中学受験 (岩波新書)

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  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004314622

作品紹介・あらすじ

いま、首都圏では小学生の五人に一人が受験をするという。なぜここまで過熱するのか。金銭的・心理的・時間的な負担は、どれほどなのか。一見、情報はあふれているものの、肝心なところは不明のまま。果たして信用できる情報はどこに?気鋭のジャーナリストとして、また自らも受験生の父親として、圧倒的かつ綿密な取材を元に実態に迫る。

感想・レビュー・書評

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  • ●久しぶりに中学受験ものを読んだが当たり
    ●体験記ではなく、批判的な立場で取材しているのが良い。
    ●日能研が思想集団という視点は目から鱗。創世期の四谷大塚などの話も新鮮。
    ●一番最後の、結局できる生徒をいかに集めるかが鍵というのは身もふたもないが冷徹な結論。学力も潜在的能力が大きい。ただ、中々それは認めることは脳が拒否するよね。ましてや自分の子なら…とにかくズルズルとお金をかけてしまいそう…
    ●これからますます少子化だから子供の奪い合いだし、できる子、できない子の差が歴然と出て、それが階層化され、日本も欧米化、一握りのエリートと、ダメな一般大衆に別れていく…
    ●本当は底上げが大事だし、その方が社会が安定するのだけれど…国がどこまで力を入れるかがキーポイントだろう。

  • 中学受験 (岩波新書) 新書 – 2013/12/21  

    私立中高一貫校は夢の楽園ではない
    2017年12月22日記述

    横田増生氏による著作。
    2013年12月20日第1刷。
    横田増生・・1965年福岡県生まれ。
    関西学院大学を卒業後、予備校講師を経て、(英語を3年教える)
    アメリカ・アイオワ大学ジャーナリズム学部で修士号を取得。
    1993年に帰国後、物流業界「輸送経済」の記者、編集長を務める。
    1999年よりフリーランスとして活躍。

    著者の最新作である「ユニクロ潜入1年」を読んだ事と
    「ユニクロ帝国の光と影」を再読した事で横田増生氏の他の著作にも興味が湧き、本書を手に取った。
    他にも仁義なき宅配も読んだ事があるのだけれど、
    本書「中学受験」では他作品と違い、データやグラフが豊富である事が特徴である。
    閉鎖的な企業モノに比べて教育業界はデータ類は多く公開されている事も影響しているのだろう。
    本書を一言で言えば消費者、生活者、保護者の視点から見て私立中学受験のデメリットや負の面に対して述べている事である。
    (その意味で題名が中学受験だけだとわかりにくい。自分も他のレビュワーのレビューを見てから、ある程度どのような内容なのかを把握した。私立中高一貫校の受験は子供を幸せにするのか?などもう少しだけ具体的に一言で言える題名の方が社会への波及効果があるように思う)

    逆に言えば不満な点はその簡素気味の題名くらいしか無い。
    内容は充実しており文句無しの★5の本である。
    ユニクロ潜入1年でも書かれていたけれども著者の仕事もモットーは貰う金額以上の仕事を成し遂げるとの事。
    本書でもその良い仕事ぶりが発揮されている。
    横田増生氏の著作にハズレ無しである。

    特に興味深い箇所は第4章私立中高一貫校は夢の楽園なのか?の部分。
    私立学校ではイジメは不祥事は学校経営に直結する為
    教師が迅速に対応(退学処分を含め)する為に
    公立中学高校に比べて落ち着いているという言説は実はフィクションに過ぎないという部分。
    かつて橘玲氏の著作、世界にひとつしかない「黄金の人生設計」を読み暴力装置(退学処分)が働く為私立学校では深刻なイジメ、不祥事が無いと思い込んでいた。
    しかしそれは思い違いであった。
    もちろん真摯に対応する私立学校もあるけれども、全く逆の隠蔽する体質の学校もあるのだという事実を冷徹に受け止める必要がある。
    (もちろん底辺都立高校の授業が学級崩壊レベルだったのは事実・・)

    そもそも横田増生氏が息子(2002年生まれ)を中学受験させようと思ったのは自分自身がそこまで熱心に勉強しなかった為に土台が固まってないような
    砂上の楼閣を建てているような心もとなさが現在もつくまとっている。
    その反動で息子が基礎学力を身に着け大学まで進めばきっと彼の役に立つに違いないという信念に近い気持ちがあった為。

