつながりをもち、自ら働きかけたり運営を担ってゆくための能力です。それが、社会を動かす原動力となると言うことですね。

    ○著者が子どもの社会力を問題視しているのは、子どもが社会の原動力となるどころか、自らそのつながりを断とうとしているのではないかということです。そこでこの本は、子どもがどのようにして社会的動物(アリストテレスの言葉が有名ですが、”ポリス的動物”をそのまま”社会的動物”と理解してよいのかは疑問に思う方もいそうですね)になるのかと言うことを問い、さらに社会力を子どもが身に着けてゆくために、親(大人)はどうしたらよいのかということを考えています。

    ○1999年の本ですから、話題に出てくる少年非行の問題視や偏差値批判、経済成長批判といったところは「古いな」と思う人もいらっしゃると思いますが、子ども(ひいては大人)と地域をどのようにしてつなげるか、あるいは、そのつながりにはどのような形がありうるかというテーマは重大で、そんな問いにこの本が与えてくれるヒントがあるかもしれません。


    ***


    ○ただ、気になったのはこのささいな一文。「この世を創造した神がいたとして、その神がヒトの子に高度な能力を与えたのは、ひとえに、それらの能力が他者との相互行為を開始し、持続するために必要であると考えたからであろう(p. 94)。」こう書いてしまうと、あたかもヒトの子が高度な能力を”持つように(何らかの作為、志向をもって)”進化してきたというニュアンスが出てしまいます。それを「冗談めかして書いたが、事実はほぼこう説明して間違いないはずである」とあるのが気になって仕方ありませんでした。”神がいたとして”というところから始まって、事実は・・・ほぼ・・・間違いない・・・とあるのがなんだかスッキリしなくて。ほかにも、こういう些細なところで気になったりはしましたが、それは些細なことです。失礼しました。

  • 1回生のときに出会った本。

    納得させられる点が多かったこともあるが、提供される話題がやはり古い。出版された年代を考えると当然…。

  • 読みかけなのでなんとも言えないが、孫引きばかり、というのが、データに信頼がおけないところ。

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著者プロフィール

門脇 厚司(あどわき あつし)
1940年生まれ、山形県出身。1970年、東京教育大学大学院教育学研究科博士課程修了。専門は教育社会学。筑波大学名誉教授。筑波学院大学学長、つくば市教育長等を歴任。
主な著書に『子どもの社会力』『社会力を育てる』(以上、岩波新書)、『学校の社会力』『親と子の社会力』(以上、朝日選書)、『社会力がよくわかる本』『社会力再興』(以上、学事出版) 、『社会力の時代へ─互恵的協働社会の再現に向けて』(冨山房インターナショナル) ほか。

「2020年 『社会力育ての現場を訪ねて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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