- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004314257
作品紹介・あらすじ
二〇〇八年のリーマン・ショック以後、世界経済はいまだ立ち直っていない。新自由主義に基づく制度と政策は、どのように金融危機を拡大させ、深刻化させたのか。また、今日の各国の財政危機とどう関係しているのか。新自由主義を支える理論を根本的に批判し、それらがもたらした帰結とその責任を、厳しく問う。
感想・レビュー・書評
-
【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/687504詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
社会福祉に携わる者として、この分野にも強いかどうかで、社会福祉の分野における底力も変わってくると思う。
本書を読むに、バーナンキとグリーンスパンがアメリカ新自由主義において大きな役割(悪い意味で)を果たしているらしい。サブプライムローンを中心に、経済の目測を大きく誤ってしまったこと、自らの展望に驚くほど楽観的だったことに驚く。新自由主義は、スーパーリッチに富をより集中させること。これは確かに間違いなさそう。
経済学の初心者としては難しい本だと思うけれど、こういった本に書かれている中身を知らなければ、世界は語れないように思う。 -
今の日本経済停滞、労働者と使用者の格差、税金の在り方など理不尽な政策が行われた成り立ちがわかった
富は分配するのではなく、富を創出する一部のスーパーリッチに集中させその富が下に下り潤うというトリクルダウンの失敗に気付きながらも一度外した枷を富裕層、企業側つけられない政府
規制緩和を安易にする事への危険性を国民は認識しないといけない
政府のプロパガンダに騙されてはいけない
小泉元首相と竹中平蔵の罪はとても深い
が、信じた国民にも罪がある
私たちは知らないといけない
わかるところからでも行動していかないといけない
主権国家の主権者として
-
アメリカやヨーロッパ経済全体 無難に分析という感じです リーマン危機の分析も
-
新自由主義経済への理論的、実証的批判。結論として得たのは、格差時代を克服するのは決して難しい経済理論が必要なのではない。所得の再分配(富裕層から貧困層へ)をきちんと行う政策の立案と実行にあるということだ。新自由主義はその真逆を行く形だった。
「ハイ・ロード」と「ローロード」の概念を知って、経済史的な変化の本質がやっと腑に落ちた感があった。(競争戦略にはハイロードとローロードに大別される。ハイロードとは戦後資本主義が歩んだ道で、技術革新によって高い品質の製品を低価格で生産することで競争に勝とうとするが、ローロードとは新自由主義レジームが追及するもので、低賃金により競争に勝とうとすることである。戦後の日本が歩んできた道はハイロード戦略である。)
・日本の経済悪化の原因は、輸出減少であって、金融機関の破綻によるものではない
・1層:住宅市場、2層:住宅金融市場、3層:住宅ローンの証券化市場、4層:CDS(債務不履行に対する保険)
・物価は数ある経済変数のうちの一つでしかない。物価が安定化すれば、経済も安定化するという考え方の方が単純すぎた。
・毎年経常収支で黒字を蓄えることは問題ないようだが、財やサービスを外国に売るということは、購入する国が存在するということだ。
・ラッファー曲線の欺瞞。減税を行っても税収は減少し、財政は悪化する。納税している富裕層にのみ恩恵。
・地方政府が財政出動する意味は中央政府に比べて限界がある、というか無意味。
・アメリカの議会予算局の試算:政府消費・政府投資1ドルに対して、GDPは1.0~2.5ドル増加。インフラ投資のために州政府に補助金を支出する場合も同じ効果。他方、低所得層、中産階級への2年間の減税1ドルに対するGDP増加は0.6~1.5ドル。金持ち減税1ドルに対して、GDP増加は0.2~0.6ドル。 -
新自由主義に対して痛烈な批判をおこなっている。
もっともその対案を示せていないのが難点だが。 -
ポスト・ケインズ経済学派からの新自由主義全面批判の書。1980年代以降のアメリカの経済政策を俎上にのせ、具体的かつ簡明に新自由主義の失敗を論証している。特にFRBの無能と犯罪的政策への批判は舌鋒鋭い。ただし、一般向けにわかりやすくするため、あえて問題を単純化しているので、より詳細な著作を併読する必要があろう。
-
2013年5月に刊行された新しい本。
2012年末にアメリカが苦しんだ「財政の崖」問題や、2012年12月に政権を取った安倍首相の政策についても説明されている。
主にアメリカの新自由主義政策の失敗について、あとは世界的な住宅バブルによるグローバル・インバランスの拡大、歴代FRB議長のグリーンスパンやバーナンキの主張など、新しいトピックが多くて面白かった。
ただ国際金融をしっかり勉強しなかったせいで、グローバル・インバランスの議論が理解しにくかった。 -
米国の政治状況を「コーポラティズム」(政府と利益集団のパートナーシップに基づく政治)と説明するなど示唆を得られる点もありましたが、グリーンスパン議長に対する個人攻撃や揶揄が度を越しているように感じられました。よって☆一つ減。
批判されるべきは新古典派経済学ではなくて、政府と「上位1%」の癒着による法制度の歪みであり、市場機能そのものではないと思うのですが、「新自由主義」というレッテル貼りをしてしまうと議論はそこで終わりです。
政府は市場介入すべきじゃない、というのは依然として正しいような気もしますし、社会主義的政策が持続している印象も有りますので、はたして中曽根政権~小泉政権が「新自由主義」なのかも疑問です。