化学に魅せられて (岩波新書 新赤版 709)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004307099

作品紹介・あらすじ

白川博士の発言は、科学者としての枠をこえた魅力と希望を私たちに与えてくれる。ストックホルムでのノーベル化学賞受賞記念講演と、既発表の文章や対談を一冊にまとめて刊行。博士たちが発見した導電性ポリマーとは何か、発見にいたる経緯はもちろん、学問や自然への姿勢、研究体制のありかたなどが縦横に語られる。

感想・レビュー・書評

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  • ノーベル化学賞を受賞した白川先生の本。研究内容の説明や学生時代の話で、研究生活のイメージがわき良かったです。先生の研究は電気を通す高分子とのこと。

  • 昨年、日本で2人目のノーベル化学賞を受賞された、白川先生の受賞記念講演、インタビューや執筆物を集めたのが本書です。受賞前のものも多いのですが、さすがノーベル賞を取られるような方が書かれたものだと感じました。(もっとも、ノーベル賞を受賞されていなければ同じ著者の本は読まなかっただろうけど。)専門的内容になると、私も高校、大学と勉強したはずなのだけれど、全くついていけません。でも、村上陽一郎先生との対談は非常に楽しく読むことができました。村上先生がうまく引き出されているというのもあると思いますが、学生時代から研究者となって行かれる間のようす、それから大学での科学研究に対する考え方などがうまく語られています。私自身は、受賞前には白川先生の名前は全く知りませんでした。そんなすごいものを発見している日本人がいるなんてことを全く知らなかったのです。ただよく考えてみると、大江健三郎さんはまあ名前くらいは知っていましたが、利根川進さんのことはやはり受賞後に知りました。たぶん、佐藤栄作や川端康成は前もって知っていても、福井謙一郎のことは知らなかったと思います。みなさんは、日本人のノーベル賞受賞者9人の名前がすっと言えますか?残りの3人は・・・湯川秀樹は伝記物もあるから知っている人も多いでしょう。でも朝永振一郎はどうでしょう。ちゃんと、「トモナガ」と読めましたか。僕は物理が好きだったから、朝永先生の著作集を読んでいますが、ふつうはほとんど読まないですよね。それから、江崎玲於奈さん(「レオナ」がこのワードで一発で出たのに感動!)。それぞれ何賞を受賞されたかを一応書いておくと、物理・・・湯川、朝永、江崎、化学・・・福井、白川、医学生理学・・・利根川、文学・・・川端、大江、平和・・・佐藤、となっています。経済がいないんですね。ちなみに、数学にはフィールズ賞というのがあって、小平邦彦、広中平祐さん、森重文さんが受賞されています。こちらは、40才までしか受賞できないと決まっています。数学の世界は若い間が花なのだそうです。逆にノーベル賞はいつもお年をめされた方ばかりです。特に自然科学系は重要な研究をされていても、それがちゃんと世の中で認められるようになってからでないと受賞とはならないようです。アインシュタインは相対性理論ではないところで受賞しています。まあ、くわしい業績まではともかく、日本人のノーベル賞受賞者の名前くらいは知っておきたいものです。なお、気分的に故人のみ敬称略とさせていただきました。もし、名前の間違いとか、生きてるのに「さん」がなかったらごめんなさい。(いまとなっては、もう受賞者の名前をすべていうことができない。15年ほど前に書いたものです。)

  • 【推薦文】
    電気を通すプラスチック「ポリアセチレン」を作ったことでノーベル化学賞を受賞した白川英樹先生。彼の幼少期からポリアセチレン発見の経緯、これからの教育の希望などなど・・・。仏の文章とインタビュー形式でつづられていて、興味のあるところだけ読んでも十分面白く読みやすい。
    (推薦者:生命工学科 B3)

    【配架場所】
    大岡山: B1F-一般図書 430.28/Si, B1F-文庫・新書 081/Id/709
    すずかけ台: 3F-一般図書 578/Si

  • ノーベル賞受賞者のメッセージというのは,何かと心に響きますよね.

    個人的な感想としては,やはり基本に忠実にやっていくことが大事なんだと思います.

  • 著者は、 白川英樹先生本人となっているが、既出の雑誌インタビューや記念講演の内容を、新書一冊にまとめたもの。
    ノーベル受賞した研究成果を丹念に解説したものではないので、電気が通るプラスチックとは、いったいどんなものなのか?という素朴な疑問へのストレートな答は出てこない。
    大発見の例に漏れず、きっかけは触媒の濃度を1000倍に間違えたミスということになっているが、成功のモトになった失敗や苦労については多くを語らず。氏の科学や学問に対する考え方や人となりは、よく伝わってくる内容。何かに尖った天才肌というより、広い視野のゼネラリストの雰囲気を感じた。

