英語に好かれるとっておきの方法――4技能を身につける (岩波ジュニア新書)
- 岩波書店 (2016年6月22日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784005008346
感想・レビュー・書評
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〇新書で「学校生活」を読む⑧
横山カズ『英語に好かれるとっておきの方法 4技能を身につける』
(岩波ジュニア新書、2019年)
・分 野:「学校生活」×「行事を読む」
・目 次:
序 文(安河内哲也)
プロローグ Prologue
1章 偏差値30からの挑戦―海外に留学しないで英語を学ぶ
2章 私の英語独習法―英語4技能を身につけるために
3章 4技能を身につけるための使える技法群と練習法
4章 24時間使いまわせる「ふだん着」の表現
おわりの前に―プロローグの答え
最後に―そしてみなさんの始まりに
・総 評
本書は、筆者独自の英語勉強法である「パワー音読(POD)」について紹介した本です。筆者は同時通訳者・翻訳者として活躍する一方で、英語講師としても人気を博している人物です。
英語の「4技能(聞く・話す・読む・書く)」をどのように習得するか――これは中高生だけでなく、多くの大人たちにとっても悩ましい問題です。著者自身も幼い頃から「通訳になりたい」という夢を持ちながら、学校での英語学習に挫折し、夢を諦めかけた過去を持っています。そんな著者が、いかにして独自の勉強法を編み出していったのか――この本を読んで面白いなと思った点を、以下の3点にまとめます。
【POINT①】キッカケは酒場の用心棒?
著者独自の勉強法が生まれたキッカケは、外国人が集まる酒場でのバウンサー(用心棒)のアルバイトでした。そこでは、お酒に酔ってトラブルを起こす大柄な外国人を止めることが仕事でした。著者は、ケンカに巻き込まれて何度も大ケガを負いながら、次第に「感情が昂っている時」は「使う言葉はシンプルなものだけに限られてくる」ことに気付きます。この経験を通じて、著者は「誰もがわかるような簡単な単語を使い、イントネーションやアクセントを強調する」ほうが「心の奥底から湧いてくる自分の感情を相手に伝えやすい」ことを発見し、そのための手段として“音読”の重要性を認識していくことになります。
【POINT②】英語学習では自分を「主人公」にする!
英語4技能を学ぶ上で、著者が最も大切だと思うのは「自分の情緒や感情を〈英語で「思う」力〉」だと言います。例えば、英語を読んだり聞いたりする際は、自分が関心を持っているテーマのものをテキストに選び、そこから「自分の心に響く表現」(=自分で言ってみたい/書いてみたい表現)を探してみたり、テーマに対する思いを「I wonder~(~かなあ)」で言う練習を続けてみたりすることで、本当に使うために必要な「言葉の宝さがし」を楽しみながら、自分自身の英語を作っていくことができます。英語習得においては、自分を主人公にして「心」(=感情・情熱)を中心に据えることが大事だと著者は指摘します。
【POINT③】英語は「興味と情緒」で学べ!
著者の唱える「パワー音読」は「感情」・「スピード」・「反復」・「集中」の4つの力(power)を利用して音読を行う勉強法です。その一部を紹介すると、テキストには「自分の感情にフィットする表現が含まれている文章」を選び、イントネーションやアクセントに注意しながら、それを強調したり、トーンやスピードを変えたりしながら、より強く「自分の感情」を表せるように読む練習を重ねていきます。著者は、この勉強法において重要なのは「興味と情緒」であり、興味があるからこそ自然に音読の回数が増え、英語が自動化していくとして、狙うべきは「考える英語」の先にある「考えない英語」であると指摘しています。
本書の勉強法を一言でまとめると「好きこそものの上手なれ」という言葉にまとめられるでしょう。単に与えられた文章(≒教科書・問題集の文章)を読む/聞くのではなく、自分の「興味と情緒」を惹く文章をテキストにすることで、より「(自分で)話してみたい/書いてみたい」という気持ちを持てるのだと思います。また、本書には“24時間使いまわせる「ふだん着」の表現”として、さまざまな英文が紹介されています。こうした表現をサラッと言えるようになると、より英語でのコミュニケーションも楽しくなるのではないでしょうか。最後に、私のお気に入りの表現を1つ紹介して終わりたいと思います。
There are so many inconsistencies that I don’t even know where to start.
(ツッコミ所が多すぎてどこから言えばいいかさえ分からない)
(1728字)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
830-Y
閲覧新書 -
音読と量の確保
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「大丈夫、大丈夫」と背中をずっと押してもらいました。
・英語を話すことは、伝えようとする物事の核となるイメージを持つこと。
・着地点が明確で、意図と行動が伝わればいい。
自分が話すときも、通訳するときも忘れないようにしたい。
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請求記号 S830.7-ジユ-834(新書)
資料番号 300558368
新潟医療福祉大学図書館 蔵書検索(OPAC)
https://library.nuhw.ac.jp/opac/opac_details/?reqCode=fromlist&lang=0&amode=11&bibid=1000095075&opkey=B158833863128001&start=1&totalnum=1&listnum=0&place=&list_disp=50&list_sort=0&cmode=0&chk_st=0&check=0 -
中高生向けの英語勉強法。友達を作るために英語を学んでいるのではない人には遠回りかと思う。
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どういった人をターゲットにしているのか、いまひとつわからない本です。
英語に対する思いは伝わってきますが、上手くなるための本ではないです。
幅広い読者を想定したのかなあとも思います。 -
著者は通訳者、翻訳家ですが経歴が面白く格闘技をバリバリにやっていて用心棒的な経験もあるとのこと。
そんな著者の若い頃のエピソードはなかなか面白かった。
この著者が言う英語上達法はとにかく音読ということでした。 -
思いが大切ってことですね。