- Amazon.co.jp ・本 (309ページ)
- / ISBN・EAN: 9784006000066
感想・レビュー・書評
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ドイツの歴史書の岩波新書で紹介されていた。ハーバーマスと聞いただけで難しいと感じていたが、そうではなく、思想や世界という雑誌に掲載されていたものを編集して集めたものである。ドイツの観光案内としてもとてもいい本である。
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ハーバーマスの政治論文集。歴史修正主義論争やドイツ統一を巡る、東ドイツを「吸収」するのか新しいドイツを作るのかといった時事ネタに反応したものなので、背景がよく分からないために理解できない所も多い。ドイツの政治家の個人名とかはなおさらだ(もちろん、訳者による適切な解説はついているが)。とはいえ、明確な考えに基づき、明確な立場をあくまでも展開するハーバーマスの議論は、必ずしもその見解に賛成するかはともかくとして、論点が何なのかについて非常に明確にしてくれる。
表題ともなっている近代(モデルネ)については、生活世界は認識、道徳、美が自然に絡み合って成立しているものであり、モデルネはそれぞれの独立をもたらしたという認識(p.33-40)はなるほどと納得した。歴史修正主義論争における過去を理解することと断罪することの違い(p.70)や、東ドイツにおいてシュタージに関わった者たちをどう扱うのかについての議論は、日本の議論状況にもとても参考になることだろう。靖国問題でいつも米中韓との関係の問題になってしまい、日本人としてそうした歴史をどう捉え、批判・反省するのかといった議論にたどり着かない日本には、ここでハーバーマスが言う過去の消化(Aufarbeitung)、むしろ反芻はまだまだと言える。
もう一つ感銘を受けた論点は、市民的不服従に関するもの。国家の法を侵すような市民的不服従はいかにして擁護されるのか。悪法もまた法なり、で片付く問題なのか。ハーバーマスは国家行為の合法性と正当性を区別している。国家行為が手続き的に合法であったとしても、それは正当であるとは限らない。この二つがわかれるところに市民的不服従の可能性がある(p.92f, 101)。法秩序の全体的な意味や存在が脅かされない限り、国家は市民的不服従を制裁しない道もあるのだ(p.96)と語っている。
議論はやや難しく、こうした政治哲学、歴史哲学をきちんと検討していないと細部をつかむのは難しい。ドイツ固有の問題に終わらせず、いかに自分や日本のものとして引き受けていくか。多くの論点を含んでいる。 -
【書誌情報】
著者:Jürgen Habermas(1929-)
編・訳者:三島憲一
定価:1,430円
通し番号:学術6
刊行日:2000/01/14
ISBN:9784006000066
版型:A6 並製 カバー
頁数:322
公共性と合理性の理念の実現が近代のプロジェクトである.ハーバーマスの立場を鮮明に示した表題の論考は,ポストモダン論争を巻き起こした.その他,歴史家論争に火をつけた論考をはじめ,統一後ドイツの問題から,ナショナリズム,生活世界の植民地化などをテーマにした論文を収録する.現代の代表的社会哲学者の社会論集
https://www.iwanami.co.jp/book/b255637.html -
貸し出し状況等、詳細情報の確認は下記URLへ
http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784006000066 -
(西)ドイツ人としての発言集。ハーバマスが、いかに時代とアクチュアルに向き合ってきたかがよく分かる。日本人でこういう人(学者?)いるだろうか。
私としての初ハーバマスですが、とても彼の真剣さを感じた。
表題作を始め、「核時代の市民的不服従」や東ドイツとの統一ドイツをめぐる視点は、コミュニケーションによる公共圏の確立を訴えた著者らしいとともに、どこか急進的な部分を感じる。 -
ハーバーマスのドイツ国内での冷戦が終了する当時に書かれた論文をまとめた本。うーん、内容覚えてないw感想としては、15日よりも前に読むべきだったな、と思う。論文の中の一つ、「一種の損害賠償」というやつが本当に重要なのだと思う。今度読みなおそう。
「テロルの時代と哲学の使命」において、メインの著者がハーバーマスとデリダの解説を書いているのだが、そのハーバーマス論を読んで、この本の論文の始めにある訳者による解説を読むことで、ハーバーマスという人が少しわかるかもしれない。
デリダにしろ、ハーバーマスにしろ、彼らは第二次世界大戦を若者として経験している。そんな彼らには、我々戦後生まれの論に対して大いに違和感を持つ(った)のだろうか。 -
ハーバマス入門
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「近代―未完のプロジェクト」・・・これを初めて読んだのは、もう10数年前になるかな。その時まだ本になってなかったです。専門誌に出てすぐに図書館で読みました。