増補 幸田文対話(下)――人生・着物・樹木 (岩波現代文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784006022075

作品紹介・あらすじ

幸田文が、起伏に富んだ半生を踏まえての人生観や文学観、料理・台所仕事への愛着、和服、着ることへの徹底したこだわり、各地の樹木への関心、奈良の古塔再建のための尽力ぶりなどを、各界の第一線で活躍した名士を相手に語る。幸田文の人、自然、物事に対する深い思いやり、また生き生きとした興味の示し方、感動のし方、さらに機転の利いた話題えらびと、闊達流暢にして品格のある美しい日本語の魅力を味わう(青木玉「あの朝のこと」収録)。

感想・レビュー・書評

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  • 幸田露伴の娘で作家である幸田文と各界の著名人との対話を集めたものです。
    対話のお相手としては、志賀直哉、江戸川乱歩、木村伊兵衛、黒柳徹子、娘の青木玉、徳川夢声に美輪明宏など、興味深い面々が揃っていますが、しかし何よりも幸田文自身の話し言葉の良さを味わう一冊かもしれません。
    相手が誰だか、内容がなんだか分からなくても、話の調子に乗ってしまうのが、対話・対談の楽しみかたといったところでしょうか。

  • 幸田文の言葉選びがとても好きだ。
    美しい、品格が高い、と思う。
    その想いをたっぷりと味わえる対談集。

    内容も、対談相手によって
    思いがけない幸田文の一面も見られて
    ドキッとすることもあった。

    とりわけ、沢村貞子との対談は、
    気心知れた粋な女性のやりとりを
    聞かせてもらえたような愉しみがあった。

    幸田文の
    感情的なもののけじめに名残りがあって、
    けじめがつけにくいとき。
    たとえば、それを色に喩えて
    いやな色といやな色(つきの悪い色)を
    はぎあわせるときは、
    中に白を一つ、細い線で入れると、うまいけじめがつく。
    つまり、変な未練のあいだに空白をおく。
    という話。

    ぐじぐじと、いやな色をならべて
    あれこれ悩むよりも、さっと白色を
    置いてしまう。
    その潔さ。知恵の深さに、感銘した。

    そんな美しく、キリッとした話が
    折々に語られる対談集。
    日本語の、生き方の、たくさんの学びを得た。

  • 帯表
    話し言葉が次々に繰り出す日本語の凜としたした美しさ
    青木玉「あの朝のこと」収録

    本書は、一九九七年三月、『幸田文 対話』として、岩波書店より刊行された。文庫化に際し、新たに十一篇の対談を追加して、『増補 幸田文 対話』(上・下)とした。

  • 法輪寺の三重塔建立にまつわる話がおもしろい。
    建ってしまったあとには、逆に「業」が増す。
    朽ちないか、倒れないか・・・と心配の種が増すだけだという。
    浄財であったのかどうか・・・・。

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著者プロフィール

1904年東京向島生まれ。文豪幸田露伴の次女。女子学院卒。’28年結婚。10年間の結婚生活の後、娘玉を連れて離婚、幸田家に戻る。’47年父との思い出の記「雑記」「終焉」「葬送の記」を執筆。’56年『黒い裾』で読売文学賞、’57年『流れる』で日本藝術院賞、新潮社文学賞を受賞。他の作品に『おとうと』『闘』(女流文学賞)、没後刊行された『崩れ』『木』『台所のおと』(本書)『きもの』『季節のかたみ』等多数。1990年、86歳で逝去。


「2021年 『台所のおと 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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