ねじ曲げられた桜 (下) 美意識と軍国主義 (岩波現代文庫 学術446)
- 岩波書店 (2022年3月15日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (372ページ)
- / ISBN・EAN: 9784006004460
作品紹介・あらすじ
日本の将来を担うべき多数の若者が、特攻機に搭乗して海の藻くずと消えていった――「桜が散るように」。為政者は桜の美しさを、ナショナリズム高揚と戦争遂行に利用したのだ。そのとき国家と国民のあいだに起こった「相互誤認」を、学徒特攻隊員の日記をきめ細かに分析して証明する。象徴人類学の見事な成果。[解説=佐藤卓己]
感想・レビュー・書評
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第三部では、日本兵は日本軍国主義に洗脳され天皇のために喜んで死んでいったと、特に海外では考えられていることについて、そのようなステレオタイプが正当なものなのかどうか、極限の状況に置かれた特攻隊員の生き方、考え方を、その遺された手記、手紙等を通して検討を進める。
(特に、個別に取り上げられた5人の特攻隊員は、旧制高校、帝大と進んだ当時のトップクラスの学生であり、その日記に残された読書の記録を見ると、戦争という異常な状況下ということはあるにせよ、驚嘆の念を抱かざるを得ない。)
これら特攻隊員の遺した膨大な遺稿を読んだ著者の結論的な感想としては、彼らはいずれも愛国心は持っていたが、人により濃淡はあるにせよ「天皇即国家への犠牲」というイデオロギーを信奉していたのではない、と見ている。
第四部がこれまでを踏まえたまとめ的な分析になる。ここでは、ナショナリズムと愛国心、「自然化」、「伝統の再製」、「メコネサンス」といった重要な分析概念の説明がなされる。(*途中)
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非常に参考になったが、しかし、近代の歴史を様々な視点から論じることの難しさも同様に感じた。
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桜をこの春見ながら、この感情、情緒は後天的な刷り込みかもしれないと思い読み始めたが、当時のエリート達の凄さに圧倒された。ただただ、田んぼ作業の開始の合図としての桜以上でした。
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東2法経図・6F開架:B1/8-1/446/K
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https://opac.hama-med.ac.jp/opac/volume/463339