リベラル・デモクラシーの現在: 「ネオリベラル」と「イリベラル」のはざまで (岩波新書 新赤版 1817)

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  • Amazon.co.jp ・本 (190ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004318170

作品紹介・あらすじ

戦後西側諸国の憲法の共通基準であったリベラル・デモクラシーが,「ネオリベラル」と「イリベラル」の挟撃を受けて世界的な危機に直面している.トランプ現象,イギリスのEU離脱をめぐる混迷,日本の改憲論議などを前に,戦後知識人たちの言説を手がかりにしつつ,私たちの座標軸をどこに求めるべきか考える.1979年以降21世紀まで,10年刻みで岩波新書を刊行してきた著者が新たに問う.

感想・レビュー・書評

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  • 重鎮の法学者が著者ということで手にとったが、なにぶん高齢のかたで、過去の流れをとつとつと振り返りつつ、今思うところを穏やかに語る……お爺さんな感じの文章。正直、頭に入ってこず、しっかり読めなかった。有名な歴史上のあれこれについて自分の知識が足りないせいか。
    ただ、
    「イリベラル」「ネオデモクラシー」というキーワードは現在をよく現しているなと思ったので、他で出会ったら押さえたい。

    現在の政治は不寛容、偏狭なリベラル、多数決主義、ポピュリズムなど息苦しく危険なほうに傾いている。戦前からここまでの来し方を述べつつ、現状理解できる本。

  • 著者にとっては4冊目の岩波新書で、1979から10年きざみで法(憲法)と国家の有りさまを語ってきたらしい。
    で、21世紀になっての本書。世界規模でのリベラル・デモクラシーの展開と現状を語っている。
    しっかし大先生にとっては簡易な語り口なんだろうけど、てんでついていけないんだな。ま法律だから言葉の使い方に厳格なんだよね。素人には言葉尻をとらえているように思える。こう思えちゃうところが勉強不足の証拠なんだね。

  • - リベラルの意味はアメリカとヨーロッパで用法が違う。p3 アメリカでは政治の分野での中道左派を、ヨーロッパ(特にフランス)では、経済の座標で中道右をリベラルと言う事が多い。
    - マグナカルタは個人の自由を目指すものではない。身分間の相対的な自由、中世的な自由を目指している。具体的には国王に対する封建貴族の自由を指す p5-6
    - リベラル・デモクラシーには2つの源泉がある。リベラルに力点があるのか。デモクラシーに力点があるのか。p10-17
    - A型。イギリス、マグナ・かるたを源泉とする。
    - B型。フランス、身分的な特権を否定して個人が担い手となるという近代立憲主義そのもの。
    - [Zakaria, The Rise of Illiberal Democracy](https://www.jstor.org/stable/20048274?seq=1)がこの分野の重要な論文。1997年の論文。イリベラル・デモクラシー(不寛容なデモクラシー)がウィルスの様に世界に広がっていることを、ボスニア選挙などの観察から主張した。p40
    - 『イリベラルの傾向が支配的な場合に共通していることは、まず、選挙という意味でのデモクラシーによらない多少とも独立した制度が、標的にされます。まず司法権、ヨーロッパの場合には日本やアメリカと違って独立した特別の憲法裁判所システムが多いですから、その場合は憲法裁判所です。そしてブリュッセルのEU本部、あるいはストラスブールのEU議会などが標的とされます。ブリュッセルやストラスブールの官僚たちがわれわれ人民の上に立っているのはおかしいじゃないか、ということです。それから、代表的なメディア。アメリカの場合にはニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポストが何よりも攻撃目標にされています。 』p42

  • 約200ページの薄い新書ながら中身は濃い。立憲」という言葉、概念は既に明治維新のときに使われていたことを初めて知った。憲法擁護義務に反して首相が憲法改正を呼号するいま、憲法の基本的な見方を学ぶ重要性を痛感。

  • 東2法経図・6F開架:B1/4-3/1817/K

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著者プロフィール

東京大学名誉教授

「2019年 『憲法を学問する』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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