- Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004318859
作品紹介・あらすじ
千年を超えて読み継がれてきた『源氏物語』。その魅力の核心はどこにあるのだろうか。既存の物語を下敷きとしながら生み出された経緯に注目しつつ、長大な物語の隅々まで目を配り、一つ一つの巻を丁寧に「読む」ところから本質に迫る。何度も通読した愛好家にも、初めて挑戦する読者にも、新たなヒントが詰まった一冊。
感想・レビュー・書評
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源氏物語五十四帖のあらすじはたどれますが、本書の対象はひと通り源氏物語を把握した読者ですね。本文中に古今の源氏研究者の学説を紹介していますが、それを学者の名前だけで紹介していて、関心があればこちらです、ということで参考文献を載せています。その手際の良さが知的で、参考文献の多さが素晴らしい。高木さんの解釈も、“ひと時の消えゆく藻屑”と記す無常観漂う「おわりに」もナイスです。これからの益々のご活躍を楽しみにしています。
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『源氏物語』を味わおうと思いながら、いつも中途半端に終わってしまっている気がする。
漫画の要約版も随分昔に読んだ気がするのだけど……角田光代版は途中だし、ウェイリー版もなかなか進まないし、と結局は玉鬘くらいまでしか行きつかないんだよなー。
そんな我慢のない私にとって、この新書はやや軽いくらいのサイズで良い。
宇治十帖までのあらすじと、筆者が抽出したポイントに触れると、全体像なるものが見えてくるようにも思う。
ただ、まあ、要約的だから、味気ないと思う人もいるかもしれない。ある程度、本文や小説なんかで雰囲気を蓄積しておくと良いのかも。 -
源氏物語の全体のストーリー、主要人物の相関と心理、物語の構造などを、とてもコンパクトに、しかも現代的でわかりやすい文章で要約してくれている。キーとなるシーンは、原文とさりげない意訳?が流れるように配置されていて、お勉強感覚に陥ることなく、楽しい読書であった。
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Audibleで聞いていたら、自分で読む方が手っ取り早く、紙の本に切り替えた一冊。
『源氏物語』を初めて読まれる方や、文学部の学部生で、源氏物語を学ぶ方が、導入として読まれるのにぴったりの一冊。物語を追いながら、文学テクストとして読み解く際のトピックを丁寧に解説してくれている。最近の研究動向から、遡っての碩学の研究成果まで入れながらの本文は、大変わかりやすく、一般の読者で、『源氏』読了に挑みたい方など、全ての読者層の作品理解を助けてくれることだろう。
いきなり『源氏』の本文通読に挑むよりは、まずこの本を読み切ってから、お好きな現代訳に進まれるのがいい。あるいは、一巻ずつ現代訳を読んでは、この本の該当箇所を読むのでもいい。いずれにしろ、本文の傍らにこの本を置いて併読すると、今までわかりにくかったところ、そっけなく見えた本文の不明点が、よく理解できて、作品の面白さを深く味わえるはずだ。
私が読むと、講義のおさらいのような感じで、以前に通っていた大学で『源氏』を学んだ時のノートを見直しながら読んだ。それはそれで珍しい読み方だと思うが、自分の知識の整理になったから、意義はあったということで。
現代語訳を通読なさったら、今度は注釈のついた原典に進まれるのがいい。源氏物語の入門書を何かと言われたら、今後はこれと、知識の補完用に、川村裕子さんの『はじめての王朝文化辞典 』(角川ソフィア文庫)の2冊をセットでお勧めしたい。『須磨』の巻で、読むのを諦めてしまう『須磨がえり』という現象を打ち破る、強力な助っ人になってくれること間違いなしである。 -
源氏物語のあらすじを始めから一通り解説していく本。新書なので飛ばし気味に説明していくが、それはそれでわかりやすい。研究者の解釈を所々解説したり比較したりしていて、読み方が広がった。
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源氏物語の書かれた時代、紫式部の立ち位置、同時代の清少納言や他の作品との関係もわかります。ストーリーを把握しているひとむけの印象。
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2021年6月23日購入。
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源氏物語の全ての巻について、短いながらも丁寧に解説されている。
特定のテーマから読むタイプの解説本ではなく、全体のストーリーや文化の把握をするのにちょうど良い本だった。
与謝野晶子訳の源氏物語が結構難しくてあまり理解できていなかったけど、この本読むことで大まかに把握できた