日本人の経済観念 歴史に見る異端と普遍 (岩波現代文庫 社会174)

  • 岩波書店 (2008年11月14日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (330ページ) / ISBN・EAN: 9784006031749

みんなの感想まとめ

経済観念を通じて日本の歴史を深く掘り下げる本書は、一般的な経済史では触れられない視点を提供します。特に、江戸時代の商家や武家のガバナンスについての洞察は、現代の経済活動における規律や制度の背景を理解す...

感想・レビュー・書評

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  • 一般の経済史は、「経済観念」という切り口で歴史を整理していない。
    日本では当たり前だが、海外では珍しい事象の歴史的背景を知るには必読の文献。
    個人的には、江戸時代の商家の人事制度の疑問が解消した。厳しい選抜に負けた多くの人たちが、その後どうなったかが判明した。
    江戸時代の武家や商家に関しては、現在とは異なるガバナンスが働き、組織内の規律付けがあったことが理解でき、私にとって有益だった。

  • 2008(底本1999)年刊。著者は東京大学大学院経済学研究科経済学部教授。終身雇用、ワーカーホリック会社員と従業員代表的な経営陣、談合体質等々。日本の企業経営の特徴、他国との異質性はこれまでも喧伝されてきたが、そこに含まれる企業体としての普遍性と日本の特有性について、近世以降の、日常的な経済活動を支える制度、仕組み、理念、あるいは史実を手掛かりに、帰納法的に抽出・崛起しようとしたもの。ある種の理念から演繹的な、あるいは二項対立だけに依拠した分析は、どうにも取溢し感が拭えないので、本書の採る方法論は好み。
    ①紛争解決における互譲の意味、史的淵源、ウインウィンの解決を模索する有り方、②効率的な資源配分を可能にする市場は、史的に見て競争原理だけを機能原理としていたわけではなく、市場メカニズム≠競争促進(説明は本書参照)という点、③敗者が勝者と平等の立ち位置で復活戦に参加できるシステムが元来の米国式で、それがない日本の自由競争メカニズムは片手落ち、④現代日本の現場主義的技術革新は、近世以降の技術系製作者の職人気質・非拘束労働観に由来。⑤明治期の民間の「国益」概念は経済面の比重が大で、国権主義的国益論とは位相を異に
    等気づきの多い書ではあった。一方、談合等に親和的な叙述も多いが、その弊害(特に官製談合において、個人的には不透明性・爾後の検証困難、新規参入の困難と思う)への甘さは感じる(勿論、著者も問題点に気づいてはいる)。とはいえ、良い本の条件、つまり、先行研究や異説をきちんと引用し、それらの書籍への読書欲を駆り立てるという機能は十分満たしている。良書。PS.独禁法が自由経済制度のための規範であることを知らず、自分(殊に大企業)の行動を規制するものは全て規制立法だとして排斥しようとする件があるが、その身勝手さに辟易。

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著者プロフィール

武田 晴人(たけだ・はるひと):1949年生まれ。経済学博士。専攻は日本経済史。東京大学名誉教授。現在、公益財団法人三井文庫 常務理事・文庫長。近世から現代までの経済現象をさまざまな視角から研究している。主な著書に『日本産銅業史』(東京大学出版会)、『日本の歴史19 帝国主義と民本主義』(集英社)、『高度成長』(岩波新書)、『日本人の経済観念』(岩波現代文庫)、『日本経済史』(有斐閣)がある。

「2026年 『仕事と日本人 新版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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