- Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004317951
作品紹介・あらすじ
学ぶだけではもう足りない.研究と応用が進み,行動経済学は「使う」段階に来ているのだ.本書では「ナッジ」の作り方を解説する.人間の行動の特性をふまえ,自由な選択を確保しつつ,より良い意思決定,より良い行動を引き出す.その知恵と工夫が「ナッジ」だ.この本を通して,行動経済学の応用力を身につけよう.
感想・レビュー・書評
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ナッジの活用方法を知るために読んでみた。前半は類書で見聞きした内容で、後半は仕事や医療、防災での活用事例等は参考になったが、事例の紹介に留まっており少し物足りない。アンカリング、参照点を変えることで行動を変化させる手法が印象的だった。
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行動経済学の本を手にとってはことごとく挫折してきた私にとってはとてもありがたい存在。
非常にわかりやすく書かれており入門書として最適。これを読んだあとに、アリエリーやカーネマンに再度トライする気持ちにさせてくれた。 -
「行動経済学使い方」というと、政府とかが政策を立案するときに、行動経済学的知見をどのように生かしていくか、という内容が思い浮かぶが、使い方はこれにとどまらない。むしろもっと身近なところにも使い道はある。
分かりやすいのは、ダイエットだ。人間は、目の前の事を重視する「現在バイアス」があるため、3キロ痩せるぞっ!とか決意するのはいいが、明日から運動しよう、明日からおやつを減らそう…という具合にどんどん先延ばししてしまい永遠に痩せられない。そういう癖がわかっていれば、毎日7000歩といった細切れの目標を設けて目線を身近に持ってくるとか、痩せられなかった時の罰則を決めておいて自分に「コミットメント」するとか、方法はある。アメリカには、目標未達成の罰則として、自分の応援する球団のライバルにお金を寄付する、というサイトが実際にあるらしい。これは少額でも屈辱なのでやる気が出そうだ。
せっかくなのでぼくの「行動経済学の使い方」を紹介したい。大学生の時、授業にはちゃんと出席している方だったし、読みにくい字でもなかったので、テスト前になると「ノート貸して〜」とやってくる(授業にあまり出ない)友人が複数人いた。ぼくは気前よく貸していたのだが、伝統的な経済学で考えるとあまり褒められた行動ではない。ノートを貸した友人(コピーが出回ったその先を含めて)のテストの点数は上がるはずなので、平均点を押し上げてしまう。評定は一般的に相対評価なので、自分の点数を相対的に下げることになるからだ。あるテストで、ぼくはノートを貸した友人よりも低い点をとったことがあった。テストのデキは運の要素もあるのでそういう時もあるというのは理解しているのだが、なんとも悔しい結果だ。これ以来、ノートを貸した授業は、少なくとも貸出先には負けまいとテスト勉強を頑張るようになった。つまり、ノートを貸した時点で、コミットメントが設定されたのだ。この時以来、ぼくは利己的な理由でノートを貸し出すようになったのである。 -
興味深いと思ったのは
私は献血が好きでよくするけど
献血した人の血液型を見ると
統計的にO型の人の献血割合が高い。
(血液型性格診断は根拠がないから関係ない)
「O型の血液はどの血液型の輸血にも使える」というところからO型はの人は他の血液型より献血しやすいようだ。
献血をする人は普通よりも利他性が高いが、↑の事実があるならば、O型の人はより社会貢献ができると考えて、献血するという。
なるほどー!
