ゼロ・アワー

著者 :
  • 朝日新聞出版
3.41
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本棚登録 : 204
感想 : 44
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  • Amazon.co.jp ・本 (322ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022514547

作品紹介・あらすじ

タンゴにしか興味がない孤独な殺し屋。
その男に両親と弟を殺され、一人生き残った少女、ヒロミ。
ブエノスアイレスに住む唯一の肉親である日系二世の祖父に引き取られた少女は、家族の復讐を果たすため、人の殺し方とタンゴの踊り方を覚えてゆく。
「あの男を殺して、人生の一部を取り戻す」。それだけが彼女の生きる目的となった。
やがて彼女はと名乗る凄腕の美しい殺し屋に成長する。
アルゼンチン軍事政権時代の暗黒の歴史を絡めた血塗られた復讐劇はどこへ向かうのか?

全編にちりばめられたタンゴという音楽とシェイクスピア作品への深いオマージュ、破滅へとひた走る狂気のような疾走感、切なく痛ましい殺し屋としての宿命。
ピアソラの「タンゴ・ゼロ・アワー」を暗殺者のための音楽として崇める殺し屋ハムレット。
タンゴのステップを踏むように踊りながら殺す、いかれた女殺し屋ロミオ。
東京とブエノスアイレスを舞台に、ロミオとハムレットの壮絶な闘いが幕を開ける――。
読みはじめたら止まらない、圧巻のノンストップ・ジェットコースター小説!
美しく、激しく、そして息苦しいほどの切なさが胸を打つ、傑作ノワール長篇、誕生!

感想・レビュー・書評

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  • 殺し屋「ハムレット」に家族を殺され一人ぼっちになったヒロミ。ヒロミは復讐に立ち上がる。ノワール的な雰囲気とハードボイルド、映画のように感じる世界観。殺し屋としての宿命や切なさと疾走感が良かったです。

  • お上手だとは思う。
    でも映画みたいだねぇ。
    そんなに簡単に人を殺せるようになるんだろうか?
    簡単に思えるのに、苦しむのだろうか?
    猫の太り過ぎが、心配だ。

  • 冒頭がひきつけられる
    シェイクスピアの登場人物の名を持つ殺し屋が居間でタンゴを踊る夫婦を殺す
    そこから復讐の物語が始まる
    終始タンゴの名曲が響くようだ
    そして生き残りの猫、アストルが魅力的

  • これぞ中山可穂な世界観。

  • 話のテンポが速いのはいいが、内容が薄くなってしまってるのが勿体無い

  • 復讐の連鎖。因果応報。
    賛否がわかれそうな作品ではある。この手の作品を進んで読むほうではないのですが、世界観は嫌いではないし、強烈にハードな感じも受けず、個人的には楽しめました。

  • ガッカリした。
    この作者の本を読むのは2冊目。
    先に読んだ本が良かったので、ある程度期待して読んでいたら、前に読んだ本とは全く違う雰囲気だし、同じ作者が書いたものなのか?くらいに文章に特徴が感じられなかった。

    この本の内容をざっくり書くと、
    主人公は小学生の頃に殺し屋に両親と弟を殺され、自身も殺し屋になり、家族を殺した殺し屋に復讐するというもの。
    身よりのなくなった彼女はアルゼンチンに住む祖父の元に引き取られ、元殺し屋の祖父より暗殺方法を学ぶ。
    そして、殺し屋の所属する組織をつきとめ、自身もその組織の殺し屋として働き、信用を得て復讐を果たすべく動く。
    というもの。

    これだけでも全く現実感のない設定だと思う。
    海外に住む祖父がたまたま殺し屋だった。
    そうでなければ、プロの殺し屋をどうやって殺すつもりだったのか。
    この話ではタンゴについて色々と書かれているが、それが書きたいためのアルゼンチンという設定か?とも感じた。
    かなりご都合主義なストーリー展開だと思う。
    また、前半何故か両親を殺した殺し屋と彼が連れ去った飼猫の交流の様子がくわしく丁寧に書かれているが、後から考えてあれは必要だったのか?という気がする。
    その辺の文章を読んで、殺し屋業をしているものの、人間味のある男性だという印象を受け、どうしても彼が憎めない、そういうのが後々の展開で生きてくるんだろうと思いきやそうでもなし。
    前半に登場した女刑事が結末にも登場するのかと思いきやそれもなし。
    大体、家族を殺されたからと言って、自分も殺し屋になり、組織の信頼を得るためだけに何の関係もない人々を殺すというのは本末転倒だと思うし、そういう事をする人間に嫌悪感を感じた。

    最初に読んだこの人の本は女性の同性愛を描いた話で美しく繊細な文章に酔わされたが、この本ではそういうのはなく、何だか誰が書いたのか分からない特徴のない文章だと感じた。
    ジャンルもハードボイルドというほどでもなく、ミステリーでもなく、恋愛小説でもなく・・・とにかく、どこも特徴がない。
    主人公の女性にも特に思い入れを感じず、中に入って読む事ができず、度々中断したり、後半は斜め読みで何とか読み切った。

  • 4.5
    ウーゴ・ディアスの奏でるハーモニカに包まれタンゴを踊る夫婦。その幸福の時を貫く銃弾。
    さらに標的となった二人の幼子。しかし、長女の広海はバレエの合宿で不在の為難を逃れる。
    殺し屋の名はハムレット。
    タンゴをこよなく愛するその男は、一枚のレコードと共に一家の飼い猫・アストルを連れ去る。
    一人残された広海は、絶縁状態にあった祖父・龍三に引き取られアルゼンチンへ。ある時、過去に龍三も凄腕のヒットマンであった事を知り復讐の為にそのスキルを引き継ぐ事を望む。
    やがて復讐の相手が判明するが、愛する家族の殺しを依頼したのは・・・。

    果てしなく続く復讐の連鎖

    ハムレットへの接近の為組織に身を投じ、龍三との約束を破りヒットマンとなった広海は少しずつ・・確実に壊れて行く。

    そしてついにその時が。

    それぞれが胸に掲げる「正義」。

  • 凄腕の殺し屋に家族を殺された少女が、自ら殺し屋になってかたきを討とうと奮闘するのだが・・・全編通じてシェイクスピアとかタンゴがキーになってチョイチョイでてきたり、他と違う感があって、途中まですごく良かったんだけれど・・・後半は都合良すぎ展開で個人的には若干失速・・・。

  • ★★★☆☆

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著者プロフィール

1960年生まれ。早稲田大学卒。93年『猫背の王子』でデビュー。95年『天使の骨』で朝日新人文学賞、2001年『白い薔薇の淵まで』で山本周五郎賞を受賞。著書多数。

「2022年 『感情教育』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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