工作名カサンドラ

著者 :
  • 朝日新聞出版
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本棚登録 : 74
感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022512833

作品紹介・あらすじ

【文学/日本文学小説】奥多摩山中で両耳と鼻を削ぎ落とされた男性が発見された。青梅西署の刑事・荻大二郎は事件を追う。やがて、ある「機密文書」をめぐり、政治家、スパイ、狙撃手が生死を賭けた攻防へと発展していく。ベストセラー『沈底魚』の著者による書き下ろし大作!!

感想・レビュー・書評

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  • 奥多摩で起きた事故車から瀕死の男性が発生され、青梅西署の刑事・荻は事件の捜査にあたる。一方、濡れ衣で自衛隊を追われることになった佐々岡は、ある男からの依頼を受け政治団体へスパイとして潜り込む。女性首相が狙撃され、2人のストーリーが交錯するとき・・・
    尖閣問題や自衛隊、政権交代など、壮大なスケールではあるが、風呂敷を広げすぎた感も。荻と嘉子、娘との掛け合いは面白かったので、ラストは少々残念。

  • 自衛隊員の佐々岡啓志は射撃の才能を発揮していたが,トラブルで除隊に追い込まれる.荻大治郎は佐川嘉子とコンピを組んで,妙な交通事故の捜査を開始する.酷い傷を負った男性が車のトランクから発見される.啓志に三枝が接触してきてスパイ活動を勧誘される.尖閣諸島が中国に実効支配されているという想定で,タカ派の女性首相が強硬策を打ち出し,支持を得てきているという背景は楽しめた.首相が狙撃され,啓志が身代わり犯人にされている状況から何とか逃れる流れだが,最後はややあっけない感じだった.

  • この話、面白くなりそう・・・と期待して読んでいたのに思ったのと違う方向に途中からいってしまって残念。

    この話はむごい拷問シーンから始まる。
    その後に二人の主人公による二つのストーリーが進行。
    一つは冒頭の拷問シーンにより瀕死状態で見つかった男性の事件を追う刑事の話。
    もうひとつは些細な事がきっかけで職を失う事となった元自衛官の話。
    彼は中々思うようにならない求職中に復職の話をもちかけられる。
    それは反政府派の動向を探る、いわゆるスパイの仕事をする事が引き換えの話で、そのためには知人を欺かないといけない。
    しかし、一流のスナイパーの腕をもつ彼はどうしてもその技術を生かせる職場-自衛隊への復職の魅力を捨てきれずその仕事を請け負う事になる。
    そのため、ある企業にもぐりこみ動く中、知人男性にその事を知られてしまい、結局二重スパイの道を歩む事となる。

    冒頭にむごい拷問シーンから始まり、主人公の一人がスパイなどというヒヤヒヤする仕事をする事になった訳で先行きに嫌~な予感を抱きつつ読んでいました。
    多分、彼が引き受けた仕事が拷問シーンにつながっているんだろう、どんな組織だから分からないけど、かなりヤバい・・・。
    所が、その辺りははずれてないまでも途中から話の方向性が変わってしまい、個人レベルの話から急に大きな国家レベルの話になったのでピンとこない話になってしまいました。
    その辺の序盤のドキドキ感が後半に生かされないストーリーというか・・・。

    一人一人の登場人物がちゃんと描けていて、主人公の一人である刑事などは性格や容貌がはっきり目に映像として出てくるほど。
    だから心情も伝わって来るというのに、その登場人物たちが全然生かされてないという感。
    尖閣諸島がどうの、反政府派がどうの、そんな話がいきなり出てもピンとこないし、このボリュームにその大きな話を書くのには無理があったのでは?と思う。
    どうしても後半はおざなりになってしまった感じで主人公たちがその事件にガッチリ絡んでる感じがないのが残念でした。