    印象に残った部分を紹介してみたい。

    私立中高一貫校に通う生徒の割合は全国平均8%
    首都圏では20%。東京に限れば25%を超えている。
    他にも大阪府や兵庫県、広島県や高知県などでの受験率も高い。
    中学受験とは首都圏や関西などに特有の学校文化といえそうだ。

    首都圏には約300校の私立中高一貫校がある。

    業界紙は、業界から広告をもらい、業界に新聞を購読してもらい、業界関係者に話を聞かせてもらって記事にする、という濃密な関係にあるため、業界の不利になるような情報を載せることは難しい。
    よって、業界に絡む事件や事故、不祥事などが業界紙に載ることはめったにない。
    例えば、業界団体が運賃の談合で公正取引委員会の
    立ち入り調査を受けたとしても、その公取委の調査がどれほど合理性と妥当性を欠いたものであるのかを訴える記事を一面に載せるのが大半の業界紙の体質である。
    業界紙と言えども、虚偽の記事を書いてまで業界を賛美することなない。
    しかし、都合の悪い部分を極力伏せて紙面を作っていけば、そこに嘘は無いにしろ、歪んだ形の業界像が出来上がる。
    私立中高一貫校に関する情報に違和感を覚えたのは、業界紙に似た、内輪に甘い臭いが鼻についたからである。

    教育ジャーナリストの小林哲夫(52)によると
    教育分野の取材の長い記者ほど、記事と広告の区別がつかなくなっているライターをよく見かける

    私立中高一貫校に行くのにかかる費用は、6年間の合計で505万円強となる。
    もちろんこれは平均値であり、授業料の高いことで知られる慶應義塾中等部は授業料と入学金などだけでも6年間で640万円以上かかる。
    2006年に作られた全寮制の海陽中等教育学校は、学費や寮費、食費などを合わせると、6年間で1700万円を超える。
    加えて私立中高一貫校に入るためには、塾に通う必要がある。
    小学4年から3年間通った場合、費用は平均で200万円以上かかるといわれている。
    *中学受験用の特殊な算数である鶴亀算や旅人算、植木算あたりで多くの親はこれを子供に教えるのは無理だと気付くだろう。
    結局、中学受験の準備に関しては、塾に頼るしか方法はないのが現状だ。

    年収500万円でも子供を私立中高一貫校に行かせることはぎりぎり可能です。
    *老後資金をためることはほとんど無理です。

    日本学生支援機構によると、2001年の奨学金の滞納額が300億円超だったのに対し最新の2011年の数字では三倍近い870億円に達するほど増えている。

    中学受験は親の受験といわれる。2つの理由
    小学生が自ら中学受験の意味や意義を理解することは出来ない。
    →親が中高一貫校へ進学するメリットを刷り込みしている
    小学校では受験対策をしない為、小学生が自分一人で中学受験の準備をするのは不可能に近いということ。

    志望校でない私立中高一貫校ならば、公立中学に行けばいい、と思う人も少なくないだろう。
    しかし、受験という長距離列車に3年前後乗って、
    最後の試験という嵐の中に巻き込まれると、そこから抜け出し公立中学を選択することは難しい。

    親には、子供が中学受験をしたいと言ったから受けさせたという気持ちがあります。
    けれども、子供には親に中学受験を押し付けられた、という逆さまの思いがあるのです。
    その親に強制された中学受験の結果、みじめな思いをしたとなると、それが親への恨みやつらみに変わってくるんです(二神能基(70)

    首都圏の中学受験の歴史は4つの大きな転換点がある
    1967年に東京都で導入した学校群制度による都立高校の崩壊
    1988年以降のバブル経済による教育への投資意欲の高まり
    2000年前後からはじまったゆとり教育に対する親の不安と世論の反発
    2005年からの都立中高一貫校の設立

