悲しむ力 2000人の死を見た僧侶が伝える30の言葉

著者 :
  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022508805

作品紹介・あらすじ

ホスピス・震災・孤立死・自殺…それでも人生を肯定する。希望の物語。

感想・レビュー・書評

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  • 「明日ありと、想うこころの、仇桜、夜半に嵐の、吹かぬものかは」死んで行く人の様々な姿が赤裸々に書かれており、話が具体的。311での被災者との交流も、美談だけでなく苦悩や負の面を書いている点にも好感が持てるし、話に説得力がある。人間は色々だなとあらためて思い知らされる。でも結局、最後は皆死ぬんだけど。しかもある日・突然に。

  • 東京のカトリック・イグナチオ教会で開かれた「宗教者の使命~自死の問題をめぐって」という宗教間対話のシンポジウムで、真宗大谷派からひとりの中下さんという僧侶が対談をしており、その時に購入したものです。
    私が、未遂経験者であることを伝えると、あたたかいまなざしで握手をしてくれ、本書に「一期一会」というサインをしてくれました。

    本当に、涙なしでページがめくれない本でした。
    仏教では、「悲しみ」のこころをとても大切にしている。
    お釈迦様は悲しんでばかりいた人でした。
    親鸞さんも、自分の弱さを嘆いた人だったということを聞いて、私も心が楽になったのか、本を読みながら涙がこぼれてきたのを覚えています。

    いやいや仕事をしていた中下さんのことを知っていた、最期を迎えようとする人が、最期に小さな声でささやいた「人の痛みの分かる人になってね」という言葉は、本当に心に残るものでした。

    中下さんも、親に「産まなければよかった」と言われ、また親戚の自殺を目の当たりにして、「悲しむ力」を持った人。

    「いのち」「死」について深く、ゆっくりと考えさせられる一冊です。


    僕も、この本を受けて一篇の詩(?)を書きました。
    「悲しむ心を持った人の目は どこかやさしい。」

  • 人間の心の推移をしっかり見つめて、お話を聴いて行くことが必要ということが理解できる。時には親鸞聖人やマザー・テレサの言葉などを引用しつつ、しかしあまり宗教色は感じられず読むことができる。筆者自身の経験があまり美化せずに現実に即して書かれていることに好感が持てた。

  • 著者は僧侶ではあるが、特に宗教色は感じなかった。
    お釈迦様や親鸞の言葉が出てくるが、マザーテレサの言葉も引用されている。
    ホスピスでの仕事や震災地でのボランティアを通じて多くの死を見てきた著者が、心に響くエピソードを、心静かに紹介する。
    旅立つ人、残された人達の悲しみに寄り添い、そっと見守る著者の優しさに心が震えます。

    図書館で予約待ちだったこの本が、今、私の手元に来たということに、何か特別なタイミングを感じずにいられない。
    あまりにも感じすぎて、まともな感想はかけないけど。
    すべての方に強くお勧めしたい1冊です。

  • 前書き/後書きからのメモ
    * 慈悲
     * 悲しみから慈しみが生まれる
    * 悲しむ力は人を強くやさしくする
    * 悲しむとは「見つめる」こと。悲しみの力を借りる事で自分のやるべきことを知り、本当の意味での生きる力を得ることができる
    * 悲しみからできるだけ見ないようにする中で、「縁」を磨いたり、つないだり、育んだりする方法を忘れてはいないか?

