恐るべき旅路 新版: 火星探査機「のぞみ」のたどった12年

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  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (438ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022138095

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  • のぞみの運用記録。
    何年かかってでも本気でのぞみを火星に届けようとしていたことが伝わってくる。

  •  1996年に打上げが予定されていた火星探査機「のぞみ」。
     ロケットの開発遅延で打上げは2年延期され、さらに打上げ後の軌道変更時のトラブルで火星到着は5年先延ばし。そして予定外の長期間飛行中の機器故障で、火星には到達したものの、2003年12月に火星周回軌道への投入断念。

     ギリギリの設計を強いられる中で内包していたトラブルの芽。そして度重なる不具合の発生と、火星到達を目指して最後の最後まで戦い続ける運用者たち。
     探査機の設計・開発から運用終了に至るまでの12年。日本で惑星探査が語られ始めた1970年にさかのぼれば30年近く。関係者へのインタビューを丁寧に重ね、失敗に至る過程をつぶさに解き明かすことで、日本の宇宙開発の歴史と課題、そして予算も時間も限られた中で奮闘する科学者と技術者の有り様を描きだします。
     当初の想定を超えて「のぞみ」を火星に届かせる関係者の努力は涙なくして読めません。一言で語られる「失敗」の意味を改めて考えさせられます。

     願わくば、この経験が、次代次々代の惑星探査に活かされることを。実際「のぞみ」で培った経験が、これまた山のようなトラブルを乗り越えて地球へ帰還する「はやぶさ」に活かされているのですが、それはまた別の話。
     とにかく読んでほしい良書です。

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著者プロフィール

ノンフィクション作家/科学技術ジャーナリスト宇宙作家クラブ会員。1962年東京都出身。慶應義塾大学理工学部機械工学科卒、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。日経BP社記者として、1988年~1992年に宇宙開発の取材に従事。その他メカニカル・エンジニアリング、パソコン、通信・放送分野などの取材経験を経た後、独立。宇宙開発、コンピューター・通信、交通論などの分野で取材・執筆活動を行っている。

「2022年 『母さん、ごめん。2 ― 50代独身男の介護奮闘記 グループホーム編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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