13歳、「私」をなくした私

著者 :
  • 朝日新聞出版
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本棚登録 : 180
感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022514530

作品紹介・あらすじ

私がなくしてしまったのは、自分自身だった。空が美しいと思えたり、季節の移り変わりを感じたり、好きな人に胸をときめかせる時間の代わりに私が得たのは、何を見ても無感覚で空っぽな感情、男性というだけで恐怖心がわき上がってくる心、自分が生きているかも死んでいるのかもわからない凍りついた感覚だった。アルコール依存、強迫症状、制御できない性行動…"あの日"から今日まで、私に起きたことのすべて。

感想・レビュー・書評

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  • 1 is too many.

  • 学ぶことがたくさんある本だった。でもこの知識を保持し続けること、現実に活かすことは難しいだろうから、これから当事者のことを知らず知らずのうちに不快にさせてしまうのかもしれない。でもそれは避けたい。だから学び続けなくちゃいけない。
    どれほど苦しくても当事者以外には表層的な理解しかできなくて、あの時に死んでしまっていればという(今でもそう思っているという)人に対して、わたしはあなたが存在していることが嬉しいし、あなたが何に怒っているのか知りたくても、自分の認識の甘さがその人に怖い思いをさせてしまっているし、私はその人の存在を背負えない。圧倒的に無力
    その人が言った「復讐は当人がする」ように、結局は一人で戦わなくちゃいけないから、私はその人の補給兵になりたい

  • 母親への怒り、夫への苛立ち、性的な逸脱行動(その時には必要なものだったにせよ)…当事者でなければわかりえない部分が描写されている。
    自分の中でも合点がいく部分が多数。

  • わたしたちは日々、金継ぎをしているのだな、と思いました。割れた器を元に戻すのではなく、より味わい深く美しいものにしていくのですね。

  • Kindle

  • gacco「法心理・司法臨床:法学と心理学の学融」Week4講義4「時効と法心理(2)」参考文献
    https://lms.gacco.org/courses/course-v1:gacco+ga100+2018_03/about

  • 子どもの頃に性暴力を受けた著者が、ご自身の身に何が起こったか、支援者として活動する現在に至るまでの間に何を学び、何に気付いてきたかを伝えてくださっている一冊です。

    主観だけではなく、客観だけでもない。
    読んでいると痛みを感じるし、感情も揺さぶられるけれど、科学的な視点や回復のためのヒントも紹介されているので、最終的にはちゃんと、しっかりとした地面の上に戻ってこれる、そんな本でした。

    知らないことは気付けないので、すべての対人援助職の方に一度は読んでもらいたい本だと思いました。

  • 他人の行為の断片だけ取ったら、なんてひどいと思うような人もいるけど、他人の心の中はわからないもの。犯罪被害者の心の傷があとの人生にこんなにも重く大きく影響を及ぼすとは予想以上だった。読むほどに辛かった。著者は長い間よく耐えたものだ。そしてよくこれを書いたものだとその勇気に感心する。日本の心療内科やカウンセリング技術のレベルはまだまだ未熟なのかしら。今でもどこかに誰にも言えず苦しんでいる人がいるはず。その苦しみも十人十色だろう

  • ※同じように性的虐待、児童虐待に苦しんでいる方達が何かを感じ取り、傷を癒やすキッカケになればと思う

    途中でほんの少し腹が立った。それは同じ被害者を救いたいと活動する最中も続いたであろう母親に対する怒りと冷たい態度です。
    母親は「気付けなかった=助けられなかった」ので、母親に対する怒りはとても自然な感情だと思います。しかし母親は幼少期から著者をとても大事にしていますし、想ってることが文を読んでる限り伝わって来ます。それでも気付けなかったのだから「違うだろ!嘘を付くな!」と言われれば何も言えなくなるのですが、、。
    著者が初めて告白した時の母親の絶望と娘に対する謝罪の気持ち、娘の苦しみを理解できなかった自分への怒りは相当な感情だと思います。
    著者も被害に遭われてる時に母親に伝えられなかったこと、家族という空気に支配され、それを壊すことを恐れたこと、振り返って初めて気付き自分に怒り、また母親に怒りをぶつけることがあったと思います。
    過去に戻ったとしても、どんなに勇気があっても、自分から母親に被害を訴えることはやはり難しかったような気がします。
    どこに向けて良いかも分からない感情が30代になっても常に母親に向けられていて、母親の苦しみを感じてしまいました。勿論一番辛いのは被害者なのですが、、。
    母親も娘の苦悩と怒りによく添い遂げたと思います。過去を帳消しにはできませんが、母親の著者に対する想いは紛れもなく本物だと思います。
    著書の最後で母親と夫への感謝の気持ちを述べてることで僕も気持ちが救われました、笑
    それと、誰にも気付いてもらえず、父親が自らの意思で始め、自らの意思で自然としなくなったことが逆に根深いものになっている気がしました。
    全てが加害者の意思に支配され、完結しているようで、抵抗することの大切さを感じたというか。

  • 読んでいる間中、とても苦しかった。ありのままの気持ちが書かれていたから。

    《Nothing will work unless you do
    あなたがやらない限りどうにもならない》
    女性作家、詩人のマヤ・アンジェロウの言葉を胸に活動している姿が、心に残った。

    小学校高学年~中学生の授業で扱ってほしいと思う。必要な情報だと思った。

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著者プロフィール

茨城県立医療大学保健医療学部看護学科助教

「2023年 『ジェンダー法研究 第10号』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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