  • 導電性高分子の発見と発展により2000年のノーベル化学賞を受賞した著者の講演やインタビューのまとめ。導電性高分子は一般には知名度は高くない(と思われる)が、ここ何年かのノーベル賞の中では比較的なじみやすい気がする。
    実験の失敗から偶然にもポリアセチレンのフィルムが合成できてしまった、という有名なエピソードだけでなく、その後どのように研究を進めたかなどが結構詳しく書かれている。
    実はポリアセチレンのフィルムを合成しただけでは特に何の反響もなかったという。ところがまたまた偶然アメリカから来ていたマクダイアミット先生が白川先生の研究について聞きつけて興味を持ち、アメリカで共同研究が始まった。共同研究チームには物理が専門の先生もおり、ドーピングによる導電機構の解明が行われ、それがノーベル賞につながった。
    この話に教訓があるとすれば、日本ではこの発見を有意義だとみなせなかったことに尽きるだろう。偉大な発見もそれをどう使うかが見いだせなければ、ほとんど意味がない。たぶんそうやって埋もれていることが数多くあるだろう。日本はモノづくり大国を自称しているが、新しいものがあまり作れていないことの理由の一つがこの話にある気がする。

  • いろいろな場所に発表された文章,対談をノーベル賞受賞を機に集めたもの.全体のまとまりはない.
    ノーベル賞受賞記念講演は私には難しすぎ.
    三章の「電気を通すプラスティック」が一番情報量が多い.やさしくはないが.
    半導体のポリアセチレンの薄膜に臭素をドーピングして導電性の高分子を作るというのが受賞理由だった.

  • [ 内容 ]
    白川博士の発言は、科学者としての枠をこえた魅力と希望を私たちに与えてくれる。
    ストックホルムでのノーベル化学賞受賞記念講演と、既発表の文章や対談を一冊にまとめて刊行。
    博士たちが発見した導電性ポリマーとは何か、発見にいたる経緯はもちろん、学問や自然への姿勢、研究体制のありかたなどが縦横に語られる。

    [ 目次 ]
    1 「学ぶ」ということ(私の研究人生;大学で学ぶこと ほか)
    2 ポリアセチレン薄膜の発見―導電性高分子時代の夜明け
    3 電気を通すプラスチック(電気を通さないはずのプラスチック;なぜ金属は電気を通し、プラスチックは電気の絶縁体か? ほか)
    4 導電性高分子から何が見えるか(導電性高分子への道;フィルム合成の達成 ほか)
    5 現代の錬金術―導電性高分子がひらいたもの(対談:白川英樹・福山秀敏)(理科少年だった子ども時代;プラスチックは絶縁体? ほか)

    [ POP ]


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    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • (2003.01.17読了)(2002.12.27購入)
    <新しいものを見つけるにはどうしたらいいか?>
    白川英樹さんの岩波新書の本を読んでみました。
    ここにも、田中耕一さんと同様の話が、のっていました。
    追試実験をしたいので、やり方を教えてくれといわれたので、薬品の混ぜ合わせる量を書いて渡したら、変なものができたので見てくれというので、見てみたら、薄い膜状のものができていた。
    何でそうなったか調べてみたらどうも、触媒の量が千倍であった。
    膜状のものは、顕微鏡で分子構造を調べるのに非常にやりやすいので、ノーベル賞受賞の研究に繋がったそうです。
    (2003年2月2日・記)
    (「BOOK」データベースより)amazon
    白川博士の発言は、科学者としての枠をこえた魅力と希望を私たちに与えてくれる。ストックホルムでのノーベル化学賞受賞記念講演と、既発表の文章や対談を一冊にまとめて刊行。博士たちが発見した導電性ポリマーとは何か、発見にいたる経緯はもちろん、学問や自然への姿勢、研究体制のありかたなどが縦横に語られる。

  • 難しい言葉が使われていないので大変読みやすかったです。
    また大半が講義や対談の内容なので図が少なく解りやすい言葉で説明されているのが良かったです。

    講義や対談が多いので、お人柄も出ていて良かったです。

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著者プロフィール

1936年、東京生まれ。小学校から高校卒業までを岐阜県高山市で過ごす。1961年、東京工業大学理工学部化学工学科卒業。1966年、同大学大学院理工学研究科博士課程修了、工学博士。同年、同大学資源化学研究所助手。1976年、米国ペンシルベニア大学博士研究員。1979年、筑波大学助教授、同教授を経て2000年、停年退官、同大学名誉教授。日本学士院会員、内閣府総合科学技術会議議員(2001~03年)。1983年「ポリアセチレンに関する研究」で高分子学会賞。1999年「導電性高分子の発見と開拓」で高分子科学功績賞。2000年「導電性高分子の発見と開発」でアラン・マクダイアミッド、アラン・ヒーガー両教授とともにノーベル化学賞受賞。著書に、『化学に魅せられて』(岩波新書)、『私の歩んだ道―ノーベル化学賞の発想―』(朝日選書)、『実験でわかる電気をとおすプラスチックのひみつ』(コロナ社)など。

「2020年 『自然に学ぶ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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