中国のフロンティア――揺れ動く境界から考える (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004316527

作品紹介・あらすじ

大国として台頭し、活動をグローバルに拡大させている中国。その存在が浸透しているフロンティアでは何が起き、それがどのように語られているのか。ザンビアやマラウイなどのアフリカ諸国、中国と隣接する東南アジア、台湾と中国の狭間に位置する金門島などを訪ね歩いた研究者が、現地の目線で「ふくらむ中国」を見つめ直す。

感想・レビュー・書評

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  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/706071

  • 1アマチュアチャイナウォッチャーとしては、なんだか少々物足りなくもあったのは、それなりに知識が増えてきたおかげか。。。著者も中国の専門家のようだが、アフリカにいる中国人の専門家では無いのだろう。短期間の現地調査を行ったようではあるが、どこかで誰かが書いたこと以上の内容はあまり見受けられなかった。ただ金門島関連に関しては、造詣が深いらしく、ページ数は決して多く無いものの、金門学という学問の存在、金門アイデンティティといったなかなか台湾本土にいると接する機会のない単語を始め、ネズミの尻尾の貨幣化した話や、金門島の微妙な位置付けから移変わりに関して興味深い話が多々あった。

  • 中国が周辺諸国や国境付近でどのような対応をしているかを、現地行ってみた感想。
    雲南省の部分読みたかったがそこは少なめ。

  • 中国の全体を考えるのに有用そう。

  • 東2法経図・6F指定 B1/4-3/Nakai

  • 周独裁体制が続き、中国の拡大路線が継続すると考えられる。内向きの米国では抑えが効かず、ますます圧力を高めていくと思われ、中国周辺への警戒が必要だ。

  •  ザンビア、広州のアフリカ人街、マラウィ、中国・ミャンマー国境地域、南寧、東ティモール、金門島へのフィールドワーク結果はそれだけでも面白いが、表面的な取材にとどまってはいない。筆者は、「中国」とは中国を中国たらしめる運動体、本書ではその活動体の輪廓の一部を切り取ろうとしたものであり、そのフロンティアにこそ中国の「揺れ動く」輪廓が立ち現れているのではないか、と末尾で締めくくっている。
     筆者は、胡錦濤政権後半期から進んだ中国の対外進出という現象自体を否定はしないが、それを正当化する中国内の報道、批判的に見る日本・欧米メディアの視線双方から距離を置き、「中国の世界進出とされる現象がいかに複雑で、また多様な側面から構成されているか」と述べている。主権に関わらない部分では必ずしも中国が官民一体というわけでもなく、中央政府、地方政府、企業や労働者、現地華僑社会といった様々なアクターがいる。また、「中国」のみを主語として語りがちだが、相手側にも国内やその地域の事情があるということだ。
     また、中国国内のフロンティアとして、中国史とも台湾史とも異なる「金門史」を抱える金門島の事情を紹介しているが、台湾紹介の記事が溢れる現在でもこのテーマで深く論じたものは(自分にとっては)初見であり、興味深かった。

  • 中国の外交について、特に途上国との関係についてまとめられている。
    中国の途上国へ対する援助は、中国の国益にかなわないと基本的にしないというスタンスであり、その点が日本や西欧諸国が持つ中国を脅威として捉える議論とは違うとしている。
    個人的には、中国は在中アフリカ人へやイメージが悪いと書かれており、「内なる国際化」という意味では、まだまだ遅れていると感じた。

  • 222||Ka

  • 広州のアフリカ人街、東チモール、マラウィ、金門島、ミャンマーと、中国人が活動しているのが意外に感じられるところ、または歴史的に深い関わりがありそうな国境を接するところを取り上げて描く一冊。ミャンマーでの開発政策が中央政府の路線に密着するあまり、地方の反政府勢力を敵に回してしまったケース。雲南での「大騰越」という現実の国境認識とは異なる、それよりも大きな広がりを持つ境界認識を持っている人の存在。東チモールでの海底ガス田開発を巡り、結局は手を引いたが、他国での開発への関わりは、なんでもかんでもではなく、まずは採算が考えられること、そして経済的に割が合わなくても政治的な採算を考えて開発を進めることもあること。ごくわずかの利益を得るためにどんな苦労でもする、という他国へ稼ぎに出る中国人のメンタリティ。この辺りが個人的には興味深い論点だった。

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著者プロフィール

東京大学大学院総合文化研究科教授

「2023年 『日中関係 2001-2022』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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