言語哲学がはじまる (岩波新書 新赤版 1991)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004319917

作品紹介・あらすじ

フレーゲからラッセル、そしてウィトゲンシュタインへ――二十世紀初頭、言葉についての問いと答えが重なりあい、つながりあっていった。天才たちの挑戦は言語哲学の源流を形作っていく。その問いを引き受け、著者も根本に向かって一歩一歩考え続ける。読めばきっとあなたも一緒に考えたくなる。とびきり楽しい言葉の哲学。

感想・レビュー・書評

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  • 『言語学の教室』が面白かったので、わくわくしながら本を手に取りました。

    言語哲学に興味はあるものの、分厚くていかにも難しそうな入門書と戦う勇気はない……でも気になる!という私の好奇心を満たしてくれる1冊でした。
    難しいところもありましたが、野矢先生の優しい語り口調のおかげで、ついていきやすかったです。

    あとがきで、おすすめの本を挙げてくださっているのもありがたいです。読んでいこうと思います!

  • 題名通り、入門書。
    最終的にウィトゲンシュタインの『論考』の紹介になっている。
    言語が思考を成立させるのであって、言語以前の思考という考えには意味がない。(177ページ)が肝。

  • 人と人が言葉を使って何かを為そうとするときに、お願いしたにもかかわらず、相手の仕事の優先順位に疑問を感じることが多々ありますが、理解してもらえないと嘆く前にまず自分の言葉の働きを深掘りしていくほうが解決しそうです。

  • 野矢先生の新書!めちゃオモロー…。

    言語哲学の転換期を作り上げていたフレーゲ、ラッセル、ウィトゲンシュタインの思想を追いながら、読者にも考えさせるのは流石。野矢先生はホント面白い本を書くなぁ。

    簡単にメモとしてまとめておこう。
    フレーゲ→言葉の意味は、ある文が世界に対して<真>か<偽>で決まる(文脈原理)。文の意味は、言葉の意味/関数によって決まる(合成原理)。この2つを成り立たせるために、意味(指示対象)と意義(思想や概念かな?)が必要となる。しかし固有名の意義という点で躓いてしまう。
    ラッセル→フレーゲが言うような意義は認めない。それはある文を命題関数の複合としてみることで回避できる。しかし、文の構造というものが無視されなければならない。
    ウィトゲンシュタイン(前期)→まず事実(世界)があり、言語がそれを分節することで可能性が生まれる。語の意味は言語全体の中で決まり(全体論的言語観)、合成原理は語の指示対象と論理形式により導かれた。しかし、言語使用という動的なものを静的と捉えていたことを、後期になり気付く。

    うん…全然簡単じゃないが、まぁ大まかなところはこんな感じだろう。
    言語という誰もが意識せず使えるものを考え続けた3人の思想。ウィトゲンシュタインについては色々と読んでいるが、全体の流れの中で位置付けたことはないのでそこらへんも勉強必要だなぁ。

  • 東2法経図・6F開架:B1/4-3/1991/K

  • いわばウィトゲンシュタインのファンブック。
    著者はフレーゲやラッセルは批判するのにウィトゲンシュタインは批判しない。

    しかし、読者を言語哲学へ誘う役割は十分に果たしていると思う。読んでいてもどかしさが半端ないからだ。巻末には読書案内があるので参考になる。

  • フレーゲ、ラッセル、ウィトゲンシュタインの議論をもとに、言語哲学について論じている。

    新たな意味を持った文を無限に作り出せるのはなぜかの問から、言語で何が指示されているのか等の議論が展開された。

    可能性のある事態は無限にあって、それを示す語の組み合わせは無限。でも、そのなかで実現している事実は限られているみたいなことが最後の方で書かれていたような。

    ゆっくり議論を進めていてわかりやすかったけど、理解するにはもう何度か読む必要がありそう。

  • 言語哲学入門。
    ちぃっと時間かけないと難解な話なのでいつか読み切りたい。

  • 内容自体が難解なんだろうけど、もう少しわかりやすく説明できたのではないか…と思います。
    読者に語りかけながら説明する口語文体なのは読むハードルを下げてるのだろうけど、それを意識にしすぎて全体的に余計な言葉が多いというか…。説明を丁寧にしようとしすぎてかえってまどろっこしいと感じてしまいました。
    必ずしも言葉を足すことが丁寧な説明になるとは限らなくて、むしろ短く端的に説明する方が理解しやすい場合もあるということを示す良い例ですね。

    書かれていること自体は面白かったです。

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著者プロフィール

1954年(昭和29年)東京都に生まれる。85年東京大学大学院博士課程修了。東京大学大学院教授を経て、現在、立正大学文学部教授。専攻は哲学。著書に、『論理学』(東京大学出版会)、『心と他者』(勁草書房/中公文庫)、『哲学の謎』『無限論の教室』(講談社現代新書)、『新版論理トレーニング』『論理トレーニング101題』『他者の声 実在の声』(産業図書)、『哲学・航海日誌』(春秋社/中公文庫、全二巻)、『はじめて考えるときのように』(PHP文庫)、『ウィトゲンシュタイン『論理哲学論考』を読む』(哲学書房/ちくま学芸文庫)、『同一性・変化・時間』(哲学書房)、『ここにないもの――新哲学対話』(大和書房/中公文庫)、『入門!論理学』(中公新書)、『子どもの難問――哲学者の先生、教えてください!』(中央公論新社、編著)、『大森荘蔵――哲学の見本』(講談社学術文庫)、『語りえぬものを語る』『哲学な日々』『心という難問――空間・身体・意味』(講談社)などがある。訳書にウィトゲンシュタイン『論理哲学論考』(岩波文庫)、A・アンブローズ『ウィトゲンシュタインの講義』(講談社学術文庫)など。

「2018年 『増補版 大人のための国語ゼミ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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