アメリカ・インディアン悲史 (朝日選書 21)

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  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022591210

感想・レビュー・書評

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  • アメリカ・インディアンがコロンブスの大陸発見以後、アメリカ開拓者たちにどんな侵略虐殺をされたかを知るには非常に簡素に事実を淡々と書かれた一冊だと思います。

    中国の大盗賊という本で中国人の本質が盗賊文化であると言う事を読み取りましたが、この本を読むとアメリカ人が開拓するために行ってきたアメリカ・インディアンたちへの仕打ちを見ると驚くべき事をしていることがよく分かります。

    そのアメリカがフィリピンのルソン島や、ベトナムのソンミで行った虐殺がこのアメリカ開拓の時のアメリカ人の本質的な部分なのだろうかと思わされました。

    アメリカ・インディアンたちは土地の所有などと言う物は無く自然の中で自然と生きていた。
    物という物に執着せず分け合い、富めばみんなが富を得て、貧しくなればみんなが貧しくなると言う共同体の中で生きてきた本当に人間として信じることを常として生きてきた民族だった。

    それをアメリカ人たちは土地を略奪し、物も奪い、それまで済んでいた富んだ土地から追い払い、追い払うことにも絡んだアメリカ人がその利益を奪いと、驚くべき仕打ちをしたことが書かれている。

    アメリカ・インディアンへのアメリカ人の対応はその国家の民族性を何となく読み取ることが出来る事象であり、私たちもその事を知っておくことは大切な事だと思う。

    アフリカから黒人を人間としてではなく物として奴隷制度の中に連れてきて、白人以外への人種差別はフィリピンやベトナムの例を挙げれば恐ろしくなる。

    今はそういう人間ばかりではないだろうが中国が盗賊民族であればアメリカは差別と略奪の民族ではないかと極端な思いが頭をよぎった。

    アメリカ・インディアンたちの悲しいアメリカ合衆国での歴史を知る上で歴史家でない著者の調べたこの本は読んで損のない一冊かと思う。

  • 第33回アワヒニビブリオバトル「錯覚」で発表された本です。
    2018.01.09

  • 筆者の主張は一貫しており白人は人種差別意識を根底に秘めて行動しており高貴なインディアンを許せなかったという。レヴィ=ストロースも絶滅危惧の民族を保護するといいながら結局人種差別主義者だと語る。

  • 日本にTPPが導入されたら、この本に出てくるチェロキー族と同じ運命を辿ることは目に見えている。

  • 西部劇以前のアメリカインディアンの話。一冊にまとめるにはあまりにも多くのことがあったので、違う本も読みたくなる。アメリカとインディアンの問題を我々の問題として捕える考え方も興味深い。

  • インディアンを虐殺したアメリカ人のDNAは確かに受け継がれているのだろう。狩猟というよりは金魚すくいも同然だ。ひょっとすると面白半分にやったのかもしれない。彼らはこれを「南ベトナム解放民族戦線のゲリラ部隊との戦い」と偽って報告した。死人に口なしというわけだ。しかしアメリカにはまだジャーナリズムが生き残っていた。

    http://sessendo.blogspot.jp/2014/02/blog-post.html

  • 読んで良かった。あまりの判官贔屓ぶりに星を減らすけど、でもそうなってしまうくらい、先住民の運命って悲惨。

  • アメリカインディアンの歴史。
    インディアン側からの視点であり、白人の欺瞞には寒気がする。
    同様のことは現在もあり、けして過去だけの話ではない。
    インディアンも一枚岩ではなく、生活も西洋化し豊かになり白人と同じように暮らすなど部族によって考えに違いあったのもおもしろい。

    『侵略の世界史』『インディアスの破壊についての簡潔な報告』も類書として。

  • 読んで欲しい。

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著者プロフィール

藤永 茂(ふじなが・しげる)
1926年中国・長春生まれ。九州帝国大学理学部物理学科卒業。京都大学で理学博士の学位を取得。九州大学教授を経て、カナダ・アルバータ大学教授就任。現在同大学名誉教授。著書:『分子軌道法』(岩波書店)、『アメリカ・インディアン悲史』(朝日選書)、訳書コンラッド『闇の奥』(三交社)他多数。

「2021年 『ロバート・オッペンハイマー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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