特殊清掃人

著者 :
  • 朝日新聞出版
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感想 : 166
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022518705

作品紹介・あらすじ

誰もいなくなった部屋にこそ、住んでいた者の嘘のない生きざまが現れる──。特殊清掃業者〈エンドクリーナー〉には、日々、様々な依頼が押し寄せる。彼らの仕事をとおして、死者が抱えていた様々な事情が浮かび上がる。『護られなかった者たちへ』の著者が贈るヒューマン・ミステリー。

感想・レビュー・書評

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  • 3K(キツイ、キタナイ、キケン)と言われる特殊清掃の仕事人である彼らが見るものは、遺品だけでなく孤独死した人々の最期の声だと感じる。

    エンドクリーナーの代表・五百旗頭亘と白井寛と秋廣香澄の3人が、清掃していくなかで、見えてくるもの、見つけたものとは…。

    ① 30代独身女性
    ② 40代ベンチャー企業家
    ③ 20代無職男性
    ④ 80代資産家

    年齢問わずにいつ孤独死するかわからない現実に驚く。

    『部屋には住む者の性格と嗜好が現れる。片づけ具合からは精神状態が、ゴミからは生活水準が窺える』
    と五百旗頭の言葉だが、まさにそうであろうと思う。

  • 面白かった〜♪
    ちょっと前に前川ほまれさんの特殊清掃人の作品を読んだんですけど…
    わたしこの手の話好きなのかな(・・?)
    蛆だハエだ体液だと表現はグロいですね。
    中山作品ではヒポクラテスシリーズ他グロい殺人なんかもありますし、川瀬七緒の「法医昆虫学」シリーズが大好きなので、めっきり蛆慣れ蛆好きになった気がします( ̄▽ ̄)

    さて今作の特殊清掃4話!
    「祈りと呪い」ゴミに埋もれたアパートの部屋で病死の30代女性。
    「腐食と還元」享楽主義者のベンチャー企業の社長が誰も愛せなかった理由とは。
    「絶望と希望」熱中症で孤独に死んだ男性。清掃に訪れた白井は彼が昔のバンド仲間だと知り…
    「正の遺産と負の遺産」莫大な遺産を残して孤独死した相場師の老人。3人の娘達の醜い遺産相続争い。

    それぞれ警察の捜査の後なので事件性はない事後処理なんですが、どの話も腑に落ちない事が出てきます。軽いミステリーで面白い♪

    そして嬉しい事に「鑑定人・氏家京太郎」の氏家さんが登場します〜!! 中山作品らしい笑

    ぜひシリーズ化して欲しいな♪
    ただ一つだけ…
    主人公「五百旗頭亘」いおきべわたる…と読みますが難しくしすぎでしょ!読んでて忘れるし!
    名前に凝りすぎる作品は嫌い(´^`)プイッ


    • みんみんさん
      バラバラなやーつ(꒪⌓︎꒪)
      バラバラなやーつ(꒪⌓︎꒪)
      2023/07/07
    • 土瓶さん
      「重版出来」というマンガの編集長だか副編集長が五百旗頭(いおきべ)だった気がする。
      なんでこんなこと覚えてるんだろう(。´・ω・)?
      「重版出来」というマンガの編集長だか副編集長が五百旗頭(いおきべ)だった気がする。
      なんでこんなこと覚えてるんだろう(。´・ω・)?
      2023/07/07
    • みんみんさん
      名前出るたびに何だっけ⁇って…
      もう佐藤や鈴木でいいし(꒦ິ⌑︎꒦ີ)
      名前出るたびに何だっけ⁇って…
      もう佐藤や鈴木でいいし(꒦ິ⌑︎꒦ີ)
      2023/07/07
  •  特殊清掃を請け負う「エンドクリーナー」…代表は五百旗頭亘(いおきべわたる、読み方が難しいっ!)、従業員は中途採用の白井と秋廣の2人…。特殊清掃の裏には人知れずこの世を去った人たちの思いがある…。

    ・祈りと呪い:30代女性、仕事をやめ引きこもりゴミにまみれて死後1か月後に発見。
    ・腐食と還元:40代ベンチャー起業家、入浴中の孤独死が故に清掃をが困難を極める。
    ・絶望と希望:20代無職男性、彼は白井と面識が過去にあった。
    ・正の遺産と負の遺産:80代資産家、3人の娘たちの遺産相続はどうなるのか?
    『特殊清掃はただの清掃じゃない。いつも感染症と隣り合わせの仕事だ。原発の作業員と同等の集中力が要る。』『特殊清掃ってのは、住まいに染みついた怨念まで拭い取ることだ。坊さんみたいに人を成仏させるのは無理な相談だが、少なくとも部屋を祓うことはできそうじゃないか』作中の五百旗頭の言葉です。

     ストーリーはどれも、今の時代をうまく描いたものだと感じました。孤独死後の現場清掃がスゴい!!孤独死だけはいや、あとあと大変だから…女性より男性、しかも若い年代の方が、残された体液の処理や害虫などの駆除に苦慮するようです。特殊清掃なんて本当はない方がいい…孤独死がない世の中が理想だし、私は孤独死したくないなぁ…と強く思いました。

