【新版】 雑兵たちの戦場 中世の傭兵と奴隷狩り (朝日選書(777))

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  • 朝日新聞社
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022598776

感想・レビュー・書評

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  • 帯にもある「村人にとって戦場は数少ない稼ぎ場だった」という話は読んでいて「なるほど」と思わせてくれる。高校の歴史教科書レベルの知識しかなかった兵農分離も、この本を読んでいると戦国の時点で意識としてはかなり進んでいたのだなあ、と知ることができてためになった。

    なによりも「戦争帰りの傭兵(戦場の日雇い)たちの始末をどうするか、戦場と日常が混在する中世的な時空をいかにして断ち切るか。この新たな課題が「秀吉の平和」の社会に突きつけられていた」(p256)という指摘は、江戸幕府においてこの課題が身分制社会という形で一応解決するんだろうなあ、と思わせてくれる。そして、なぜ近世の開始を秀吉政権に求めるのか、という理由も、社会編成の転換という意味合いから、おぼろげながらわかった気がした。

    それにしても、恐ろしい量の史料にあたっていて圧倒される。そんな基本的なことに今更圧倒されなくてもいいのかもしれないが、すごい。「あとがき」もかっこいい。

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著者プロフィール

藤木 久志(ふじき ひさし)
1933年 新潟県に生まれる。新潟大学人文学部卒業。東北大学大学院文学研究科修了。群馬工業高等専門学校専任講師,聖心女子大学助教授,立教大学教授,帝京大学教授を歴任。現在,立教大学名誉教授。文学博士。日本中世史専攻。[主な著書]『豊臣平和令と戦国社会』(東京大学出版会,1985年)、『戦国の作法』(平凡社,1987年。1998年に平凡社ライブラリー,2008年に講談社学術文庫より増補版刊行)、『雑兵たちの戦場』(朝日新聞社,1995年。2005年に朝日選書より新版刊行)など多数

「2019年 『戦国民衆像の虚実』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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