戦争と沖縄 (岩波ジュニア新書 19)

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  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784005000197

感想・レビュー・書評

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  • 沖縄戦において第32軍牛島司令官と長参謀長が自決し、組織的な戦闘が終わった6月23日。今日はまさにその慰霊の日としてテレビを付ければ沖縄の慰霊祭でスピーチする玉城デニー知事や岸田総理のスピーチが流れていた。毎年6月が近づくと沖縄戦の書籍が本屋の片隅にコーナーとして設置されたり、8月のお盆休みの頃に向けては、太平洋戦争を扱う書籍が本屋のメインどころを占める。一昨年多くの書籍を残し、戦争の惨禍を繰り返してはならない事を訴え続けた半藤一利さんが亡くなった。新宿の紀伊國屋を始め、大型書店はこぞって同氏の死を悼むコーナーを設置していた。色々な歴史観はあると思うが、徹底して同じ過ちを繰り返してはならないと人々に伝え続けていた。
    先週あたりから私も自宅の本棚から沖縄戦の本を出して何冊か読んでみたが、何度見ても悲しさと憤りしか覚えない。中でも住民を巻き込んでの南部への撤退などはいたずらに一般人の死者を増加させたとして、軍部の徹底抗戦と長期持久戦略を非難する声は多い。よく知られているひめゆり部隊の死者も多くは首里放棄後に集中している。
    戦後78年が経過し経験者も多くが鬼籍にはいる中、この惨禍を忘れない為の取り組みはもっと多く必要ではないかと感じる。同じ過ちを繰り返さない為に。岸田総理が言ってる緊迫したアジア情勢も解る、力の均衡の大切さも解る、だからこそ人は知恵を使って平和の中で解決策を探していくのは現代人の使命だ。それは沖縄の人だけでなく、日本国民、世界中の人々が等しく負った責任だ。
    本書はあの日あの時沖縄で何が起きていたか、加えて平和を愛する沖縄(琉球)人の歴史についても触れている。戦いを好まず、武器を取る事を嫌い、人々が緩やかな時間と青い海に囲まれて生活していた時代。中国や日本の薩摩、アジアの国々との貿易で繁栄した時代。その様な過去から明治以降の廃藩置県による琉球廃止、そして日本による軍国教育と標準語の強制。それでも耐え、かつ平和に暮らそうとしていた人々の命を奪った責任は国にある。
    今まだ基地問題を抱え、経済的にも弱い立場にある沖縄。海を汚せばそこに生きる珊瑚やジュゴンの生活圏まで奪ってしまう。他に良い方法は無いのだろうか。考えなければならない課題は沢山ある。決して平和を諦めず、安易に妥協せず、誰の支配も受けず、ただただ暖かい南風に吹かれ、潮騒に耳を傾け、ゆっくりと陽が沈む景色を見ていたい。考えを止めてはいけない、平和の歩みを止めてはいけない、平和の歩みとは考え続けて守っていく事だ。我々同じ日本人として。

  • 琉球王朝の成立から沖縄返還までの沖縄の歴史を戦争を中心に書かれた本。

    沖縄が抱える問題の本質を理解するには、沖縄の歴史を知ることが必要だと思います。沖縄の歴史を知るのに役立つ一冊です。

  • あとがきにもあるように、日本人一般はあまり沖縄について知らなすぎる。きちんと知った上で沖縄について考えたり、沖縄に実際に行ったりしたい。今まであまり沖縄に行きたいと思ったことはなかったが、行ってみたくなった。沖縄のさらに詳しい地名が入った地図があるともっとわかりやすくなるだろう。

