応援消費 社会を動かす力 (岩波新書 新赤版 1934)

著者 :
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感想 : 23
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  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004319344

作品紹介・あらすじ

被災地、好きなブランド、ふるさと納税、推しのアイドル……を消費することで応援しようとする行動が目立っている。このような新しい「お金の使い方」が社会を動かす大きなエネルギーとなっている。利他的な感情と経済の論理が時に対立し、時に協調する新時代のマーケティング思考のメカニズムを解説する。

感想・レビュー・書評

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  • 「応援消費」がどんなものかを知りたくて手に取ったが、得るものの少ない本だった。内容が抽象的で浅い本だった。

    「応援消費」がいつ頃から使われ出した言葉かとか(新聞紙面への出現回数)、「応援消費」のほかに「絆消費」や「バイコット」という言葉があるとか、「陰徳」の文化とか、寄付とボランティアの歴史とか…。ふるさと納税を巡る紆余曲折にも紙面がたくさん割かれていた。「贈与のパラドックス」という概念、結局なんだかよく分からなかったな。感染症対策の歴史を紐解いた「統治生とマーケティング」(第6章)は「応援消費」と関係あるのかな?

  • 応援消費というタイトルから判断して、いわゆる昨今の「推し活」を専門家的見地から料理してくれる本、だと期待して読んだが、それは勝手な思い込みであり、そういう本ではない(触れてはいる)。

    サブタイトル ~社会を動かす力~ という説明にあるように論理が収束しておらず、用語の解説も乏しい。その道に詳しい人には自明な用語なのかもしれないが、頻出するのに説明がない言葉をたどって、ページを後戻りすること多数。

    応援消費について知りたいのに、それを知るためにはそもそもの歴史を紐解かなければならぬというご親切心から、読書の半分はその歴史講義に付き合わされるのも、非常に退屈。

  • 応援消費とは、被災地、好きなブランド、ふるさと納税、推しのアイドルを消費することで応援する行動である。
    ボイコット運動に対するバイコット運動も世界的に注目を集めている。購買により、善行に報いる行動である。
    新たなマーケティングの時代が来ているのだなと思った。

  • 「推し活」の話かと思ったらそういうのではなかった。

  • 桃山学院大学附属図書館蔵書検索OPACへ↓
    https://indus.andrew.ac.jp/opac/volume/1311430

  • 【請求記号:675 ミ】

  • 応援消費という新たな形態への対応法や今後の展望などが得られるかと思って読んだが、そのような内容ではなかった。
    生産や流通ではなく消費が主役となる消費社会が到来し、マーケティングもまた、かつての余ったものを売り捌くというセールス局面の概念から、需要を生み出しそれに対応した価値を生産するために組織活動全体を統括するという概念に進化してきたという流れと、贈与は明らかになった途端に見返りが発生し交換に変貌してしまうというパラドックスを内包していたが、これが明確に交換と一体化するように変形してきた流れが合わさって、応援するために消費するという新たな主流概念が登場したということを、新聞記事に(過剰に)頼りながら論理展開する書。全体のバランスもわかりづらく(ふるさと納税がやたらと大きく扱われている)、知りたかったことが知れたわけでもなかったため星2つ。

  • ◎信州大学附属図書館OPACのリンクはこちら:
    https://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BC15972489

  • 応援消費とは、苦境の人や企業を応援するための消費。
    第1章、応援消費という概念の経緯を追う。2011年の東日本大震災を機に広まり、2020年コロナ禍で再び注目された。1995年の阪神淡路大震災ではあまり見られなかった。
    第2章、日本の寄付文化について。寄付自体がなかったわけではないが「陰徳」の考え方ゆえ表立って取り上げられにくかった。またボランティアについても、仁平典宏氏の論に沿って紹介。贈与と交換のパラドックス、返礼が遅れることによってしか贈与は贈与たりえない。返礼に「やりがい」のような精神的返礼を想定する場合も。
    第3章、ふるさと納税。寄付として始められた制度が返礼品を伴うことによって交換に近くなる。政府によって導入された寄付の仕組みが、いつしか市場化に接近していく。ただし犬猫殺処分防止のように返礼なしに成り立つ寄付もある。
    第4章、世界におけるバイコット・ボイコットの動向。中年、女性、高学歴、イデオロギー的には左右問わず極端め、政治に関心が高く政治を信頼していない人の方が参加する傾向。
    第5章と第6章は著者の専門であるマーケティング論に接続。第5章はマーケティングの考え方の変遷。コトラーによる非営利活動へのマーケティング概念の拡張。第6章は統治性とマーケティングの結びつき。強制でなく誘導を行う政府ができるのは市場性の導入。

    贈与と交換の考え方は興味深い。「応援」においては何と何が交換されていて、それぞれを誰が支出しているか。
    必要な労働力を雇用でなくボランティアで賄う、苦境にある企業の支援を公金支出でなく消費誘導によって行うといった具体的な場面も頭に浮かぶ。ふるさと納税が実質的な交換として機能するようになる経緯や、第5章で出てきた需要創造の話をも考えると、政府による贈与への関与というものの輪郭が見えてくるようでもある。

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著者プロフィール

東京都立大学教授

「2023年 『マーケティングをつかむ〔第3版〕』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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