映画の仕事はやめられない! (岩波ジュニア新書 523)

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  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784005005239

感想・レビュー・書評

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  • 〇新書で「学校生活」を読む⑤

    附田斉子著『映画の仕事はやめられない!』(岩波ジュニア新書、2005)

    ・分 野:「学校生活」×「人生を読む」
    ・目 次:
     はじめに
     第1章 映画業界の素敵な人びと
     第2章 つくる 映画プロデューサー&映画監督という仕事
     第3章 買う 映画買い付け&映画祭
     第4章 流通させる 映画配給&映画興行
     第5章 世界へ羽ばたく日本映画を支える
     第6章 だから映画はやめられない
     おわりに

    ・総 評
     本書は、映画に関わる仕事をしている女性たちを通して、その仕事の魅力について解説した本です。著者は映像コンサルタント会社の代表を務める一方で、映画祭のアドバイザーなども務める人物です。
     私たちが映画を見る際は、演じている俳優やその内容(脚本)に注目しがちです。一方で、本書では、ある映画を「撮る」ところから「上映する」までの間に存在する、様々な“仕事”に注目しています。この本を読んで面白いなと思った点を、以下の3点にまとめます。

    【POINT①】映画をつくれた「幸運」な人たち――映画プロデューサー
     映画プロデューサーは映画制作におけるビジネス面を担当し、限られた資金と時間の中で、映画監督が望む撮影環境を準備することが仕事です。しかし、実際は「つくられることのない、または完成することのない映画のほうが多い」のが現実です。著者もプロデューサーとして二年もかけて準備した映画制作が、撮影を予定していた国の政情が不安定となったために中止となった経験を持っています。このように、映画を制作するには「運」の要素も大きいのですが、そうした「幸運」を手にしたのは「大変な努力をして、待ち構えて、これっぽっちの運ものがさないように腕まくりしていた人たち」だと、著者は指摘しています。

    【POINT②】映画を「売る」人たち――宣伝プロデューサー
     宣伝プロデューサーにとって、多くの人に映画を見てもらうために、どのように映画を“魅せるか”が腕の見せ所となります。佐藤かほさん(東宝東和)は、過去に『トゥームレイダー』という映画の宣伝を担当した際、アクション映画としては「きわめてふつうの作品」と感じる一方で、主演女優の「リアルにアクションをこなす」姿に惹かれたと言います。そこで、主演女優のビジュアル(写真やポスター)を積極的に宣伝する一方で「徹底的に内容の出し惜しみをして煽る」ようにした結果、女性ヒロインのアクションものはヒットしないという定説を覆すほどの大ヒットを記録したと著者は指摘しています。

    【POINT③】 自分の好きなことを“仕事”にするには――自分の「責任」で選択する
     現在も大好きな映画に関わる仕事をしている著者ですが、全てが順調だったわけではありません。大学卒業当時は、女性であるが故に志望していた新聞社には「門前払い」され、最初に就職した会社も社内方針の変更によって転職せざるを得なかったと言います。それでも著者は、自分が好きなことについては「思いきり悩んで、思いきりやりたいと思うことをやってみ」るべきで、もしも「違った、駄目だった」と感じたときは「思いっきり軌道修正すること」も大事だと言います。ただ、その大前提として「自分の選択には、自分で責任をもつこと」が重要であり、だからこそ、その結果に納得することができると指摘しています。

     本書を読むと、普段私たちが楽しんでいる「映画」は、数多くの“裏方”とも呼べる人たちによって支えられてることが分かります。映画の最後に流れる「エンドクレジット」を飛ばす人は多いと思いますが、どのような仕事の人たちが携わっているのかという視点で見ると、新たな発見があるかも知れません。
     また、こうした視点で自分の“趣味”を考えてみるのも面白いでしょう。例えば、ゲームが好きという場合は、自分が楽しんでいるゲームが、どのように「制作」「流通」「宣伝」「販売」されているのかを調べてみるのはどうでしょうか。もしかすると、その中に、自分の好きなことを仕事にできる「将来の進路」を発見できるかも知れませんよ。
    (1449字)

  • 778-T
    閲覧新書

  • 映画産業に関わる様々な仕事を紹介してくれている。映画産業の担い手を育てる意味でも、このような本をもっと作るべきだね。大好きな映画をいつまでも見ることができるようにね。

  • <閲覧スタッフより>
    監督やプロデューサーだけではない"映画の仕事"って?将来映画関係の仕事に就きたいと考えている方にオススメです。また、そうでない方も、普段何気なく観ている作品に一体どれだけの人が関わっているのか知ってみると面白いですよ。
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    所在記号:新書||778.0||ツケ
    資料番号:20088861
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  • 4-00-500523-3 200p 2005・11・18 1刷

  • 製作と同時に制作も大切。

  • 映画業界が長く、いろんな仕事をしてきた筆者による「映画のお仕事」についての本。
    いろんな人がでてくるので、「いろんな人生・考え方があるなぁ…」と面白いです。皆様、波瀾万丈。

    全体の流れは分かるかな。
    でも割と断片的なので、これで「興味のしっぽ」を掴み、その分野を調べることをお勧めします。

  • 映画業界にかかわるたくさんの仕事。現場で頑張る女性たちの話。ティーレデイなんて職業もあるらしい。201412

  • ジュニア新書の一冊なので一応年少者向けなのですが、一般の人が読んでも興味深い内容であります。
    著者は映画の仕事に従事し、そのさまざまな体験を基に、いはば映画製作の裏ではどんなことが行はれてゐるのかを紹介します。

    第1章では自分が映画に関つてきた経緯を開陳し、第2章「つくる」では映画のプロデューサーと映画監督について、第3章「買う」では映画の買付けと映画祭についてそれぞれ説明してゐます。映画のバイヤーといふのは小売業のそれとは比べ物にならぬハードワークですね。語学力対人折衝力体力好奇心すべてが人並み外れて具へてゐないと務まりません。
    第4章は「流通させる」。映画の配給と興行について。文中にありますが近年の映画の日本語タイトルはただカタカナに直しただけのヒネリがない邦題が多い。
    第5章では日本映画を海外へ売り出す人たちの話。映画は作るだけでは自己満足に終る。肝心なのはその後だと著者は言ひます。いかに配給し、いかに宣伝するかの方が重要であるのだと。
    最後の第6章では、映画を作る際にはこんな人も活躍してゐるのですよとニッチな仕事を紹介してゐます。そしてジュニア新書の読者を想定した、映画界を目指す人へのアドバイス。

    各章では、それぞれの分野で活躍中の女性を紹介してゐます。いづれも生半可な気持ちでこの世界に飛び込んではゐません。映画の世界に拘らずどんな仕事を選んでも、その道で成功するためには彼女たちのやうな心構へが必須であると申せませう。ちよつと道徳臭。

    http://genjigawakusin.blog10.fc2.com/blog-entry-179.html

  • 10代の頃に出会いたかった本です。その頃に出会っていたら、私の人生もだいぶ変わっていたかも??やっぱり高学歴が必須なんですね。映画に限らず、今はどの職業も細分化されてますね。

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附田斉子の作品

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