  • チェック項目32箇所。お釈迦様の悩み・・・人間として生まれてきた苦しみ。仏教では「悲しみ」の心を大切にしている・・・慈悲・・・悲しみから慈しみが生まれる。悲しみから目をそらさずに受け止めることができた方ほど穏やかな気持ちになれる。生まれてこなければ良かった・・・愛されたい、必要とされたい。思い通りにならないことを思い通りにしようとするから苦しみが生まれる。すべてをあるがまま受け入れる。一切皆苦・・・人生は苦しくて当たり前。「死にたい」・・・自分のことをわかってほしい。自分の行いを認めるのは勇気がいる。死から目をそらさない・・・親が子にする最後の仕事は死に様を見せること。明日はどうなるかわからない。今が大事、今を大切に生きる。マザー・テレサ、自分の家族の外で人々にほほえむのはたやすいこと。あまり知らない人を世話するのはとてもかんたんなこと。家の中で毎日会っている家族を思いやりをもって、やさしく、ほほえみを忘れずに愛し続けることはとても難しいこと。悲しみ比べに意味はない。孤立死を防ぐ。他人に迷惑をかけたくない・・・助けてと頭を下げたくない、人に弱みを見せたくない。プライド。死んで迷惑をかけるなら生きているうちに助けを求めた方がずっといい。孤立死は高齢者だけでなく若者もある。辛いときはお互い様。男子学生のほうが弱みを見せられない。女性は話す傾向高い。すべての死は平等・・・・お釈迦様。人は衣食住を確保しても生きていけない。気楽に相談できる仲間がいて初めて生きることを肯定できる。被災地ではなく生まれ故郷。「祈る」ことで自分自身を見つめ、他者の痛みを感じることができるようになる。人の為・・・偽り。お布施をする・・・執着を断つ・・・「捨てる」こと。生きる意味を考える。

  • 【新刊情報】悲しむ力 2000人の死を見た僧侶が伝える30の言葉 http://booklog.jp/asin/4022508809 188.7/ナ 静かにゆっくり悲しむことで、やさしくなれ、生きる力がわいてくる-死の現場を数多く見てきた僧侶が伝える上手に悲しむためのヒント

  • 子供の時、感受性の強かった僕はそれを素直に受け止めることが出来なくて、できるだけ能面を装うようにしていたように記憶する。でも、心はいつもヒリヒリしていた。大人になってからもそんな一面は残っていて、感情を制御するためにいろいろなものを切り捨ててきたような気がする。

    切り捨ててきたものとはなんであったか。それは、悲しみであったり、寄り添う気持ちであったり、祈りであったり、抱きしめる行為であったり、お詫びする心であったり、そのようなものであったということが、この本を読んで思うことができる。

    著者はまだお若いお坊さんであるが、ホスピス勤務そして東北の大震災で多くの方の死を看取られ、悲しみや苦しみに寄り添ってこられた方である。決して強い人ではなく、ご自分の心を引き裂きながらも、悟りを開こうと努力されている方のように思える。

    本書の様々なエピソードは、著者の中下大樹さんの心の弱さもさらけ出しながら、人に寄り添い繋がって生きていくことの大切さが謙虚に描かれている。そう、被災地の方には、遠くの安全な場所から「がんばれ」ではなく、一緒に悲しむことが大切だと。

  • 悲しいんでいる人を前に、人は「早く元気になって」「頑張って」
    と声をかけがちだ。
    この本は、「はやく悲しさから抜け出し、元気になれ」と
    強要される風潮からの違和感から出発し、
    「悲しいとき、まっすぐ悲しさを受け止める」ことの重要さを
    説いている。このテーマは非常にすばらしい。
    また著者が触れ合った人の体験談を通じ、
    著者の主張の全体像を伝えようとする編集も秀逸。

    ただし、各論では、若干著者の思想や主張がわかりづらい。
    たとえば著者は、死を前にした方への苦々しい思いを
    その当人に指摘される。
    そして著者は自己肯定されたと感謝して涙を流したとある。
    なぜ感謝? 反省ではないのか?
    このあたりの心情の経緯がはっきりと描かれていない。
    また、そこかしこに見られる自己アピールにより、
    著者の人間的な未熟さが浮き彫りになって見える。
    (もちろん著者の経験自体、すさまじいとは思うのだけれど)

    しかしそれを差し引いても、テーマと本の作りは良いので、
    単なる仏教本、自己啓発本とは一線を画した
    読む価値のある本だと感じた。

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