- Amazon.co.jp ・本 (292ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022509505
作品紹介・あらすじ
罪がない、とおっしゃるのですか-死者と生者が語り合う禁忌に魅入られた男が見たものとは…。至高の恋愛小説であり、第一級の戦争文学であり、極めつきの現代怪異譚。
感想・レビュー・書評
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戦後に生まれ、東京の裕福な家庭に育った男性が、ひょんなことから降霊会に誘われ、過去と向き合う話。降霊会というと突拍子もないように思えるけれど、終戦から高度成長期までの時代のリアルな空気、当時の東京で裕福に育った若者達の在り様など、読み応えがあった。
個人的に、終わり方がいまいちしっくりこないような気がして残念だった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
人は知らず知らずに傷つけ傷ついて、大人になっていきます。臆病だったり、面倒だったり、ほんしんを素直にあらわせなくて思いもよらぬ方向に人生が曲がってしまうことも多々あります。その時のあいまいな態度が今の自分に繋がっていると思うと、もっと考えるべきだったとか、意地をはらずに優しくしてあげればよかったとか後悔しきりです。でもそんなことは過ぎてみないとわからないものです。でも、今更と思わず、あの時のことを謝りたいとか、お礼をいいたいとか思って、そんな機会があったら、迷わず口にだしてみたいと思いました。やり直しはできないけれど、今できることはやったほうがいいにきまっています。
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さして主人公に非は感じないけど、人は知らないうちに傷つけて生きていくんだな、って思った作品。
でも、結局主人公にとってなんのための降霊だったのかよくわからん。 -
人助けのお礼にと、即席の降霊会に招かれた主人公。これまでの人生の悔悟として思い出したのは、戦後間もない小学生時代の友人「清」と、学生闘争真っ只中に出会った恋人「百合子」。2つのエピソードが描かれています。
戦後日本とか、学生闘争は、浅田作品にも度々でてくる舞台設定。テイストも『沙高樓綺譚』や『霧笛荘夜話』のような感じで少しマンネリかな、と思って読み始めましたが、なんのなんの。
その時代の背景がしっかり描写されているので、その時代を生きていない自分でも、容易にシーンがイメージできるし、なぜそのような悲劇が生まれるのか、読者それぞれの答えを考えさせてくれるところはさすがでした。
それにしても梓とジョーンズさん達は、一体なんだったのか。ものすごく気になる。 -
なんかメトロとかぶったなあ。戦争の悪い時代から急速に復興した時代×不思議な力でのありえない出会い というmix感が。最後にもうひとひねり、不思議が待ってたしね。でもなんか、どこかで見たような。。というかんじが拭えないまま本を閉じた、そんな読後感。山野井清と小田桐百合子。それぞれ、主人公である「ゆうちゃん」に悔悟(←このコトバあまり使われないのにキーワードとして出てきたのがなんか一番印象に残ったかも)の念を残していたふたつの思い出を、霊の口寄せで振り返り、滞って固まりかけた思いを解くというような内容。私ならだれを呼ぶかなあ。もういちど話してみたいひとはいくらもいるけど、でも、やっぱ怖いかな。まあなんにせよ浅田さんらしい1冊。家族、恋愛、社会、霊魂、いろんな角度の切り口がとれるから、夏の読書感想文なんかも、書きやすい1冊かも。
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キヨが不憫だな
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すばらしい作品だった。
主人公の幼き時代に訳ありの友達をもち、一線をひいて付き合った。老いたのち、霊となった友人と再会する。なんともいえない切なさがたまらない。恨みはなく、さわやかに別れた。
また、主人公は、19歳のころに愛した清純な女性を、その時、振ってしまったことを、長年後悔してきた。一方、自分を愛していた女性には気づかずにいた。自殺してしまった好いてくれていた女性が霊となって現れ、一言さよならを言ってほしかったと激白した。しかし主人公は最後まで言わなかった。心の葛藤、人間模様の描き方が絶妙であり、読ませる。 -
あまり後味のいいお話ではなかった。