自分に現在バイアスがかかっているのを知っていて、コミットメント手段を利用する人→賢明な人
自分に現在バイアスがかかっていることを分からない人→単純な人→結果的に先延ばし行動をとってしまう
自分が他人の為になる行動を取った時、その行為そのものが自分を幸福にする事→ウォームグローという
ナッジ→軽く肘でつつくの意味
人間が意思決定をする時、様々なバイアスがかかっているが、その歪みを良くしていこうという事。但し金銭には頼らない
サンクコスト→埋没費用
取り戻すことは出来ない、すでに支払った費用。
費用でなくても対価(努力、行動)でも。
サンクコストにこだわりすぎて他の重要性を識別出来なくなる -
大学の勉強内容に行動経済学があったので、興味本位で読んだ。まず、第一に感じたことは、人間の何気ない行動1つ1つ全てに、なんらかの因果関係があり、その多くは言語化が可能なことに驚いた。様々なバイアスやナッジによって人間がその行動を取るということを知った。
まだ行動経済学の基本を知っただけだが、行動経済学は様々な場面で役に立つと感じた。本の中で挙げられていた実例のように、社会の中や自分の行動を制御することに大きな可能性を感じた。
行動経済学について、少し興味が湧いた。
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トートバッグ欲しさに買った岩波新書の3冊目。もれなくついてくるプレゼントをナッジというのか、ひょっとしてスラッジになるのか分からないが、まあつられて買ったのは間違いない。でもおもしろかったので、結果オーライ。本書内容と自分の体験から、マイナポイントについて。マイナンバーカードはパスポートをつくるついでに家族4人分わりと早くにつくった。で、マイナポイントがもらえるというので手続きをしようとしたがうまくいかない。最近また、保健証と連携するならさらにポイントがもらえるとかで、再チャレンジしたが、結局初期段階でポイントをつけてもらうサービスをどれにするのか決められないで止まっている。要は、登録させないようにしているとしか思えない。お役所仕事だから・・・なんて思ったりもするが、民間だって、こちらに利得がある場合、つまり相手にとって直接的には損失となる場合、手続きは面倒になっている。楽になっていれば、また使おうと思えるのに、バカだなあ。買い手よし、世間よしでなければ売り手よしにはならないのに。長い目で見て。情けは人の為ならず。利他的行動が最終的には自分にもどって来る。おっと、そう考えるのは本当の利他ではなかったか。そう、そう言えば、本書の中の発言で1ヶ所気になったことがある。エッセンシャルワークについて、やりがいがあるのだから、給料は安くても仕方ない、と読めるような箇所があった。うーん、こういう発想が根強くあるから、なかなか労働条件は良くならないのだろうなあ。さあ、次は岩波さん、どんな企画を出してくるのかな。
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私は行動経済学に基づくナッジ理論を用いて人々の行動変容によって健康状態を改善させるスタートアップ企業で働いているので、もとより行動経済学には触れているものの、一通りの書籍には目を通すようにしている。そうした日本語で書かれた書籍の中で、もっとも分かりやすさ・実践性に富む示唆を与えてくれるのがこの著者、大竹氏であると感じている。
本作は新書という極めてコンパクトな中に、行動経済学を実務で応用するためのエッセンスが詰まっている良書である。良い点として、
・行動経済学はなかなか理論的な全体像/ユニバースを把握するのが難しい中で、そのベースにある人間心理のバグを4つに整理して示している(1.プロスペクト理論、2.現在バイアス、3.互恵性と利他性、4.ヒューリスティクス)
・実際に行動経済学を実務に応用する際には、望ましい行動が取られていない原因が何かによって、その打ち手を変える必要が当然ながらある。そうした典型的な原因のパターンと代表的な打ち手が整理されている
が挙げられる。
コンパクトなので、手元に置いておくと便利な本でもあり、私自身も常に手に届くところに置いておくようにしている。 -
第7章までくると著者の前著がいきてくるのかと思いますが、それまでの章はほぼ全て引用でした。
アリエリー、カーネマン、セイラーを簡便化しています。文章中に引用を仄めかす記述はなく、巻末に文献解題、参考文献の記載ありますが、これはちょっとどうでしょう。
もちろん前述の三名も様々な文献から引用しているのは承知していますが、これはやりすぎではないでしょうか。
行動経済学をわかりやすく理解していくなら、
阿部誠監修の「行動経済学」がおすすめです。
著者の言う通り、カーネマンの「ファスト&スロー」も「読み物」として面白いです。
散々ほぼ同じ記述をしていて「読み物」として面白いというのはどうかと思いました。
インスパイアと言えば聞こえは良いです。 -
とても学術的。理解するのに頭を使う。以前、行動経済学の本である「ヘンテコノミクス」を読んでいたので、何とか理解できた。文字数が多いので当たり前だが、ヘンテコノミクスより例が多い。
初めて知ったものとしては、締め切りを細かく設定することで、現在バイアスから発生する先延ばしを防ぐ効果。
例えば、学生にタイプミスを訂正する課題を与え、
①3週間後に3枚すべてを提出
②1週間ごとに1枚ずつ提出
③締め切りを自分で設定
という3グループに分けた。
最もミスが少なく、締め切りからの遅れもなかったのは、②のグループ。次に良かったのは③。成績が最も悪かったのは①。