  •  まずはひめゆり学徒隊の悲惨な話から始まり、戦時のとてもえげつないこと、時代を一旦遡って、薩摩藩に搾取されていた話、その後に話は戦後になってアメリカ占領時代に基地がどんどん出来て、アメリカひどい、という話、そして「祖国」と言って良いのかどうか分からない「日本」にモヤモヤしたまま復帰しました、というところで終わり。
     実は初めて、仕事でこの前沖縄に行ったので、何か沖縄に関する本が読みたいと思っていたところ、家の本棚で見つけた。こういう本を買ったことすら忘れていたので、ちょうど読むには良い機会だった。それにしても沖縄について、本当に関心がそんなになかったし、知らないことが多すぎた。かろうじて、ひめゆりの話を知っているくらい。確かにこの本に書いてあるようなことを教育されたら、それなりにその人のアイデンティティを形成しそうなくらい、独特な内容だった。例えば「医学の分野では、日本本土より二四年も前の一七六六年に種痘が沖縄で実施されましたし、また、日本の華岡青洲より一〇〇年以上も前の一六八九年に、高嶺徳明という人が、麻酔を使った手術に成功していました。」(pp.112-3)なんて、たぶん日本史を勉強しても教わったことないと思う。さらに、ペリー来航で慌てふためいた日本、というのは知っていても、ペリーよりも37年前の1816年にバジル・ホールという人が沖縄に着き、『来琉記』という記録を残しているというのも知らなかった。そして、そこには、沖縄の住民が寛大で礼儀正しいかという、好意的な内容がたくさん書かれているらしい。こういったことは「郷土史」として終わらせてしまって良いのか、という感じがする。
     ただ、これは批判ではまったくないが、あまりに沖縄からの目線が強すぎて、ただの歴史を知る以上に、ストーリー性が強すぎる感じがあり、これまで沖縄について知らなかったおれにはちょっと違和感というか、付いていけない感じがあった。上記の沖縄人の良さに関する記述といい、あるいは薩英戦争の際には、薩摩に蹂躙されながらも「琉球王府では、沖縄各地の寺や神社に参拝して薩摩のために祈願し、お守を薩摩に送ったということです。まことに従順をとおりこした姿というべきでしょう。」(p.122)など、もちろんその通りなのだろうけれど、歴史を知るという側面よりは「沖縄の良さを知り、平和を願う情」の方が強く出ている感じがする。中高生向けということで、あえてそうなっているのかもしれないけど、沖縄の歴史を冷静に知る、という感じではない。
     でもそういう部分を差し引いてみても、やっぱり理不尽は過ぎるし(伊江島にアメリカが基地を作る話とか)、読んでても胸が痛くなる悲劇とか(スパイと間違われて殺される女の人の話とか)、人間って残酷、と思ってしまう内容で、勉強する歴史の裏に、いかに多くの無名の人々が壮絶な人生を生きているかということを思い知らされる内容だった。(18/10/14)

  • 琉球の歴史、沖縄の歴史、沖縄戦の歴史を知るのにベストな本。

  • [ 内容 ]
    一九四五年、米軍の攻撃を受け悲惨な戦場となった沖縄。
    守備軍はもとより中学生、女学生までも戦闘にかり出され、多くの住民が戦火のなかを逃げまどいました。
    多くの人命を失った沖縄戦の実相をつぶさに描き、琉球王朝成立から戦後の本土復帰にいたる沖縄の歴史と人びとの暮らしを語ります。
    沖縄修学旅行に便利。

    [ 目次 ]
    1 ひめゆり学徒隊
    2 戦争と沖縄(学童疎開船の悲劇 アメリカ軍の上陸まで ほか)
    3 沖縄の歴史から(沖縄という島 琉球王朝の成立 ほか)
    4 近代日本のなかの沖縄(廃藩置県と琉球処分 県政初期のころ ほか)
    5 日本復帰まで(収容所の生活 戦後の混乱 ほか)

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    [ 参考となる書評 ]

  • メモ:
    座間味島で283名が集団自決。日本軍が住民の農作物にたいしてきびしい統制をおこない、違反する者をつぎつぎに殺す。
    琉球王国から日本国の沖縄県になってから沖縄人といって差別を受けてきた。

  • 沖縄の歴史を伝える新書です。ジュニア新書なのでわかりやすかった。歴史を知らない私にはこのぐらいでちょうど良かった。

  • 2004年5月15日

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