ユーラシア胎動――ロシア・中国・中央アジア (岩波新書) (岩波新書 新赤版 1247)

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  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004312475

作品紹介・あらすじ

多極化する世界の中で、いまユーラシア全体が一つの地域として沸き立っている。中国の爆発的な経済発展、ロシアのエネルギー資源外交の展開、中央アジア諸民族の台頭、そして国境を越えるヒトとモノの奔流…。現地取材を重ねたジャーナリストが、この広大な一帯に吹く変革の風を伝え、そのダイナミズムの意味を考える。

感想・レビュー・書評

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  • ユーラシアといっても、一体どのあたりを言うのかがまず興味を惹かれるところですが、ロシア、中国、中央アジア(カザフスタン、ウズベキスタン、トルクメニスタン、キルギスなど)、さらには南アジアのインドあたりまでを指すということで、この地域は人口も資源が多いという特徴がある。資源でいうと、ロシアやカザフスタンなどのエネルギー大国があるし、人口では中国やインドが非常に多い。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/705837

  • ユーラシアの風に吹かれて◆分割された島◆ユーラシアを束ねる上海協力機構◆新しいシルクロードが生まれる◆中央アジアのダイナミズム◆広がるユーラシア・パイプライン

    著者:堀江則雄(1947-)〈ジャーナリスト〉[東京外国語大学ロシア語科]法政大学講師・ユーラシア研究所運営委員

  • 著者は、ワシントン、モスクワ駐在を経験し、ユーラシア研究所運営委員を務める、ジャーナリスト。
    本書は、世界の多極化が進む中、一つの地域として存在感を増しつつあるユーラシア(ロシア、中国、中央アジア)の近年の動きをレポートしたもの。
    主な内容は以下である。
    ◆20世紀末から21世紀初頭に、それまで対立していた中国、ロシア、カザフスタン、キルギス、タジキスタンの国境が、地図上だけでなく現場でも確定した。4,300kmに渡る中露の東部国境で最後まで未解決だったアムール川にあるボリショイ・ウスリースキー島は折半することで決着した。
    ◆2001年に、中国、ロシア、カザフスタン、タジキスタン、キルギス、ウズベキスタンの6ヶ国が「上海協力機構(SCO)」を設立し、政治的・経済的なゆるやかな連携を開始している。SCOには、インド、パキスタン、イラン、モンゴルがオブザーバー参加し、それらの国を含めると、かつてのモンゴル帝国の版図に重なり、人口は世界総人口の40%である。SCOは共同宣言で「文明の多様性と発展進路の多様な選択肢を尊重・保全されねばならない」と謳っており、参加各国の思惑に交錯する部分はあるものの、米国の一極覇権、民主化の名による干渉路線、グローバリゼーションに抗する地域協力組織として存在感を増していくのではないか。
    ◆トルキスタン(中国・新疆ウイグル自治区、中央アジア各国)を東西に貫くシルクロードは、鉄道、(高速)道路、石油パイプライン、天然ガス・パイプラインが急速に整備され、新しいシルクロードとして人・物の流れが活発化している。
    ◆中央アジアの諸民族は、ヘーゲルのいう「進歩の世界史」の枠組みから外れた「歴史なき民族」のひとつであったが、カザフスタン、ウズベキスタン、トルクメニスタン、タジキスタン、キルギスの5ヶ国は、歴史上初めて独立国家を手にし、濃淡はあれ、ロシアからの自立、大統領制を軸とした政治体制、市場経済の導入と国家主導による国民経済のシステム作りが進んでいる。一方で、いまだ国家を持たないウイグル人による独立問題は、新シルクロードの今後を左右する鍵となる可能性がある。
    当地域の近年の安定・発展は、中露2大国が激しい対立を望んでいないという背景があるが、その流れを捉えて「ユーラシア」を一つの地域として把握・分析した本書には意義がある。グローバルなパワーバランスの中で、当地域の地政学上の重要性は論を俟たず、今後も注視していく必要があろう。
    (2010年7月了)

  • ユーラシア胎動
    ・中国とロシアのエネルギー関係は輸入ー輸出の利害が一致したこともあって良好。SCO, 上海協力機構(カザフ・ウズベキ・タジキ・キルギス)も入れて現代のエネルギーに関するシルクロードを築こうとしている。
    ・ヨーロッパだけではなく東ユーラシアにもそれは進出しようとしている。
    ・500年続くヨーロッパ時代の終焉。アジアの時代は東南アジアだけに限られたものではない。

  • 今、ユーラシアが熱い。とりわけカザフスタン、ウズベキスタン、キルギス、トルクメニスタン、タジキスタンからは目が離せない。欧米からユーラシアへ覇権が移る歴史的転換点の只中にあることを実感。アメリカ一辺倒の日本外交は再考の曲がり角にさしかかっているのかもしれない。

  • 新自由主義を柱とした市場経済、体制転換がロシア国民に失望をもたらす中で、欧米資本主義化の中で流れに対抗するロシア独自の道を求めるとユーラシア主義のような思想に行きつくことになった。
    ハバロフスクの建設現場の労働者は中国人労働者。
    ロシア政界では中国の一方的な経済的影響力の拡大にロシア、中央アジアが飲み込まれるのではないかと懸念している。
    中央アジア各国は国によって高低の差こそあれ、イスラム復興。
    21世紀ロシアの経済発展のカギを握るシベリア開発と連動し、シベリア大開発をエネルギー資源によってアジア太平洋地域と結び付けようという思惑が込められている。

  • [ 内容 ]
    多極化する世界の中で、いまユーラシア全体が一つの地域として沸き立っている。
    中国の爆発的な経済発展、ロシアのエネルギー資源外交の展開、中央アジア諸民族の台頭、そして国境を越えるヒトとモノの奔流…。
    現地取材を重ねたジャーナリストが、この広大な一帯に吹く変革の風を伝え、そのダイナミズムの意味を考える。

    [ 目次 ]
    序章 ユーラシアの風に吹かれて
    第1章 分割された島―ユーラシアの国境政治
    第2章 ユーラシアを束ねる上海協力機構
    第3章 新しいシルクロードが生まれる
    第4章 中央アジアのダイナミズム
    第5章 広がるユーラシア・パイプライン

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    [ 参考となる書評 ]

  • 上海協力機構など、日本のジャーナリズムからは聞こえてこない内容が興味深い。
    中央アジアもロシアも変化しつつあるのはわかるが、化石燃料だけではいずれ破たんが訪れる。
    ここにも触れられていなかったが「教育」についてもっと積極的な政策を取る必要があるだろう。
    目先の利益に動かされるだけでも、ユーラシアは胎動するだろうけれど、20年後はどうだ。
    生まれた子も二十歳になる。
    早急に教育というインフラを整え、次世代につないでいかなければ胎動もあやういものだ。

  • 大学図書館にあり

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