スクールカウンセラーの仕事 (岩波アクティブ新書 32)

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  • Amazon.co.jp ・本 (165ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784007000324

作品紹介・あらすじ

学校にカウンセラーが導入されたわけ。スクールカウンセラーの仕事-五つの柱。思春期の子どもたちとどうつきあうか。不登校に取り組む。戸惑う教師とカウンセラーのサポート。今、子どもたちに必要なものは。

感想・レビュー・書評

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  • カウンセラーになるために臨床心理士の資格を取ろうとする若者が増えている。その背景にはスクールカウンセラーの必要性が認識されるようになり、配置校が過去6年間に20倍にもなっているという事実があるのだろう。本書ではスクールカウンセラーの仕事を紹介すると同時に、現代社会で子どもがかかえる問題について触れられている。私が、20年も前のことではあるが、アメリカの高校に1年間在籍したときにも、カウンセラーと呼ばれる人はいた。しかしその人の役割は、アラカルト方式でどの教科をどう選択していけばよいかまったく分からない私にアドバイスをするというものだった。異国の地で1人思い悩んだときに相談するという相手ではなかった。現在、言われているスクールカウンセラーにはどのような仕事があるのだろう。もちろん、その学校で問題をかかえた子どもたちの話を聴くということがまずあげられるだろう。ただここでふつうのカウンセリングと学校におけるそれとの違いが出てくる。それは、話の内容をどこまで秘密にするかだ。学校ではそれぞれの生徒に担任の先生がいる。その先生との協力体制がなくて、カウンセラーだけで何もかもうまくいくはずがない。だけれども、子どもたちは先生ではないから話すということもあるだろう。もし、自分の話が担任に筒抜けだということを知ったら、その子どもはもうカウンセラーのもとには来なくなるだろう。そこでスクールカウンセラーは非常に悩むことになる・・・らしい。他には、不登校の生徒に対する対処、保護者への対応、さらには教師のサポート。このような仕事があげられる。特に最近は、30年も教師を務めてきたような人が、学級運営がうまくいかず、クラスが崩壊し、自分自身精神的苦痛に耐えられなくなることが多いようだ。これは、いわゆる私立のトップ校でも、学年・クラスによっては同じようなことが起こっているそうだ。そこに現代社会の問題を見つけることが出きる。貧しい時代を通り過ぎ、今ではものがあふれ、便利なことが最も優先される世の中になった。子どもに我慢を強いる必要がなくなっている。ダメなことをダメとはっきり言う存在がいなくなっている。そんな中で子どもたちは何を規範として生きていけばよいのかが分からなくなっているのではないか。はっきり善悪を伝えることのできる父親的役割が、家庭、社会に求められているのだろう。

  •  すぐ読み終わったのだけれども、もしかして一度読んだことあるのかも…?
     SC関連の記事でよく見る著者名であったため読んだ本。先生との協働の話や不登校の話、外部であり内部であるSCの話など詳しく書いてありよくまとまっていると思った。2002年出版ということは、公立中学校にSCを配置する事業が始まってすぐに書かれた本だということであるが、今でも重要とされるポイントが示されている。
     その一方で、SCが普及してきた今では、変化している点もあるのだろうと考えられる。そのため、最近書かれたSCに関する本も読まなきゃいけないと思った。

  • 少し発行年は古いですが、スクールカウンセラーという仕事を知るために、入門書として適切です。

  • 私がスクールカウンセラーを始めた当初、子どもたちとどのように向き合うか悩んでいた時に出会った良書である。スクールカウンセラーに求められるものは何か・・・ということを教えてもらった1冊である。

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著者プロフィール

大学で国文学を学んだ後、女子高校の教諭として 6 年間勤める。その後、大学院に戻り、青年心理学・臨床心理学の研究と実践の世界に入る。現在、奈良女子大学で臨床心理学を教えるかたわら、中学・高校でのスクールカウンセラーとしても活動している。著書に『思春期の心さがしと学びの現場』(北樹出版)、監修書に『わたしも Happy みんなも Happy【ハピかわ】こころのルール』(池田書店)など多数。

「2023年 『10歳からの学校では教えてくれない 感情とこころ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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