- Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022514851
感想・レビュー・書評
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現役軍人内閣制と天皇が首相を任命することで、全体主義国家に転落していったという事が良く分かる。では、どうすべきであったかという処方箋が書かれていない。それは本書の趣旨ではないが、物足りないのと、最後に朝日新聞の戦後の変節を弁護するかのようなあとがきは残念!
現在の安全保障環境は、憲法含む左に寄り過ぎた戦後体制では、やっていけないことは自明であり、戦前の反省から、全体主義国家に陥ることなく、専守防衛などという幻想を捨て、正規軍を運用していくか、考えないといけない。その視点からの提言書を望む!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ひと月ごと時系列に沿って新聞や雑誌の記事から構成されている。当時の空気の流れを掴むには分かりやすかった。どんな時代でも変化はじわじわ来ている。ただ生活しているだけでは気づかない。ヒントはたくさんあるはず。しかし新聞やマスコミ、メディアが怪しいとなるとどうしたらいいのか。
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1937年1年間の東京・大阪朝日新聞の記事から当時の空気を追う。同年前半はまだ軍機保護法の改正への懸念表明などしているが、盧溝橋事件後は通州事件の被害を大きく取り上げ戦死者を美化し(著者は近衛首相と大手メディアの懇談を転機として指摘)、南京陥落を盛大に報じる。
広告も、平和な消費社会から兵士への慰問、南京陥落祝賀へと変化していく。
年後半でも、もちろん戦地の報道は軍の検閲があったが、雑誌記事の中には戦争の先行きに懸念や不安を婉曲に示すものもあったと著者は指摘。即ち言論空間に多少の自由はあったわけだが、それでも大半は軍に沿うよう論調は変化。新聞人がなぜそうしたのか、本書でその理由まで踏み込んでいるわけではないが。
なお、社会大衆党を「庶民寄りの政党」、政府が対中譲歩できない理由を軍部大臣現役武官制、とそれぞれ言い切るなど、間違いではないが単純化かな、と思う箇所もあった。また、近衛内閣誕生時、そんなに大衆の熱狂という感じの報道でもなかった。 -
昨今の世の中の風潮が似通ってきていてホント恐ろしい。