  • 奥多摩山中で両耳と鼻を削ぎ落とされた男性が発見された。
    青梅西署の刑事・荻大二郎は事件を追う。
    やがて、ある「機密文書」をめぐり、
    政治家、スパイ、狙撃手が生死を賭けた攻防へと発展していく。
    コバルト、原子番号27。防衛大27期が中心。女性首相の尖閣諸島に強行手段を中止させるために暗殺。アメリカ人スナイパーが狙撃。自衛隊をやめさせられた男が暗殺犯にさせられた。仕事を紹介してくれた元自衛隊上官もグルだった
    刑事はコバルトを監視する自衛隊のメンバーの女を特定
    リンチをうけた男はコバルト潜入スパイだった。盗聴器をしかけ、カサンドラ計画の会話を入手。刑事に会話の録音をたくす。刑事は暗殺実行部隊のアジトでマックカケイを待つ
    暗殺犯にさせられた男は拉致されアジトにいた。刑事とマックカケイのカーチェイス。銃撃戦となり、実行犯は自暴。
    刑事も殉職。カサンドラ計画の上層部は闇の中。
    暗殺された女性首相は総裁戦を勝たせてくれた男達の意向を無視して暴走。次の首相も、傀儡。

  • 曽根圭介作品は、「殺し屋ドットコム」「藁にもすがる獣たち」に続き3作目、
    えっ?とか、ほぅ!とか、そうなんだ~!、
    と楽しくは読めるのですが、大きな山はなく、もうチョット刺激が欲しかった~!
    というのは贅沢でしょうか?

  • 奥多摩山中で両耳と鼻を削ぎ落された男が発見され、刑事・荻大治郎は事件を追う。だが事態は、ある「極秘文書」の行方とからみ、日本の政治家やスパイ、ホワイトハウス、元自衛隊の狙撃手までを巻き込んでいき…。

    尖閣問題や自衛隊、政権交代など現実の要素を盛り込んで骨太なサスペンスだった。手に汗握るとまでは行かなかったが、終盤に明かされる物語の意外な仕組みなど、最後まで十分に楽しませてもらった。
    (B)

  • 壮大な構成の謀略ミステリ。個人的にこういう謀略物はあまり得意じゃないのだけれど、スリリングな展開でわりとあっさり読めました。
    政治的なあれやこれやなどいわゆる「固い」話が多いのだけれど、その裏での陰謀などが見え隠れするのにははらはら。特に否応なしに巻き込まれてしまうあの人の命運にもはらはら。日本はこういうのが少ない印象もあったのだけれど、そうとは限らないんだなあ。
    しかしラスト、ああなっちゃうとは思わなくって若干ショック。でもしんみりとした読後感は、悪いものではありませんでした。

  • 久々の曽根圭介。『殺し屋ドットコム』風のブラックの効いた作風を予想していたが、思いっきりストレートなハードボイルド。なかなかの出来でした。

  • まあまあ

  • 冒頭の凄惨なシーンからスリリングな展開が続くし、陰謀に巻き込まれる元自衛官の狙撃手とか、シングルファーザーの刑事さんとか、主人公側のキャラは魅力的に映ったのだけれど、、、正直者が馬鹿を見るような理不尽なストーリー展開が自分の好みに合わず、読み進めるのに苦労した。結局、国民の前では完全な真相を明かさず、適当なところで手を打って終わらせる結末の仕方は、政治権力の裏側においてはある意味リアルなのかもしれないけど、不快感が残る。
    いつも参考にしている書評ブログさんでの評価が良かったので読んでみたものの、この作家さんの作品はやっぱり私に合わなかった。

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著者プロフィール

1967年、静岡県生まれ。早稲田大学商学部中退。漫画喫茶の店長などを経て執筆活動を開始。2007年「鼻」で日本ホラー小説大賞短編賞、同年『沈底魚』で江戸川乱歩賞を受賞。09年「熱帯夜」で日本推理作家協会賞短編部門を受賞。2011年『藁にもすがる獣たち』で第2回山田風太郎賞の最終候補作となる。トリックの効いた異色の作風で注目されている。

「2017年 『暗殺競売』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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