    学校群制度を実施すれば、私立中高一貫校に利することになる、という指摘は同制度の実施以前からあった。
    1966年4月17日付の毎日新聞では
    当時の新宿高校の成田喜英校長がこう発言している。
    「学校群制度による学校格差の是正も結構だが、都立高校だけを対象にした所で私立高校に格差が残っているのでは、今度は私立の有名中学に優秀な生徒が
    流れるだけのことだ」
    東京都が学校群制度を継承した学区制度を全面的に撤廃したのは、
    くしくも小尾乕雄(1907~2003)が鬼籍に入った2003年の事だった。

    中学受験には公立小学校が関与していないので、生徒の受験指導については塾が独占的に主導権を握っているのです。

    中学受験塾の宣伝なしに生徒をコンスタントに集めることができるのは、ほんの一握りの有名校だけなのだ。

    中央大学付属高校が2010年、附属中学を設立するにあたって受験日を決める際に
    「塾からアドバイスを受けた」というのは、現在、同校の中学一年の学年主任を務める佐々木亮(41)だ。

    日能研は私立中学受験という市場を作りながら、これまでその市場を導いてきた。

    リーマンショック以降、私立中高一貫校の二極化が進んでいます。
    偏差値で55より上の学校ではまだ受験生が増えていますが、
    50未満の学校では、軒並み受験生を減らしています。
    首都圏の三分の二の私立中高一貫校は、事実上の全入時代に入ってきたといっていいでしょう。
    それに対して公立の中高一貫校の応募倍率は七倍前後で推移しています。
    *東京都内で11校、首都圏で18校公立中高一貫校がある

    SAPIXが他の中学受験塾を引き離してトップの合格実績を残すことが出来ているのだろうか。
    SAPIXの強みは、愚直なまでに同じ問題を繰り返し解くシステムが出来上がっている所にあります。
    正規の授業の前に30分の算数のテストがありますし、同じ教科の授業でも、AコマとBコマに
    分かれていて、Aコマでは前回の授業の復習をやった後で、Bコマでは新しい事を教える、という具合です。
    徹底的な繰り返し教育により、地頭の良し悪しに関わらず、難関校に受かるような精緻なシステムが出来ている所です。
    先の男性は、土日に家庭教師をしているが、日能研や四谷大塚などで勉強している生徒を
    教えるときは苦労する、と話す。
    どちらも、SAPIXほどは同じ問題を繰り返し勉強していないため、同じように小学四年から塾に通っている場合でも知識の定着の度合いが低いのが特徴で
    教える方としては非常に手こずります。

    中学受験塾では、華々しい合格実績を挙げる成績上位の生徒には本気で教えるが、下のクラスの生徒はお客さん扱い、つまり授業料を払ってくれるだけの対象という見方をしているという声が少なくない。

    私立中学においても公立中学同様、いじめが起きる可能性はある2012年5月青山学院中等部など

    公立にもいじめを隠そうとする体質はありますが、公立の場合、あまりにも悪質ならば教育委員会が学校に入って調査する権限を持っています。
    けれど、私学の場合、教育委員会の管轄には入っておらず、
    教育委員会には私学を調査する権限はありません。事実上、私学のトップである校長や理事長に権限と責任が集中しているため、いじめをもみ消そうと思ったら、もみ消すこともできるんです。(大澤秀明NPO全国いじめ被害者の会代表)(69)

    2013年には東京都だけでも2万5千人が入学した私立中高一貫校の生徒の1割前後が6年間のうちに脱落していく。
    東京だけとっても、2500人前後が6年間の学業を
    まっとうすることができない、というのだ。

    私立中高一貫校の弱点・・小学6年の時に決めた、大学進学という進路をその後6年間変更できないところです。
    私立中高一貫校で、一番退学者が出やすい時期が、高校一年のときだという。
    義務教育である中学校の段階で、生徒を切り捨てるのはあまりに外聞が悪い。
    そこで中学校時代は成績が多少悪くとも仮進級という形で高校まで進ませる。
    義務教育が終わった高校一年の段階で、生徒に退学を申し渡すか、生徒が自主的に去っていくかを選択させるように仕向けるのだ。

    学校説明会や学園祭、授業見学などを行っている私立中高一貫校も少なくないがいずれも保護者や受験生に見せることが前提の行事である。
    それらの行事にいくつ参加したとしても、学校生活の全体像をつかむには程遠いといえそうだ。

