- Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
- / ISBN・EAN: 9784006003012
作品紹介・あらすじ
産業革命以前、農村部に展開した手工業は人びとの社会行動や家族形成にどう影響し、どのような意味で近代の工業化を準備したのか。「プロト工業化論」(F.メンデルス)を検証し、大塚史学とも対比する。歴史人口学と経済史の成果を踏まえ、西欧と日本を比較しながら、経済史の新たな理論構築を試みるパイオニア的研究。
感想・レビュー・書評
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131221 中央図書館
「プロト工業化時代」とは、産業革命発生前夜の農村部における家内制手工業が発達した時代を指す言葉である。本書は、経済史学の分野の著作であるが、哲学・思想、歴史学、政治学から輸入される抽象的な言葉で論理演繹するものではない。経済人口学という「システム」モデリングのアプローチを用いることにより、データを用いた実証に耐える手法を採用している。モデルの同定・検証をフランドル地方や日本のケースで行うことにより、歴史の横軸である異なる地域の同時代比較までをカバーしている。
こういうシステムズアプローチで歴史発展を発火させるものが何かというのを考えるというのは、面白い。ただ想定モデルがアプリオリで基本変数は人口だけだとなると、パラメータのチューニングとデータの誤差のバランスからみて、どんな歴史的事実でも説明できてしまいそうな気がする。モデルの改良という発想は、データからはでてこない。 -
廃れた理論であっても、思索に影響ありとなれば、文庫本で復活なんですね。
学問の視点の置き方のような、姿勢のようなものは学びとれました。
わきみちですが、日本だけを見て「昔は結婚は早かったから」と言ってましたが、西洋では昔は婚姻が遅かったんですね。
普段の常識が間違っていたことに気付かされました。