  • 特殊清掃が舞台の短編連作集。
    所長は元刑事のため直接警察から情報収集をしながら、孤独死した人々の最期の思いを汲み取っていきます。

    他の作品で特殊清掃に従事しているシリーズも読んでいますが、そちらに比べ描写がとても細かくリアルさと切迫感がありました。

    鑑定士の氏家さんも登場しています。この作品も面白かったのでコラボは嬉しかったです。

  • 特殊清掃会社「エンドクリーナー」は設立して5年。
    代表は、五百旗頭亘、元刑事で40歳代。
    従業員は、大学在学中にミュージシャンとしてデビューするのが夢だったが、才能不足で、夢を断念し、卒業と同時に就職した、イベント会社が倒産し、高給に釣られて入社した、白井。
    勤めていた事務機メーカーが倒産し、こちらも、高給に釣られて入社した、秋廣香澄の二人。

    エンドクリーナーの仕事内容は、ゴミ屋敷や、死体の発見された部屋 等、事故物件のハウスクリーニング。
    のみならず、供養、遺品整理、家具の買い取り、リフォーム、物件の買い取りまで、幅広く手掛けている。

    30代独身女性
    40代ベンチャー企業家
    20代無職独身男性
    80代の資産家

    ハウスクリーニングと共に、孤独死した人々が抱えていた様々な事情を探り当てていく。

    煎餅片手には、ちょっと読めないなぁ。

  • 孤独死や突然死などで死体の残ってしまった部屋を清掃する特殊清掃業の人たちを主人公にしたミステリー。

    部屋に残る生活臭から死者の行動を想像し、わずかな違和感をもとに、民事問題や死者の謎を解決するという内容でしたが、まぁ清掃業者が解決する謎ですので、そこまで派手な問題でも無かったことに加えて、清掃描写がグロテスク過ぎて、そっちのインパクトの方が強く残ってしまった感がありました。

    死体のスープとか、体液の染み込んだ床、排泄物の詰まったゴミ、ウジムシなど、ちょっとトラウマになりそうです…

  • 特殊清掃人という仕事は凄絶の一語に尽きる。
    読みながら思わず眉間に皺が寄り、悪寒と生唾が出てくる。こんな過酷な仕事があるだろうかと思うが、考えてみれば誰かがやらないと何も片付かない。こういう汚れ仕事をやってくれている人たちがいるんだなぁと感慨深い。

    ミステリ要素は普通。そもそもこういう仕事をしている方たちが故人の縁故者などにヒアリングして周るような事ってあるの?とも思うが、兎にも角にもこういう過酷な仕事の現実を知ることが出来て、それをミステリ風に読みやすくしてくれているだけで充分に高評価できる作品だ。

  • 川瀬七緒さんの法医昆虫学捜査官のシリーズを読んでいたのでだいぶ蛆話に免疫ができていたかな?サクサクと読めて面白かったけど孤独死ってこれから増える一方なのかな...と思うと切なくも感じました。
    氏家京太郎シリーズも読みたいです。

  • なかなか凄まじい描写ですが、主人公たちが淡々と業務を全うする姿に好感が持てました。

  • 元刑事の五百旗頭(いおきべ)率いる特殊清掃業者〈エンドクリーナー〉が、腐乱死体に汚された部屋と共に死者の生前の思いを浄化していく連作短編。「祈りと呪い」「腐蝕と還元」「絶望と希望」「正の遺産と負の遺産」の4篇収録。

    蛆が蠢き蠅が飛び交い強烈な刺激臭漂う地獄絵のようになった部屋の描写がグロテスク。防護服を着て黙々と清掃する五百旗頭、白井と秋廣の3人の姿も強烈。こりゃ映像化できないな。

    新シリーズなのかな? それとも他のシリーズにチョイ役で顔を出す常連になっていくのかな? 本作に氏家さん出てきた。

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著者プロフィール

1961年岐阜県生まれ。『さよならドビュッシー』で第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、2010年にデビュー。2011年刊行の『贖罪の奏鳴曲(ルビ:ソナタ)』が各誌紙で話題になる。本作は『贖罪の奏鳴曲(ソナタ)』『追憶の夜想曲(ノクターン)』『恩讐の鎮魂曲(レクイエム)』『悪徳の輪舞曲(ロンド)』から続く「御子柴弁護士」シリーズの第5作目。本シリーズは「悪魔の弁護人・御子柴礼司~贖罪の奏鳴曲~(ソナタ)」としてドラマ化。他著に『銀齢探偵社 静おばあちゃんと要介護探偵2』『能面検事の奮迅』『鑑定人 氏家京太郎』『人面島』『棘の家』『ヒポクラテスの悔恨』『嗤う淑女二人』『作家刑事毒島の嘲笑』『護られなかった者たちへ』など多数ある。


「2023年 『復讐の協奏曲』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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