    公立中高一貫校には3つのタイプがある。
    中等教育学校 中学からの入学しか認めていない。
    神奈川県立平塚中等教育学校(2009年設立)

    都立白鵬高校付属中学校のような併設型、中学と高校から入学ができる。

    連携型 台東区立浅草中学校と東京都立蔵前工業高等学校の組み合わせなど

    公立中高一貫校では学力試験ではなく適性検査が行われる
    事前の教育委員会によって、その内容が小学校の学習指導要領の範囲に収まっているのかどうかをチェックされ、指導要領から外れていれば
    問題の作り直しが求められることもある。
    原則として、小学校の授業を受けていれば受験できるような問題作りを目指している。
    多くの公立中高一貫校では生徒の小学5年、6年の成績を報告書として提出することを求めている。
    小学校の成績の選抜に占める割合は20~30%となる。

    都内の中高一貫校ではない普通の中学校では
    勉強や部活などで中心的な役割を果たすできる子たちは私立中高一貫校か都立中高一貫校のいずれかに進むようになりました。
    経済的な余裕はないけど、勉強のできる生徒達は公立の中高一貫校に行くようになりました。
    その結果、ここ数年は二番手の子どもたちが
    不器用ながらも学校を支えているという感じに変わりました。
    文化祭や体育祭などの学校行事の際には、教員が手取り足取り、指導する必要があるという。
    以前なら学年に2,3人は勉強ができるとともに、素晴らしいリーダーシップを発揮する子たちがいました。
    あいつらに任せておけば大丈夫、という生徒たちです。
    そういう子たちも中高一貫校に行ってしまったので、学校行事のときには教員が細かく指示を出す必要があります。

    私立中高一貫校の進学実績がいいのは、教育内容がいいというよりも、出来る生徒が集まってくる結果とも考えられる(瀬川松子)

    四国で進学塾を経営していた二神能基は入塾してきた小学生を1ヶ月、2ヶ月教えた段階で
    その生徒たちが中学を受験するときのおおよその合格人数がわかったという。
    「塾の合格実績を挙げるにはどうやって教えるか以上に、どうやって出来る生徒を集めるのかが大切なんだよ」
    出来る生徒とは誰が教えても志望校に合格するものであり、塾経営の要諦とはどれだけできる生徒を集めるかにかかっているというのだ。

    →身も蓋もない話ではあるけれども、才能、能力の差は歴然とあるのだということ。
    ただそれでもプロスポーツや芸術、芸能の世界で成功を収めるよりは難関大、難関校の定員はずっと多いし、勉強、学習、努力が無意味では無いと思う。
    ただ努力が全てというのは禁物なのだろう。
    (この辺の事はかつて和田秀樹氏が指摘していたように記憶する)

  • 中学受験については、知らないことが多いので、図書館でどっさり本を借りて読むことにする。どちらかと言うと、(絶対)肯定派とバランス派に分かれるのが面白い。

    小学六年からの勉強で合格できる学校なら、伸びしろがある。

    と言うのは金言だと思うし、塾に行かないとできない問題を作って繁栄する一大産業に対しては、やはり注意深く接する必要がある。

  • ユニクロ帝国の本の著者。自分と年齢が同じで子どもの年齢、人数、性別が同じなのは偶然で面白い。ユニクロの本とは違い、ひとつの組織を批判する内容ではなく、疑問なところを少しずつ明らかにしていくというもの。ただ、中学受験がいいか悪いかという、白黒つける内容ではないことはたしか。

  • 自らの息子も中学受験を目指しているジャーナリストによる本。教育の専門家ではないのだが、世の中学受験情報は私立中学・受験産業側の視点からポジティヴ面を強調したものが多いので、敢えてネガティヴ面に光を当てるように描いた由。

    ワタクシの子供も「私立中学を受けたい」みたいなことを言い出したが、この方面にまったく疎いので読んでみた一冊。とくに独自の深い考察なんかがある本ではないのだが、ワタクシのような人間にはほどよいupdateになって有益だった。

