- Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
- / ISBN・EAN: 9784006003678
感想・レビュー・書評
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「ホロコーストを可能にした男」と副題(訳者、小俣和一郎氏による)が付された、第二次世界大戦中のユダヤ人を中心とした、人類史上類例のない大量虐殺において、ナチドイツ親衛隊中佐として、主に絶滅収容所や各所の強制収容所へユダヤ人他を運輸省等との折衝で鉄道を主に用いて大量に輸送、結果はほぼ殺害を意味していることを知っていながら精力的に職務をこなしたアドルフ・アイヒマンのイスラエルにおける尋問調書の抜粋編集版である。
ここでアイヒマンは「上からの命令(は絶対)」であることを強調し、「自ら立てた1945年5月7日まで有効だった誓い」から逃れられなかったと弁解に終始しているかに見える。確かに、罪を認める(移送の責任者として行った)部分もあるが大部分は謙りながらも自らの罪に向き合おうとしない思考停止が散見され権威主義的国家と優生思想(似非科学)が融合した独裁国家におけるいち官吏の心理状態を読み取る上で極めて興味深い書物となっている。ルドルフ・ヘースの「アウシュヴィッツ所長」としての回想録との併読をぜひとも推奨したい。日本語で読めるようになったことに感謝せねばなるまい。良書かつ推薦図書入り。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ユダヤ人移送の責任者、アドルフ・アイヒマンの録音調書です。
取調官とのやり取りが淡々と続きますが、アイヒマンにはカリスマ性や狂気は無いように思えます。
仕事に対して熱心で実直であっただけなのかもしれません。
逆らえず命令に服従する他なかった、自分は殺害には関与せず移送業務以外は管轄外であるという彼の自己弁護は確かでしょうが、多々ある証拠が殺意の有無について追及します。
ユダヤ人問題の最終解決600万人という結果からして、彼の熱意に殺意が全く無かったとは私には思えません。