日本人の経済観念―歴史に見る異端と普遍 (岩波現代文庫)

著者 : 武田晴人
  • 岩波書店 (2008年11月14日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (337ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784006031749

作品紹介

日本人は大昔から勤勉であるのか。日本的経営の源流とは何か。本書は江戸期から現代に至る二〇〇年を膨大な史料と文献を渉猟して読み解き、日本人の経済意識の歴史的変遷を解明する。単純な日本異質論に与することなく、その議論の意味を冷静かつ論理的に理解しながら、現代日本の社会システムを広い視野の下で位置づける。私たちの生活と労働の場の立脚点を認識する上で不可欠な一冊。

日本人の経済観念―歴史に見る異端と普遍 (岩波現代文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 2008(底本1999)年刊。著者は東京大学大学院経済学研究科経済学部教授。終身雇用、ワーカーホリック会社員と従業員代表的な経営陣、談合体質等々。日本の企業経営の特徴、他国との異質性はこれまでも喧伝されてきたが、そこに含まれる企業体としての普遍性と日本の特有性について、近世以降の、日常的な経済活動を支える制度、仕組み、理念、あるいは史実を手掛かりに、帰納法的に抽出・崛起しようとしたもの。ある種の理念から演繹的な、あるいは二項対立だけに依拠した分析は、どうにも取溢し感が拭えないので、本書の採る方法論は好み。
    ①紛争解決における互譲の意味、史的淵源、ウインウィンの解決を模索する有り方、②効率的な資源配分を可能にする市場は、史的に見て競争原理だけを機能原理としていたわけではなく、市場メカニズム≠競争促進(説明は本書参照)という点、③敗者が勝者と平等の立ち位置で復活戦に参加できるシステムが元来の米国式で、それがない日本の自由競争メカニズムは片手落ち、④現代日本の現場主義的技術革新は、近世以降の技術系製作者の職人気質・非拘束労働観に由来。⑤明治期の民間の「国益」概念は経済面の比重が大で、国権主義的国益論とは位相を異に
    等気づきの多い書ではあった。一方、談合等に親和的な叙述も多いが、その弊害(特に官製談合において、個人的には不透明性・爾後の検証困難、新規参入の困難と思う)への甘さは感じる(勿論、著者も問題点に気づいてはいる)。とはいえ、良い本の条件、つまり、先行研究や異説をきちんと引用し、それらの書籍への読書欲を駆り立てるという機能は十分満たしている。良書。PS.独禁法が自由経済制度のための規範であることを知らず、自分(殊に大企業)の行動を規制するものは全て規制立法だとして排斥しようとする件があるが、その身勝手さに辟易。

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