大統領でたどるアメリカの歴史 (岩波ジュニア新書)

著者 :
  • 岩波書店
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本棚登録 : 86
レビュー : 9
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784005007233

作品紹介・あらすじ

大国アメリカを率い、世界に強い影響力を及ぼすアメリカ大統領はどのように指導力を発揮してきたのだろうか。「建国の父」と呼ばれる初代ワシントンから、リンカーン、ルーズベルト、レーガン、ブッシュそして初の黒人大統領オバマまで、歴代大統領の足跡をたどりながらアメリカの歴史をわかりやすく解説します。

感想・レビュー・書評

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  • 推薦教員:川名令子先生

  • ○この本を一言で表すと?
     歴代大統領について網羅的に紹介した本


    ○この本を読んで興味深かった点・考えたこと
    ・アメリカの著名な大統領からかなりマイナーな大統領まで網羅的に書かれていて、初めて名前を知った大統領についてもその来歴等を知ることができてよかったです。

    ・三十六年周期の政治変動、という規則的な流れに沿って章を区分しているのは面白いなと思いました。その区分でうまくトピックが分かれていること自体がこの周期変動が規則的であることをある程度証明できているように思いました。

    ・購入した時点で栞が真ん中のページに挟まれていて、そこがちょうど「最重量の大統領―タフト」という小見出しのあるページだったので、この大統領についてはしっかり記憶できました。

    ・初代大統領のワシントンが二期で大統領の職を退く前例を作ったことで、強い慣例としてその習慣が守られていったのは、ある意味で歴史を方向付けた偉業だったのかなと思いました。(第1章 独立からフロンティア拡大の時代)

    ・第三代のトーマス・ジェファーソンでフェデラリスツ(連邦党)からリパブリカン(共和党)への政権交代が平和裏に行われたことが、同時代の流血を強いたフランス革命等と比較されていて興味深かったです。それ以降の再度のイギリスとの戦争や領地拡大など、様々なできことが歴代大統領の記録とともに説明されていて、あまり知らなかったことについても概要を知ることができてよかったです。(第1章 独立からフロンティア拡大の時代)

    ・大統領にならなかったベンジャミン・フランクリンについてコラムで書かれていたのも同時代の重要人物を網羅出来て良い構成だったと思いました。(第1章 独立からフロンティア拡大の時代)

    ・リンカーンについては、何度も挫折したことやスピーチの旨さなどは自己啓発書でよく事例として出ますが、その行いや決心が揺るがなかった点などについては、あまり知らなかったのでいろいろ参考になりました。リンカーン以外の大統領がさらっと流すように概要だけ述べられるに留まっていましたが、それだけ南北戦争が大きなトピックだったのだろうなと思いました。(第2章 分裂の危機と南北戦争)

    ・セオドア・ルーズベルトが金子堅太郎と大学の同窓生で、その縁で日露戦争の調停を依頼した話などは司馬遼太郎の「坂の上の雲」で知っていましたが、武士道等も勧めて日本人びいきにしていた話は初めて知りました。日本視点だからか小説では割と人格者として描かれていましたが、ラテンアメリカでは棍棒外交で強引な外交をしていたことなど、実務面でもいろいろやっていたのだなと思いました。(第3章 欧州列強に並ぶ大国への道)

    ・テディ・ベアが、セオドア・ルーズベルトが熊猟で小熊を逃がしてやったエピソードで生まれたことを初めて知りました。(第3章 欧州列強に並ぶ大国への道)

    ・ウッドロー・ウィルソンが平和のために国際連盟を提唱した一方で、日本の人種平等条項を蹴ったことは知っていましたが、南部出身の人種差別主義者だったというのは興味深いなと思いました。(第3章 欧州列強に並ぶ大国への道)

    ・フランクリン・ルーズベルトが大恐慌の対策として行ったニュー・ディール政策は、歴史の教科書だとその規模や効果などについてそれほど触れられていませんでしたが、かなり大規模な公共投資で、それ以外にも様々な政策を打ち出していたことは初めて知りました。小説や戦争史などでは、戦争をしない公約で選挙に当選して、日本から戦争を仕掛けさせた悪玉として書かれることも多いように思いますが、ラジオで国民に直接語りかける手法など、別の視点で見ると興味深い人物だなと思いました。(第4章 ルーズベルト連合と民主党の時代)

    ・第二次世界大戦、朝鮮戦争、ベトナム戦争など、アメリカが主要な利害関係者となる戦争が続き、その中で大統領が交代して前任者の処理をさせられるなど、大変な時代だったのだなと思いました。(第4章 ルーズベルト連合と民主党の時代)

    ・リチャード・ニクソン以降、大統領の流れで見ると、メディアの影響が強くなったのか、スキャンダルが取り上げられ、それで政権交代に繋がるケースが続く時代だったのだなと思いました。(第5章 アメリカの復活とレーガンの時代)

