街道をゆく〈25〉中国・ビンのみち (朝日文庫)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (242ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022605221

感想・レビュー・書評

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  • これが書かれた時代を考えると、余程田中某をはじめとした土木政治家に対して怒りを持っておられるようで。
    確かに今考えるとセンスが無いかもしれない、でもあれが無ければ現在は無いかもしれず、なかなか難しい所。まぁ少なくとも発想の永続性から考えると、作家の感性が優っているとは思いますけど。
    ところでこの本、珍しく締めがキレイというか、微笑ましい。この作家にしては上出来かと。

  • 福建省、別名、ビン(門構えに虫)。華僑のふるさと。ビンという字は、「虫」ということで差別的だという一方で、どんどん外に出ていく虫のような人たちだ、ということを聞いたことがあったような。
    福建省は、日本では沖縄県と長崎県と友好都市で、それは福建華僑たちが両県に渡っていったからである。そういうつながりでこの本を読んだわけだが、いつもどおり面白く読めた。アジア諸国に行って日本に帰ってくると、日本の山々が緑に覆われていることに気づく。なぜそんなに違っているのだろうと思っていたのだが、日本は植林の努力を続けてきたんですね。そういった話や、ちょうどテレビ番組で話題になっていた曜変天目茶碗の話、台湾と相対する土地のため中国政府の(土着文化に対する)規制がそこまで厳しくなかったことなど、面白い話ばかりでした。

  • 新書文庫

  •  隋・唐が中国を統一して日本が交流を持つと、漢字の呉音(音読み)が一地方音だったことを日本人は知る。呉音はどこから来たかというと、揚子江流域に興亡した六朝文化の中心の呉が当時の代表的な音であった。その当時の朝鮮半島は三国にわかれ、黄海に面した百済はその文化を吸収していた。5,6世紀の日本は百済を通じてはじめて漢字を入れたのである。

     9世紀末(平安初期)遣唐使派遣の廃止までは訓読みを導入し以降、日本では2音制がつづくことになる。既に中国ではいくたの王朝が変わるたびに漢字の音が変わっている。音読みが残った理由としては仏教用語として重宝されてきた理由があげられる。

  • 14/12/31読了

  • 福建語の人民解放軍の発音の下りは面白かった。
    たしかに、中国語にはアジアっぽくない発音がまざってると
    ずーっと思ってた。
    どこか東ヨーロッパぐらいからきたような発音が。

  • 中国・福建省の旅。台湾の対岸にある福建省は中国統一王朝の版図に入るのは新しいが、泉州(ザイトン)を中心にイスラム諸国との交易の舞台となってきた。泉州はマルコポーロが訪れた13世紀には、アレクサンドリアと並ぶ世界有数の良港だったという。
    福建省は、日本列島に似てほとんどが山で耕地面積は15%。棚田、茶畑など日本の地方にも似た風景が広がっている。橋、船、茶碗、などを通じて、「大航海時代」の賑わいが伝わってくる。

  • 閩(びん)は今の福建省。福建音という方言があり、漢字の読みが日本語に似る。例えば人民解放軍は北京音でレンミンチェフアンチュン。これが福建音だとジンミンカイフォングンになる。古い中国語の音だそうで、日本にはそれが残っているというわけ。

  • 日本ともなじみが深い福建の話。旅の中で感じた歴史の諸情景がいい。福建に行ってみたくなる。

  • 司馬さん、さすが面白い視点持ってるね。

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著者プロフィール

司馬遼太郎(1923-1996)小説家。作家。評論家。大阪市生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた1960(昭和35)年、『梟の城』で直木賞受賞。以後、歴史小説を次々に発表。1966年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞受賞。ほかの受賞作も多数。1993(平成5)年に文化勲章受章。“司馬史観”とよばれ独自の歴史の見方が大きな影響を及ぼした。『街道をゆく』の連載半ばで急逝。享年72。『司馬遼太郎全集』(全68巻)がある。

「2020年 『シベリア記 遙かなる旅の原点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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