動物がくれる力 教育,福祉,そして人生 (岩波新書 新赤版 1970)
- 岩波書店 (2023年4月20日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004319702
作品紹介・あらすじ
犬への読み聞かせは子どもを読書へ誘い、生きづらさを抱える子どもは傷ついた動物をケアする中で学ぶ。保護犬を育て直して若者は生き直し、補助犬は障害のある人の人生を切り拓く。高齢者は犬や猫と共に充実した最期の日々を過ごす。人間にとっての動物の存在を国内外で30年近く取材した著者が、未来に向けて綴る。
感想・レビュー・書評
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人に寄り添う動物のお話。人間社会のなかで動物は、あらゆる場所で活躍している。言葉を交わせない動物だからこそ、人間同士では生まれない絆が生まれ、人間には出来ないケアを可能にする。一生懸命に可愛がれば、動物は無条件の愛情と信頼で応えてくれる。そのことが困難を抱える人々にとって大きな力になることは想像に難くない。
けれども本書で紹介される動物たちが想像以上に様々なところで活躍しているのには驚いた。人と動物の関係に関する国際組織であるIAHAIOの定義に基づいて大別すると、動物介在介入(動物介在療法)と、動物介在活動と、動物介在教育がある。
細かな分類はさておくけれど、司法の場で辛い体験を証言する場に犬が寄り添ったり(コートハウス・ファシリティドッグ)、刑務所で辛い境遇を生きてきた人に寄り添ったり、病気や高齢の人にも寄り添う。動物と人間のみならず、動物を介して人と人が繋がるようなプログラムもあるようだ。それは一人の人間を癒やすと同時に、社会的に包摂してゆく過程でもあるなと思った。
もちろん、それらは動物の「利用」になってはいけないのだけど、動物とともに生きてゆくことは、思った以上に多くの人に力を与えるのだなと思った。 -
犬や猫、馬などの動物を世話し寄り添うことでケアされる人々をケースごとに紹介している。
犬に読み聞かせる困難を抱える子供たちのほほえましい活動、介護施設や医療現場での癒やしの存在などはありそうだが、刑務所での保護犬の訓練によるウィンウィンの様子などは知らなかったので感心した。 -
犬や猫、馬などの動物が児童養護施設、法定、医療施設、高齢者施設、教育施設などで活躍している様子を多くの事例を通して紹介してます。
ただ側にいて寄り添うことが、どんな人にも大切なんだと思いました。 -
知っている学校や図書館が出てくるので、親しみを持って読みました。こんなことやっているんだ!感心しました。動物達に感謝
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人間を支える動物として盲導犬のイメージしか持っていなかったので、学校、図書館、裁判所、刑務所、少年院、病院、高齢者施設などで人間に寄り添い活躍する動物たちとそのハンドラーさんの純粋な存在感に圧倒されました。機器・道具の力、生成AIの力、動物の力…足し算できる力はまだあるようでした。
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病院への介護犬や盲導犬についてはテレビなどで見たことはあるが、猫や馬がセラピーをすること、さらには刑務所や子どもの保護施設で動物の世話をすることによる教育があることは初めて知った。子どもが世話をするためには、大型の馬が適切である、ということも初めて知った。
こうしたことを特集したテレビ番組が必要であると思われる。YouTubeではエミューに癒される女性の動画がある。テレビでは猫や犬の面白い場面だけを取り上げた読者からの投稿があるがそれでいいのだろうかとも思わせる。 -
動物の持つ力は計り知れない。日本ももっと、ペットフレンドリーな国になって欲しいものだ。