    ・大きな出来事、不況などがあり、それ以前と変わらずリーダーシップを取って動いている大統領もいるものの、それ以前の時代のリーダーシップより弱く見えるのは、時代背景が異なるからかなとも思いました。(第5章 アメリカの復活とレーガンの時代)

    ・2012年に出版された本なので、オバマと、2期目を争ったロムニーについて書かれていました。2017年時点から見ると、肯定的な面をクローズアップして書いている印象を受けました。(第6章 変わるアメリカ、オバマの登場)


    ○つっこみどころ
    ・著名な大統領については肯定的にしか書かれていないところに物足りなさを感じました。それなりに他の大統領よりページが割かれているものの、ネガティブな情報を避けて書いているのは岩波“ジュニア”新書であることの配慮でしょうか。

  •  初代ジョージ・ワシントンから第44代のオバマまで(2012年共和党でロムニーが指名されるまで)の政治史。歴代大統領の功績、あるいはできなかったこと、生い立ちなどを中心に紹介している。アメリカ史を6つの時代に分け、まず概観した後に、各大統領の説明へと入る。
     今年の夏、初めてワシントンD.C.、フィラデルフィア、ボストンという建国に関わる土地に行ったので、勉強のために飛行機の中で読んだ。と言っても、特に前半はおれ自身がよく歴史を分かっていないもあって、あまり面白くなかった。大学の時、たしか「アメリカ大統領制の歴史」みたいな授業が退屈で、結局単位落としたし、というのを思い出してしまった。それでも、この人は期待外れだった、とかこの人は頑張って支持を得た、みたいな話は分かりやすくて、後半は結構読めた。特に車いす姿を見せずにリーダーシップを遺憾なく発揮したルーズベルトという人はすごいと思ったし、また、大恐慌前の好景気の時代に、望めば次期大統領にも慣れたのに、あえて再出馬しなかったクーリッジという大統領については「二九年の株価大暴落による大恐慌への道を薄々感づいていたのではないか」(p.139)という見方もある、ということで、宝塚のスターじゃないけど、やっぱり頂点の時=引き際を考える時、ということだろうか。「それ(=経済崩壊)に気付いた人はほとんどいません。皆、繁栄に浮かれていたのです。これは、現在も通用する歴史の大きな教訓でしょう」(p.139)についてはその通りだと思った。あとはTricky Dick(狡猾なディック)と呼ばれたニクソンという大統領は、ウォーターゲート事件以前にも連邦上院議員の選挙で相手に「共産主義者のらく印を押し、ピンク色の紙に彼女の下院での投票記録を記して配るなど中傷戦術を展開」(p.191)するとか、結構ひどい人が大統領とかなるんだ、と思った。あとはマッカーサーを解任したトルーマンの「The buck stops here.(責任は私がここでとる)」という座右の銘をいつもホワイトハウスの机の上に置いていた、とかかっこいいと思った。(14/08/11)

  • 13/02/18 アメリカ史を学ぶにはすぐれもの。

  • 大国アメリカの歴史を、初代ワシントンから歴代大統領の足跡をたどりながらアメリカの歴史を解説した本。
    高校生の頃、政経の授業が面白くて政治に興味がわいたものの、新聞やTVなどでリアルタイムに「勉強」できるのは日本の決められない政治ばかり。歴史の授業で習ったリンカーン、ルーズベルトやトルーマンがいったい何をしたのかは大抵一言で片づけられ、その時代生まれてもいない私には遠い存在だった。ジュニア新書だし、ぱらっとめくって分かりやすいと思えたので読んでみたけど、アメリカの歴史を初めて知るには素晴らしい。ニューディール政策やウォーターゲート事件など、名前だけは知ってるものがきちんと説明されていて、でもかといってうだうだ長くもなく、分かりやすかったです。個人的には唯一4選されたフランクリン・ルーズベルトの話が印象に残りました。車いすの生活を国民に見せるのを嫌がったそうで、マスコミも報道しなかったおかげでその事実をほとんど知られることはなかったらしい。アメリカの歴史とは関係ないけど、当時はマスコミも下品に騒ぐだけのものじゃなかったのかと驚き。古き良き時代、というのをちょっと感じる。

  • 勉強になりました。

  • 312.53 ア 登録番号9505

  • 6つの時代に分けての章立てで、章の最初にかかれた概略で時代の全体像を学べ、また各個人に関する記載箇所では、大統領の「人柄」を感じされるエピソードが満載で、楽しく読めた一冊。

  • ウッドローウィルソンは母校のプリンストン大学の政治学者だった。幼少時代を南部で育ったから、黒人差別が身に沁みついていたから、連邦機関は黒人立ち入り禁止だったし、日本が国際連盟に提案した人種差別撤廃を拒否した。

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