    ・体験談はとうぜん成功談が多い。失敗者は語りたがらないことを意識すべし。

    ・いったん受験勉強を始めると「降りる」ことはむずかしい。私立中に入ったあとも同様。けれど、撤退の勇気もときには必要だろうと。何年もかけて準備するよりも、6年生からの勉強では入れるくらいのところのほうが後の伸び代があるだろうとの見解には共感した。勝負は大学受験だし。

    ・私立一貫校の存在感は首都圏(特に東京)や関西一部地域で際立つ。地方では昔からの公立名門校が幅を利かす。1967年の学校群制度(志望校を選べない)が都立高校退潮のきっかけ。さらにゆとり教育で加速。

    ・学校群制度の目的が公立校間での格差是正だったいうのが皮肉。制度設計の難しさよ。

    ・私立一貫校も少子化で、下位の方は経営が楽ではない。二極化傾向。学習塾も合従連衡が盛ん。

    ・私立中高一貫校は「夢の楽園」なのか?はやや難癖気味か。そりゃいじめも中退もあるでしょ。文部省が指導できないというのもどこまで重要なファクターか。

    ・公立中高一貫校が大人気。学費が安い。入試は私立とすこしテイストが違い、内申書も重視する。カリキュラムも留学やらスーパーなんとかやら魅力的なのは否めない。民業圧迫の声もあり、倍率は高いもののかんたんには増やせない様子。

    ・しかし公立一貫校のあおりを受けるのは、ふつうの公立中。経済的事情で私立にいけなかった優秀な生徒まで持っていかれる。

    ・一貫校のメリットは、前倒しでカリキュラムを進められる、中学3学期から高校入学直後のブランクがない分だけ時間的余裕がある、など。→ほんとに制度として優れているかは疑問だが。

    ・あとがきでようやく「私立一貫校の進学実績が優れているのは、素質のある生徒を集められていることが要因として大きいのではないか?」とのたまう。はじめから考えてなかったのかよ、といいたくなる。

  • -108

  •  『私立中高一貫校に関する情報に違和感を覚えたのは、業界紙に似た、内輪に甘い臭いが鼻についた』(はじめに)
    『中学受験に対して(略)冷静な判断をくだす人たちがいる。(略)いずれも自分自身が私立中高一貫校に通ったという経験を持つという点だ。(略)そこが"夢の楽園"ではないことを経験値から分かっているのだろう。』(P226)
    『地方出身の親の多くが中学受験にのめり込む理由の一つは、自分の知らない私立中高一貫校を必要以上に美化し、子供をそこに預けることさえ出来れば将来は安心だ、と安易に信じているところにあるのではないか。」(P226)

    そうだ。よくわかる。
    親としては悩ましい。

    知り合い(特に女性)は中高出身者が多かったなーという、経験値のバイアスが自分にはある…。

  • そりゃ公立中高一貫校に入れたいでしょ‼️

    三鷹市は公立小中一貫に力を入れてます。

  • 中学受験の光と闇を中立的に描いたルポルタージュ.結局,親が中高一貫校を通して子供に何を与えたいかなのだが,与える選択肢が貧弱に過ぎる点に問題点は集約される.それは塾から見たら鴨を背負った葱だろうて.

  • 本書の結論は、表題を「中学受験」ではなく「教育格差」としたほうがしっくりくるものだった。序と結章で主張の一貫性がなくなり、読了後はなんともいえない残念な気持ちになった。中学受験に実際にかかわった人々の取材を通じて、様々な立場のコメントを収集し、批判的に負の面を描き出そうとしてる。ただ海陽中学の次に、生活保護世帯の学習支援を行う「塾」を取り上げている。そもそも異なるシステムを比較しても、違うのは当然だろう。製作過程において、編集者側にも工夫できる余地があったのではないか。

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著者プロフィール

横田増生

一九六五年、福岡県生まれ。関西学院大学を卒業後、予備校講師を経て、アメリカ・アイオワ大学ジャーナリズム学部で修士号を取得。九三年に帰国後、物流業界紙『輸送経済』の記者、編集長を務める。九九年よりフリーランスとして活躍。二〇二〇年、『潜入ルポ amazon帝国』で第一九回新潮ドキュメント賞を受賞。著書に『ユニクロ潜入一年』『「トランプ信者」潜入一年』など。

「2022年 『評伝 ナンシー関』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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