自分と未来のつくり方――情報産業社会を生きる (岩波ジュニア新書) (岩波ジュニア新書 656)
- 岩波書店 (2010年6月19日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784005006564
作品紹介・あらすじ
情報産業社会を生きる人間を考えるための、やさしいレッスン。話はエンデの『モモ』からはじまり、ヴェーバーやケインズ、プラトンやデカルト、フッサールにまで広がります。人類の知の蓄積からヒントを得て、君はメディア社会にどんな未来を描きますか。
感想・レビュー・書評
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我々の生きる情報化社会がどのようなものかを高校生向けに説明した本。
技術的無意識についての話、アナログ技術革命とデジタル技術革命の話、ミヒャエル・エンデの「モモ」の読解など、興味深い内容がいくつもある。
同じ著者の「新記号論」を以前読み、そちらも大変面白かったが、そこで書かれていた内容がこの本にも出てくる。高校生向けなので表現が平易で読みやすい。
電車の行き帰りの時間に読めた。
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岩波ジュニア新書という名前のせいで大人はこの本を見過ごすだろうと思うと残念で仕方のないほどの良書だった。また、「情報産業社会を生きる」という副題は、「インターネットの危険性」や「情報(化)社会」などの内容をイメージさせるが、「産業」という言葉が付いているのもお忘れなく。
あくまで『自分と未来のつくり方』なのだ。
この本は中高生向けの講義(図書館の協力により実現というのも興味深い)を書き下ろしたものなので、扱っている内容の割にはそれほど難解とは感じられなかったし、単純に面白かった。また、「新しい技術や世界をどのように考え、そして、どのように受け入れながら生きていくのか」というのは、仕事柄、東大入試の評論文っぽいと思った。
本の内容ついて生徒に話をしたところ、ネットが当たり前の世代ということもあってか反応が良かったが、「そんなこと考えたこともなかった」というのが実際のようだった。ちょうど現代文の授業で佐々木健一の「コピーの芸術」(『美学への招待』)を読んでいたので、我々の経験上ではコピーがオリジナルになっているという言及と合わせて改めて考えさせたいと感じた。
近年、生徒の想像力が年々低下しているなぁと思ってはいたが、その一因がどこにあるのかをこの本ははっきりと示してくれたので、色々な面でとても参考になった。
頭で分かるだけでなく、「実感」できるとよいだろう。 -
情報メディアをシャットアウトして、自分自身の思考を活動させるタブラ・ラサの時間をつくる。
また自身の情報取得経路を振り返る。そうして自身を成り立たせている情報の生態系、回路の見取り図を手に入れる。そして現実世界で実際に多くの体験をする。最後に自分なりの表現方法で情報の世界に自身の考えを送り出す事で、情報環境を自分の環境とする事ができる。 -
中高生に、こんなにスリリングな話しができる大人は、なんてかっこいいのだろう!
自分の脳が情報過多になっていることには、生理学的に気がついていて、別の部位を働かせることが有効だと思う。例えば運転。
そしてオフライン! -
P.2020/1/19 f.2020/2/12
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情報化の中で、自分を映した影がネットワークの中に生まれ、振る舞い始める。そんなもう一人の自分をどう見て、どう生かし、付き合っていくか。そんなことを考えるきっかけを与えてくれた。
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読了
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情報産業社会を生きる若者たちへのやさしい哲学書です。