戦国乱世から太平の世へ〈シリーズ 日本近世史 1〉 (岩波新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004315223

感想・レビュー・書評

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  • 織田信長から豊臣秀吉、徳川家康へとつづく戦国時代の展開と、三代将軍家光の死にいたるまでの、江戸幕府が確立されるまでの時代を概観している本です。

    本書の「はじめに」で著者は、「天下」ということばが、信長の時代においては京都を中心とする畿内の意味であり、秀吉の時代の後半ころからしだいに日本全土を意味するようになったということが説明されています。そのうえで、「本書は、こうした「天下」の意の変遷が、時代のどのような変化に対応したものなのかを考えつつ」、この時代の流れを叙述するということが述べられています。

    ただ本書の叙述は、特定のテーマについて検討をおこなったものではなく、この時代の史実を手堅くまとめた本という印象です。そのなかで、近年の研究成果についての紹介が随所に盛り込まれており、興味深く読みました。

  • 前の時代の中世史シリーズの最後の巻とダブるところが多い。徳川三代については比較的詳しいか。前のその巻と比べると歴史のダイナミズムが感じられず、史実の詳細な記述とそれらの些細な位置づけ(天下、戦国、乱世、鎖国、幕府など)に終始した感がある。農政の下りは興味深い。

  • 信長入京前夜から家光の死去まで、約百年の通史をたどる。「天下」をめぐる争いとして描かれることの多い時代。だが改めて、当時「天下」の語は、どのような意味を持っていたか?同じく「戦国」「乱世」「太平」とは?徹底した史料の読み込みから確かな歴史像を求め、近世の〈実像〉を語る、待望のシリーズ第一巻。(2015年刊)
    ・はじめに
    ・第一章 戦国乱世
    ・第二章 全国統一と朝鮮出兵
    ・第三章 徳川の天下
    ・第四章 徳川の政権継承
    ・第五章 江戸幕府の確立
    ・おわりに
    ・あとがき

    日本近世史の専門家が、織田信長の誕生から徳川家光の死までを語った本である。新書と言うこともあり、当然、内容には広く浅い部分が出てくる。
    全体的に薄味であるがゆえに、惣無事令については、無かったと明確に否定している点が目立つp81(ほか海禁についても否定的)。家光パートは専門だけあって面白い。

  • 戦国時代から家光時代まで、「乱世」から「太平」へと列島が統一されていく様相を描いた一書。「天下」という言葉の意味の変遷が補助線となっている点も特色。

  • 岩波新書でまた楽しみなシリーズが始まった。①は中世からの脱却期。信長から江戸幕藩体制の確立まで。江戸幕府ってのは300年も続くほどの強固なシステムだったわけだけど、意外と偶然のおかげで仕上がっていったことがわかる。それにしても家康の寝技というか根回しは強烈だよね。

  • 正史はやっぱり、織田、豊臣、徳川なんですね。
    太平は夏の陣以降。

  • <目次>
    はじめに
    第1章  戦国乱世
    第2章  全国統一と朝鮮出兵
    第3章  徳川の天下
    第4章  徳川の政権継承
    第5章  江戸幕府の成立

    <内容>
    岩波新書近世史シリーズの第1弾。戦国後期から江戸時代3代将軍徳川家光までを描く。淡々と事実を描きつつ、各章の終わりにまとめのように、現在の動向や研究状況を入れる。受験生やコンパクトに日本史を知りたい人に最適かも…。

  • 岩波らしくかなり骨太な内容。史料に基づく厳密な記述になっている。信長の時代は「天下」は京都ないし、畿内を意味していたとのことで意外な感じだった。光秀の「謀反」について、カギカッコ表記であることの意味はいわゆる謀反ではないのか。本能寺の変は、ひとつの理由で説明できないが、千載一遇の期と光秀が考えたとだけの記述で、もう少し立ち入って欲しかった。

著者プロフィール

京都大学名誉教授。
一九四七年生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程単位修得退学。
著書『徳川将軍家領知宛行制の研究』(思文閣出版、二〇〇八)、『戦国乱世から太平の世へ〈シリーズ 日本近世史 1〉 』(岩波新書、二〇一五) ほか。

「2016年 『近衞家名宝からたどる宮廷文化史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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