【新版】 雑兵たちの戦場 中世の傭兵と奴隷狩り (朝日選書(777))
- 朝日新聞社 (2005年6月10日発売)
本棚登録 : 350人
感想 : 26件
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022598776
感想・レビュー・書評
-
帯にもある「村人にとって戦場は数少ない稼ぎ場だった」という話は読んでいて「なるほど」と思わせてくれる。高校の歴史教科書レベルの知識しかなかった兵農分離も、この本を読んでいると戦国の時点で意識としてはかなり進んでいたのだなあ、と知ることができてためになった。
なによりも「戦争帰りの傭兵(戦場の日雇い)たちの始末をどうするか、戦場と日常が混在する中世的な時空をいかにして断ち切るか。この新たな課題が「秀吉の平和」の社会に突きつけられていた」(p256)という指摘は、江戸幕府においてこの課題が身分制社会という形で一応解決するんだろうなあ、と思わせてくれる。そして、なぜ近世の開始を秀吉政権に求めるのか、という理由も、社会編成の転換という意味合いから、おぼろげながらわかった気がした。
それにしても、恐ろしい量の史料にあたっていて圧倒される。そんな基本的なことに今更圧倒されなくてもいいのかもしれないが、すごい。「あとがき」もかっこいい。詳細をみるコメント0件をすべて表示