- Amazon.co.jp ・本 (247ページ)
- / ISBN・EAN: 9784006020699
作品紹介・あらすじ
辞書さえあれば何とか読める-英文の読解についてそう考えていませんか。そんなあなたの英語力を、いざ診断。英語教育と翻訳のベテランである著者が、日本人のつまずきやすい弱点を見抜き、それを補強する能率的な学習方法を処方、英文快読への道を指南します。具体的なノウハウ満載の、英語再入門のための最良のテキスト。
感想・レビュー・書評
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小谷野敦氏推薦。氏は「大学院で行方先生の授業に出席して、初めて目から鱗が落ちるように英語の読み方が分かったのである。」(『評論家入門』138頁)
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お手軽な英語学習論とは真逆。丁寧でしっかりした英文解釈こそが理解を深めると、真っ向から説く。とっつきは悪いが、説得力は凄まじい。かなり突き放した論調だが、非常に興味深い。
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小谷野敦の「面白いほど詰め込める勉強法」の中で行方先生の訳読の話が出ていたので購入
確かに文学作品などはこういう読み方もあるのだろう。
ただ、淡々と事実のみを記載するビジネス書や技術書等(自分が読みたい本)はここまでこだわらなくてもという点はけっこうある。
そもそも論として、この本に記載されているレベルの英文ですら単語がわからず、読めない
著しい単語力不足を実感する
【なるほどな点】
・あるレベルに達するまでは丸暗記や反復練習はむろん避けられないと思う。(P9)
・英文和訳で5割の点数を取るということは、訳している本人には内容がよくわかっていないということである。(P23)
・聴解力を伸ばす方法
標準的な英語の会話、物語、劇などの録音されたテープとその原文のテキストを入手する。テープをとにかく何度も聞いて、全部書き取る。本当に最後の最後に、どうしても無理と判断したら、原文を見る。(P34-35)
・スピーキングの能力は英作文の能力と密接な関係にある。
・正確な英作文を書くためのヒント
標準的な平易な英文(ラフカディオ・ハーンの「雪女」など)を用意し、音読・翻訳し、翻訳した日本文を辞書を引きながらでいいので、英文に戻す。とことん考えたあと、原文と比較し、不備を直す。(P35-36)
文法事項などを分類した良い例文をよく勉強した上で丸暗記することである。(P36)
・読解力養成の方法
まず、読むのを楽しい作業とするため、自分の力と見合ったものを選んで、たくさん読む。オススメは「retold版」で、1ページにわからない単語が5文字以上ない程度のレベルのもの。(P37)
retold版を週に最低1冊は読んで欲しい。(P50)
比較的容易な英文の多読によって英語へのなれを育て、文法の知識や語彙を増やした上で、まめに辞書を引き、文脈を考慮しながら、しっかり文意を確かめる。(P62)
(読解・翻訳において)英語と日本語のようにこれだけ系統の異なる言語間の場合、訳文が多少とも説明的になるのは許されるように思う。(P113)
・語彙を増やそうといろいろな単語集を丸暗記する人がいるが、一般的には、文章の中で覚えるのでない限り、独立した単語、熟語は暗記してもすぐ忘れる。(P38) -
東大の名誉教授で「翻訳と英語教育のベテラン」(カバー袖)である著者が、正しい英文解釈のために有効な勉強法、実際の英文を読む際のポイント、なぜ誤訳が生じるか、良い訳とはどんな訳かを指南してくれる本。最後にはローレンツの訳本からの抜粋「ハイイロガンの春夏秋冬」、「水門で」という短編、ゲド戦記の著者による『イシ』という本の序文、サマセット・モームの「サミング・アップ」の抜粋という4つの長文が載っており、注釈・翻訳付きで読める。
特に第4章の「英文解釈から翻訳へ」という部分を読むと、結構自分の英語力が診断できるかもしれない。いくつかの「誤訳」が載っているが、まずそれが「誤訳」と見抜けるのかという問題があり、そしてなぜそのような誤訳が生じ、どうやったら防げるのかということについて考えることができる。正直、結構「この訳の何が悪いんだろう」と思ってしまい、解説を読んで、ああそうかと思うところばっかりだった。大学生の時からずっと思っているけど、ほんと正しい英文解釈というのはとても難しいし、圧倒的な英語の読書量を達成した人だけが達することができる領域だろうと思う。「英文法の基礎力もない訳者、勘を働かせる能力のない訳者が相当存在していると考えざるをえない。」(p.123)、そして「結論からいうと、日本では英語を専門とする人びとの中にも、真の英語力を持っていない者が少なくないという嘆かわしい事実を認めなくてはならない」(同)ということで、おれも教科書とか模試や入試の英文をひたすら読むくらいでは全然及ばないということをあらためて感じた。サマセット・モームなんか自分は読んだことがないので、行方先生の訳本を横に置いて、原文を楽しんでみたいと思った。最後の4つの長文については、そのモームを除いては、そこまでの章で扱われた英文よりは若干簡単だった気がして、高2くらいの生徒でもなんとか読めるかもしれない。特に「水門で」という短編の物語は、高校生が読むのにちょうど良い気がする。モームは優秀な高3生くらいと読むのが良いかもしれない。
英語について、言われてみて気づいたことは、まずI should thinkという表現。「I thinkをshould thinkとすると、断定を避け、控え目な表現になる。日本語なら『思うけどね』というような感じ。shoud have thoughtは過去になり『思ったんだけど』くらい。」(p.76)というのは、高校生くらいだったら普通に誤訳しそうだと思う。「初めに一回過去完了形を用いれば、そこから話が過去よりもっと前の大過去に及ぶという合図になり、その次の文からは過去形にすればよい」(p.81)というのは、あまり学校で教えない気がする。あと分詞構文でfollowing...と続けば、それは「大体afterと同じ意味の前置詞と取ってよい」(p.155)し、followed by...と続けば「次に~が続く」(p.159)というのは結構便利な知識だと思った。(19/07/07) -
いかに英語ができないか痛感した。
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分かりやすかった。長文読解に本の後半を費やしてあって、でもこれがなかなかに面白く、久しぶりに学生時代の教科書に触れた気分を経験。当時の自分ならどれくらい読めたのか、調べようがないんだけど、とても気になった。
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最後の長文の説明が欲しかったと思う。20161101再度、読んだが長文の部分をほとんど覚えていなかった。
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ある程度、自信をつけてから取り組まないと後半がきつい。
読み物としてなら楽しむだけならまだしも、この本を通して成長するには事前に相応のレベルが求められる。 -
私には、これっぱかしも歯がたちませんでした。