いじめ問題をどう克服するか (岩波新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004314561

感想・レビュー・書評

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  • いじめはなくすことができる。そのように尾木さんは断言する。ただ、そのためには大きな変革が必要だ。
    社会構造が教師や教育委員会に事実の隠蔽を求め、いじめが問題とされない。個人主義で競争をするため、自己保身が第一に必要とされるからだ。
    子どもについても、いじめ被害者に原因を求めたり、いじめ加害者を排除することが往々にして見られる。いじめ被害者の能力の問題としたり、いじめ加害者の性質の問題とする見方があるからだ。どちらも、大きなストレスにさらされ、自分を表現できない結果にすぎない。よって、厳罰化では解決しない。
    くだらねー精神論を安倍政権(第一次・第二次)の時は垂れ流していたけど、無意味どころか逆効果だ。いじめをちゃんと定義し、具体的方策を立てる必要がある。第二次の時は、法律ができて少しはましになった。
    内容で印象に残っているのは、以上のような感じだった。子どもを個として尊重することが「子どもの権利条約」に求められているし、やらなきゃいけないこと。尾木さんのその姿勢はぶれずに一貫していて好感がもてる。一方で、尾木さんの考えでは、教師への負担が大きすぎる印象がある。授業と授業準備と子どもと向き合う時間を増やすために、他の時間を減らさないと、人間としての教師が危機的状況に陥りかねないと思った。

  • いじめ問題のこれまでの経緯、いじめの本質、大津事件の概要、いじめ防止対策推進法、問題を克服する方法が順に述べられている。解決方法として①教員の時間的なゆとり②教員の研修③シチズンシップ教育をあげている。シチズンシップ教育はオランダの「個」を尊重する教育を例にして説明している。

  • 現場のことやメディアまでの言及がある。いじめ自殺があった学校が道徳研究指定校であったということは問題とされていないので知っている人は多くないのではないか。
     いじめを卒論で扱うためにはまず読むべき本である。

著者プロフィール

教育評論家、法政大学教職課程センター長・教授、臨床教育研究所「虹」所長。
1947年滋賀県生まれ。早稲田大学卒業後、海城高校や公立中学校などで教師として22年間、ユニークな教育実践を展開。現在、「尾木ママ」の愛称で親しまれる。
著書『いじめ問題とどう向き合うか』『子どもの危機をどう見るか』(以上、岩波書店)『新・学歴社会がはじまる』『日本人はどこまでバカになるのか』『子どもが自立する学校』(編著、以上、青灯社)『尾木ママの「叱らない」子育て論』(主婦と生活社)『尾木ママの子どもの気持ちが「わかる」すごいコツ』(日本図書センター)ほか多数。

「2013年 『おぎ・もぎ対談 「個」育て論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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